月曜日, 10月 02, 2006
円キャリートレードと円借款
ここ数ヵ月円はドルに対して弱含む展開。7月末からみると、ちょうど2ヶ月で3円円安方向へ触れたことになる。この期間に店頭では生損保勢による1千億単位の外債ヘッジと思われるドル売り・円買いが観測されていた。
一方で、日銀の議事録でもとりあげられたように、再び円キャリートレードが復活してきているのであれば、ドル買い・円売り圧力が高まるはず。左図によると、確に生損保勢の外債ヘッジを上回るドル買い圧力がここのところ続いているのがみてとれる。但し、円キャリートレードが本格化しているのであれば、生損保勢の外債ヘッジ玉では吸収しきれないはず。 また、実質実行為替レート(1973年3月を100とする)が、9月に101.3となり1985年9月のプラザ合意の時点(94.8)以来の水準まで低下しているにも関わらずドル円相場はそれほど円安基調を強めているわけではない。これは謎である。
筆者はここに、店頭でここのところよく目につく中国勢による円借款のヘッジ目的のドル売り・円買い圧力も相当効いてきているものと考えるている。中国政府は円借款を中核銀行へ貸付け、この銀行勢は実際にはドルに転換してから事業を行っているからだ。現在円借款の規模は2000年からの実績で、3兆1千億円。仮にこのうち8割りがヘッジされると考えると、通常そのデルタは0.3程度であるからヘッジ総額は31 X 0.8 X 0.3 = 7.4 千億円にのぼる。これは生損保勢の外債ヘッジの額とは比べ物にならない額であり、その影響は無視できない。実際こうしたヘッジ取引は中国において、Deutche, CSFBを中心にマーケティングされており、円高圧力のひとつのファクターになっていると考えられる。
以上が、ここのところ安定しつつ円安傾向を強める為替相場のカラクリであろう。
ただこれは日本国にとってマクロベースでプラスなのだろうか?円高圧力なわけだから、国富の観点かいえばYESだろう。ただ、こうしたお金が中国の産業育成の為に使われ、一方では本邦企業が円高圧力によって利益を削られるのかと思うと、なんだか嘆かわしい。
追記: 中国へのODAの現状
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