月曜日, 8月 20, 2007

ファンドの流動性リスクの測定方法

RiskMetricsの今月号は面白かったので、ちょっと引用してみる:

...even if the agencies do their job well, it takes a long time to link new information about mortgages to new expectations on the likelihood of a CDO tranche paying its full interest and coupon
....For any investor, illiquidity presents the difficulty that new information is not reflected in prices in a timely manner, and when it is reflected, it is almost always through a significant price jump.
これはまさしく以前のエントリーで指摘した通りで、違和感はない。しかし、この流動性クランチの波の広がり具合についてと、その対処法はというところで面白いポイントが挙げられていた。

1.Trancheへの影響度合い

今回よく見られる指摘は、リスクが複雑に分散されていて、例えばどの商品が被害を被りそうか判断が難し く、よけいに参加者の疑心暗鬼を誘っているというものがある。この点については、ABXのボラティリティを分析することで、マーケット・インパクトを推計できる。ここで特徴的なのは、GMショックや今年2月の世界同時株安時に見られたような低格付け債だけが影響を受けるという構図が崩れてしまっていること。今回はきっちりAAAレンジまで影響を受けている。これは、mortgage poolの毀損が強い相関を持って起こっている事の裏づけと考えられるわけで、やはりmortgage market全体の構造変化が起こっているのだろう。Markがなかなか取れないときには、一気に相関を100%として、ビンテージの違いだけを意識したMark to Indexも一つの方法ということか。

2.ファンドの流動性リスクの測定方法

つぎにどのファンドが被害を被るか判断するにはどうしたら良いか?1つの方法として、ファンド・リターンの自己相関を測定すれば、どれくらいの流動性リスクを持っているかが把握できる。すなわち、Mark to Modelしていて、かつモデルをキャリブレートするのに十分な流動性がなければ、本来ある筈のない自己相関がファンド・リターンに現れる筈であるというもの。実際、熊さんのファンドの自己相関を見てみると、明らかに流動性がなかったことが読み取れる。ちなみに、レポートでこの分析の例外として指摘しているBasis Capitalについてだけれど、レポートで取り扱っているファンド名がBasis Pac-Rim Opportunity Fundとなっているのは間違いではないかしらん。正確には以前のエントリーでも指摘しているように、担保コールをしくったのはBasis Yield Alpha Fundである。FTの7/19付けの記事にも次のようにあるし。

Basis also warned investors in its other main fund, the Pac-Rim Opportunity fund, that it held a $79.8m stake in the Yield fund. But they said the Pac-Rim fund had more than half its investments in liquid bonds, and that it had not missed any margin calls.
たぶんYield Fundのリターンを分析すれば、同様の結果が得られるのではないかな。なので、この方法によれば、やばそうなファンドをほぼ全て炙り出せるというワケ(^ω^)。投資先のファンドのNAVの履歴は皆さんお持ちでしょうから試してみるとよいでしょう。

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