実はNYに来てから一番困ったのがこのクレジット・ヒストリー。いろいろと関連事項を調べたので、まとめてみたい。
まず、クレジット・ヒストリーとは個人の信用情報を指す。これはアメリカ全土で共通かつ固有の概念で、クレジットカードの発行、銀行口座開設、住宅ローンを含む個人向けローン商品全般の承認時はもちろんのこと、携帯電話やApartmentの契約時などおよそ個人向けに信用供与される場合にはすべてこの情報が参照される。
そして最大の難点はアメリカに住み始めたばかりの外国人には、この信用情報がないということ。そもそも情報がないのだから、信用供与は論外で、担保を入れて必要な信用枠を自分で勝ち取るしかない。。。
それはさておき、この情報は350-850の間の数字(Credit Score)として一般にやり取りされており、法人の信用情報が2,3の格付け会社に独占されているのと同様に、この数字(格付け)を付与する民間企業が3社(Equifax, Experian, Transunion)存在する。これらの会社はそれぞれ独立しており、それぞれの情報ソースは異なるようだ(この点については後述するが、自分のクレジットレポートを取り寄せてみたところ、それぞれの情報更新のタイミング異なることが判明した)。想像するに、主な守備範囲・情報ソースの所在が米国内で東部・中部・西部にわかれているのだろう。
これらの情報は、基本的に何らかの信用が個人に供与された時点から記録が開始され、税金を納めている人にはすべからく割り振られているSocial Security Numberによって認識される。したがって、市民の義務はまず税金を納めることであるとされる米国ではほぼ全ての市民の信用情報がこの3社によって収集され蓄積されていると考えてよい。これは、日本の消費者金融業界が共有しているとされる信用情報システムとは比べ物にならない規模であるし、そのカバーする範囲が個人向けローンだけではなくクレジットカードの信用枠とその使用比率などより広範に亘っていることを考え合わせるとその利用価値は計り知れない(EquifaxはWall Streetの入り口、NY証券取引所のはす向かいにオフィスを構えている)。
実際、住宅ローンの証券化の際に必要とされる、ある特定の属性を持つローンプールの切り出しなどもこのCredit Scoreを使えばかなり簡単に実行できるし、設定されているローン金利との間にも高い負の相関がある。日本市場の場合は、こういった情報のフォーマットも統一されていないし、異なる業界内で個人の信用情報を共有化することもまだ実現できていないというのに。私は以前ローンプールの属性分析をしていたのでよくわかるのだが、こういった情報があるのとないのとでは分析にかかる時間もさることながらそのリスク特性把握の正確性の面で非常に大きな差ができることになる。住宅金融公庫MBSの場合はまだましであろうが、それでもこういった分析の限界から債券価格がミスプライシングされている可能性は未だに十分残っているというのが市場のコンセンサスだ。いわんやバルクで割引販売している都市銀行の住宅ローンの属性分析など、まともにできてはいないだろう。また、金融商品のクロスセルやマーケティングの際にもこういった情報が利用されているのは想像に難くない。あくまで一般の個人の立場でも、例えば以下のような情報が簡単に手に入るのだから:私が住んでいる地域(郵便番号10022)の住民に関する個人情報の統計。
もう一つ注目すべき点は、自ら申請さえすれば、Credit Scoreはその概要を示したCredit Reportと共に、法律によって年に一回無料で個人に対して開示しなければならないと規定されていことだ。また、どういった場合にCredit Scoreが変動するかというCriteriaが各社からきちんと開示されている。逆にいえば、どうしたらCredit Scoreを上げられるかが示されているわけで、いったんブラックリスト入りしても敗者復活が可能になっている(このためのコンサルティング会社も存在している)。このあたりがいかにもアメリカらしい。てんで駄目な奴にも自分の力で這い上がってくるのなら、チャンスを与えようということなんだろうな。むぅヽ(´ー`)ノ。
ところで、マーケティング(?)絡みで面白いサービスを発見したので、メモメモ。Branchさんのエントリー(7/25付)を見ていたら、webへのアクセス元の位置解析サービスを提供しているサイトを発見。統合参謀本部も採用しているからさぞかし信用できるサービスなのでしょうド━(゜Д゜)━ン!!やっぱり、日本も捨てたもんやないね。
1 件のコメント:
クレジットビューローの成り立ちについて詳しい資料がったので、Upしときます:
http://www.rum-planet.com/~uchiyama/blog/g_bk_64.pdf
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