FRBは9日の240億ドルに続いて10日にも3回のオペで380億ドルと大量の資金供給を行った。さらに、NY時間の朝まだきには流動性の供給方針に関する声明文を公表した。
「(The Federal Reserve is providing liquidity to facilitate the orderly functioning of financialmarkets. The Federal Reserve will provide reserves as necessary through open market operations to promote trading in the federal funds market at rates close to the Federal Open Market Committee's target rate of 5-1/4 percent. In current circumstances, depository institutions may experience unusual funding needs because of dislocations in money and credit markets. As always, the discount window is available as a source of funding)」--。
「連邦準備制度は金融市場の秩序立った機能を促進するよう流動性を供給している。連邦準備制度はFF市場が連邦公開市場委員会の目標水準である5.25%近くで取引されるように公開市場操作を通じて必要な準備を供給していく。現状では預金取扱機関は短期金融市場やクレジット市場の混乱によって異例の資金需要が発生する可能性がある。通常どおり、割引窓口は資金調達手段として利用できる」--。このような声明文は過去には1987年のブラックマンデーや01年の9/11テロで出されたのみであり、それ自体を取り上げると事態が相当深刻なことを示しているようだ。しかし、過去2回の簡潔な声明文と比較すると今回の声明文は大きく異なる点がある。
過去には、「連邦準備制度は米国の中銀としての使命に沿って、経済・金融システムを支えるために流動性の供給源としての役割を果たす意向であることを確認する」(The Federal Reserve, consistent with its responsibilities as the nation's
central bank, affirmed today its readiness to serve as a source of liquidity to support the economic and financial system)」(1987年10月20日)--、「連邦準備制度は営業中で活動している。割引窓口は流動性の必要を満たすために利用できる(The Federal Reserve System is open and operating. The discount window is available to meet liquidity needs)」(01年9月11日)--との声明が出された。つまり、今回の声明文で特徴的なのは、資金供給の目的が「FF市場が連邦公開市場委員会の目標水準である5.25%近くで取引される」ことと明記されているところ。また、窓口貸出が「通常どおり」の「資金調達手段」とされている点にも注意したい。さらに、FRBは03年1月9日から窓口貸出の変更を行い、信用力の高い銀行にはFFレート誘導目標+1%、信用力の低い銀行にはFFレート誘導目標+1.5%の金利が適用されるということも重要だ(※それ以前の公定歩合はFFレート誘導目標を下回る水準だった)。ここから明らかになるのは、今次声明文は現時点でFRBがFFレート誘導目標の引き下げの必要性を感じていないことを示唆するものとの解釈が成り立つところ。もっとも、金融市場の問題が一層深刻化すれば利下げの必要性が議論されることはあり得るが、市中のFFレートを誘導目標まで押し下げることを主眼として流動性供給を行っている以上、誘導目標の引き下げはそれとは矛盾する措置だと言わざるをえない。
月曜日, 8月 13, 2007
FRBの声明文
9日に公表されたFRBの声明文についての面白い報道があったので、転記しておく(FISCO 8/13付け 今日のクレジット市場から):
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