上記2つのレートの関係について考察してみよう。日経新聞のマーケット欄のコラムによればここ数ヶ月の傾向として無担コール市場とレポ市場との間でレートの乖離が起きているという。具体的には、無担コールレートがレポレートを5--7 bp下回る状況が続いている。コラムの解説にはゼロ金利解除後に需給の緩んでいる国債を多く抱える証券会社の調達レートとしてのレポレートが機能の回復してきたコールマネーでの資金の授受に比較して見劣りするためとしている。とはいえ、では有担コールはどうだろうか。通常T+3決済のレポに比べてT+1という条件の違いがあるにせよ、経済的には有担コールとレポは同等のはずだ。しかし、東京マーケットではさらに5--10 bpの差が存在している。これは何故なのだろうか?:
1.まず第一に本邦金融機関はT+1で10 bpの利ざやをとりにはこない。実際にはコールマーケットの利回りはT+1で25 bp程度であるわけだから本来は大きいはずの利ざやであるが、関西系のせこさで有名な銀行以外はこのような裁定取引には入ってきていない。
2.信じられないことであるが、本邦金融機関が有担コールマーケットに参入するには新たなシステム投資が必要との見方が一般的である。この為、有担コールマーケットは参入障壁の高いマーケットになってしまっている。
3.さらに短資会社としてみれば仮に資金の出し手である場合には資金が担保(債券)にて保全されるわけだから、金利を低くしても筋が通るわけである。
市中の金融機関はリテール向けATMの整備より自分たちの資金調達系システムを早急に拡充すべきであろう。
7 件のコメント:
無担保コールレートの速報と確報はいっしょ?
という質問をずーっと前にしましたが、日銀に確認したところ、違うことがありえる、ということでした。要するに、速報は暫定的なレートで、確報はそれを確定するらしい。ふーん。
コメント追加:
2006年7月の政策金利引き上げ後の短期金融市場の動向 by 日銀
http://rum-planet.com/~uchiyama/papers/mkr0701a.pdf
追加資料。メモメモ
http://www.rum-planet.com/~uchiyama/papers/FotM_9.pdf
http://www.rum-planet.com/~uchiyama/papers/tanki0702e.pdf
another one:
http://www.rum-planet.com/~uchiyama/papers/tanki0702f-1.pdf
去る7月に東京レポ・レートの全容が開示されたのでメモメモ:
http://www.rum-planet.com/~uchiyama/papers/tanki0707d.pdf
http://www.rum-planet.com/~uchiyama/papers/tanki0708b.pdf
今年は遂に40年債が追加されました。
https://rum-planet.com/~uchiyama/papers/wp07j09.pdf
2007年10月の一部改正
https://rum-planet.com/~uchiyama/papers/k071011b.pdf
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