日曜日, 12月 27, 2009

行く年来る年 2009 (II. キャリア:回顧と展望)

今年の行く年来る年の第2回は僕自身のキャリアについて。

A.何で今更キャリアプランなの??

まず、そもそもの大前提は僕自身が米国という外国で働いている外人だという事実。すなわち、働くためには査証(ビザ)が必要であり、かつそのビザは数年に一度の頻度で更新する必要がある。更に米国で働き始めるきっかけが社内の転勤であった為に、現地採用ではあるものの僕の場合には米国籍企業が海外から社員を本土に呼び寄せるときに使うL1ビザを交付されていた。家庭には仕事の話は一切持ち込まないことにしているので、うちの奥さんは当時全く気づかずにいたみたいだけれど、実はこのL1ビザに付帯している条項故に、去年の秋から春にかけては生きた心地がまるでしなかった。というのも、L1ビザは社内転勤にのみ交付されるので、その企業からレイオフされるとビザも自動的に失効してしまい国外退去となってしまうわけド━(゜Д゜)━ン!!もちろん、米国は何事に関してもrisk & rewardsの考え方が浸透しているので、このリスクをとった分だけGreen Cardを取得しやすいとかいったメリットはあるわけだけれど、金融危機の真っ只中でこのリスクをとるのはあまりに考えなしというもの。かつ、帰国費用はもちろん会社からは支給されず、がちんこ勝負の現地採用であるが故に日本の現法側に席があるわけでもなく、帰国しても職なし住むとこなしのまさしく電気グルーヴの『N.O.』の世界が現実に(;´Д`)さらにそんなリスクに怯えていると、追い討ちをかけるようにBloombergの雑誌版にあえなくメリルをクビになったL1ビザ保持者の悲哀話が載っているではないですかーヽ(`Д´)ノウワァァァン。インド系イギリス人の彼の家族は子供もいるのに、強制退去処分になってしまいロンドンに帰ることに。そんな父親の姿をみた子供達の心境は如何に。。。というわけで、その後このリスクをコントロールすべくいろいろと調べてみると、結局二通りの方法でしかこのリスクを主体的にはマネージできないことが判明したわけです:1)会社間の持ち運びが可能なH1ビザをとる、或いは2)永住権(Green Card)をとる。うーむぅ、こりゃまずいどうしたものかと悩んでいたのが去年の年末。結局、それもこれも僕がキャリアプランをきちんと描いていなかったばかりに、無意識にとってしまっていたあまりに大きなリスクだったわけで、こりゃいかんわなと考え始めたわけです。

とはいいつつも、自分でいうのも変だけれど、常に前向きで忘れっぽい僕は1月にはすっかりそんなことも忘れて奥さんと二人で楽しくスノボーに行く計画を立てていた。がなんと、その直前に件のdivision headが突然クビになってしまい、リストラの嵐と共に年が明けることにド━(゜Д゜)━ン!!動揺を隠せないままスキーリゾートで過ごしていると、どうやら緊急ミーティングが開かれるということでcall inしたりとバタバタしているうちに、division headからのメールが転送されてきた(こんな感じ↓):

I am little lost right now, but in time I'll find my way.
I am sure that none of you lost your way. Continue what you do.
Adapt to change. It is a source of opportunity for all of you.

もちろんこの前後にも彼らしい表現で、会社や仲間を振り返る文章が挿入されているわけだけど。これにはマイッタ。もう何にも考えずにがむしゃらに結果を出していくしかないでしょ!ってことで頑張れたわけ。こうした経緯が功を奏したどうかは定かではないけれど、結果今年はいろいろな人と共同研究する機会に恵まれて、本当に幸せだった。一方で、『キャリア』という言葉は一生忘れられない程の強烈な印象を僕の心に残すことになる。今回の金融危機では、大きな代償を払って、普段は決して学べない貴重な教訓をいろいろと学べたのだけれど、これもそのうちのひとつ。

B.今後のキャリアについての展望は??

さて、ここで今後のキャリアについての展望。まず、我ながら非常にユニークなキャリアを築いてこれたものだなというのが率直な感想。満足できるレベルにあるのではないかと思う。ただ、今後を考えるとA.で説明したように考え不足に過ぎる。というわけで、客観的に自分の置かれている立場を分析した後に、目標を立ててそれに必要な措置をとることにした。そこで得られた結論は、『次の不況までは、NYで頑張る』為に、とりあえずはビザをH1に切り替えつつGreen Cardの取得を目指すというもの。前提としては次の3点:
  1. この業界、人の出入りは原則『先入れ後出し法』に沿っている。すなわち、チームの立上げ段階で参画した者がそのビジネスのownerになってその後の resource(人材)を手当てする一方で、ビジネスが立ち行かなくなれば、後から入った余分なresourceを切り落としていく。
  2. 周りにまともな議論ができる人が常時大勢いるという、大学にいた頃と同じ今の環境が魅力的。初めて就職した時に、失敗したと思ったのがクオンツの特殊な仕事内容についてまともに議論できる人が周りにあまりに少なかったということ。結局、銀行の外に機会を求めざるを得なかった経緯があり、あんな思いは二度としたくない。
  3. 祖先から続く日本人だし、家も東京にあるので、もちろんいつかは日本に帰って仕事がしたい。
というわけでまず働く場所だけれど、2.から現在の環境は願ってもない状態。一方で、3.の理由から日本には帰りたい。日本に帰るなら、1.の観点からリストラ終了後のチームを作り始める所期段階で参画するのがベストであり、金融業界ではそれはまさしく不況の真っ只中が狙い目。とすると、今がまさしく不況の真っ只中なので、2.の観点で現在の環境に匹敵する環境を日本で見つけられれば、ベストだなと思った次第。ただ、この観点からさっそく各方面に連絡をして時間をかけて調べ始めてみると、不幸なことに僕から見える範囲では1.と2.を同時に満たす環境は見出せなかった。というわけで、次のチャンス(不況)まで待つことにした。とりあえず来年に向けてのリサーチアイディアも幾つかみつくろったし、今やっている内容もあと2年くらいは楽しめそうなので、このまま突っ走ってみようかと思う。

最後になったけれど、これがEduardoから今年を締めくくるメッセージとして送られてきたゲーテの格言。言い得て妙とはよく言ったもの。今年はまさしくこの通りでしたね(;´Д`):

Whatever you think you can do, or dream you can do, begin it.
Boldness has a genius, a power and magic about it.
If you can do something bold, all of a sudden you are at a different plane.
It is important keep doing that.

-- Johann Wolfgang von Goethe


[オフィスからの夕焼け(携帯で撮ったので写真自体はいまいちだけれど、ほんとに綺麗な夕暮れ時だった)]

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