水曜日, 12月 30, 2009

行く年来る年 2009 (III. マーケット動向総括)

マーケット動向総括とはいっても、ご存知の通り今年は業務の忙しさは当然のこと、無い頭を振り絞っていろいろなアイディアを捻り出すのに夢中だったので、正直マーケットを追えてませんでした。とはいうものの、メイントピックは流動性とクレジットの動向だったわけなので、これらを表す代表的な指標を見ていきましょう:

1.LIBOR-OIS spread (Banks)

LIBOR rateとOIS rateとのspreadについてはいろいろな見方があるものの、結局のところ流動性とクレジットの組み合わせなんでしょうね。この記事にもあるように、米国は流動性(或いは銀行の資本制約)が原因であると見ていますが、欧州では銀行間のクレジットだと(最近こんなpaperも出てます)。いずれにしても、12/30付けでこのspreadはほぼ正常値である10bp程度に戻ってきています。

Date 1MO 3MO 6MO 12MO
12/31/2008 25 121 151 159
12/30/2009 9 8 21 50

去年の夏から始まったLIBORの決定方式についての議論も、今年の6月に発表された下記の変更だけでなんとなく幕引きにしてしまうのですかね。

Defining the L in BBA LIBOR

The independent Foreign Exchange and Money Markets Committee discuss the definition of BBA LIBOR each time they meet, to ensure the rates remain the best possible benchmark for these rapidly changing markets.

Currently, the notes that accompany the definition of BBA LIBOR state that: "Contributions [to the rate fixing process] must represent rates formed in London and not elsewhere"

At their recent meeting, Committee members felt that this could be further clarified as there could be different interpretations of what constitutes a rate "formed in London". In addition, there are many major participants in the London money markets that are either not physically located in London, or do not book trades in London.

Therefore, with immediate effect, this note accompanying the definition will read:

"Contributions must represent rates at which a bank would be offered funds in the London Money Market"

This clarification will not affect the way in which current contributors formulate their rate submissions. However, it may allow banks that participate in the London markets, whose eligibility for inclusion in the fixing was not previously clear, to apply to join the panels. This is in line with the commitment made last year as a part of the LIBOR consultation to allow expansion of the LIBOR panels, whilst ensuring that LIBOR remains a tightly defined measure of the cost of unsecured interbank funding each morning in the London Market.
ちなみに、TED spreadから見ても、インターバンク市場が正常化しているのが見て取れますね(source: Bloomberg)。









2. A2P2 spread (Non-financial)

さて、金融業以外では高格付け企業と低格付け企業とのクレジット格差が広がって大変なことになってましたが、それも下記のグラフにあるように正常化してきています(source: FRB)。









***********最後にちょっとだけ毒を吐いちゃいます******************

NHKの『マネー資本主義』。。こりゃ一体なんやねん。そもそも何故に如何にも異なる種類の資本主義がいくつも在るかのように報道すんだよ。

これもほんまいい加減にしろ → http://nymag.com/news/business/55687/

十年前に『マネー革命』を作ったのと同じ放送局とは思えん。。内容のあまりの劣化に愕然とする。どうしてこうなってしまったのか。。。あの頃、まだ大学院生だった自分が初めてQuants/Stratsの世界を知る機会になったのがあの番組とそれに続く書籍だった事実を鑑みると本当に哀しい。あの番組では確か最後に、『こうした金融の先端技術を支える人材が今は日本にはいないが、今後育成すべきであり、日本の金融業界はそれに挑戦していかねばならない』といったメッセージが発せられていたように思う。それが10年後にこの体たらく。当時の『マネー革命』がフィッシャーとマイロンのノーベル賞受賞とヘッジファンドの台頭に感化されてのやはり近視眼的な編成であったとしても、今回の『マネー資本主義』はあまりに近視眼的に過ぎる。裏を返せば、取材力の欠如であろう。そもそも、仲介業に過ぎない金融機関が自ら経済全般に影響を与えるような元凶となり得ないことくらい直感的に分かりそうなものだ。大きくなり過ぎたお金の流れを適切に裁ききれずに、その仲介システム自体が崩壊してしまったのが本質だろうに。だからこそ、その仲介役を復活させる為に、これまでになく流動性とクレジットが焦点になっているわけで(;´Д`)

愚痴に付き合って頂き、有難うございます。これ以上続けると自分が厭になるのでこの辺にしておきます。。

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それでは、皆さんHave a happy new year!!

日曜日, 12月 27, 2009

行く年来る年 2009 (II. キャリア:回顧と展望)

今年の行く年来る年の第2回は僕自身のキャリアについて。

A.何で今更キャリアプランなの??

まず、そもそもの大前提は僕自身が米国という外国で働いている外人だという事実。すなわち、働くためには査証(ビザ)が必要であり、かつそのビザは数年に一度の頻度で更新する必要がある。更に米国で働き始めるきっかけが社内の転勤であった為に、現地採用ではあるものの僕の場合には米国籍企業が海外から社員を本土に呼び寄せるときに使うL1ビザを交付されていた。家庭には仕事の話は一切持ち込まないことにしているので、うちの奥さんは当時全く気づかずにいたみたいだけれど、実はこのL1ビザに付帯している条項故に、去年の秋から春にかけては生きた心地がまるでしなかった。というのも、L1ビザは社内転勤にのみ交付されるので、その企業からレイオフされるとビザも自動的に失効してしまい国外退去となってしまうわけド━(゜Д゜)━ン!!もちろん、米国は何事に関してもrisk & rewardsの考え方が浸透しているので、このリスクをとった分だけGreen Cardを取得しやすいとかいったメリットはあるわけだけれど、金融危機の真っ只中でこのリスクをとるのはあまりに考えなしというもの。かつ、帰国費用はもちろん会社からは支給されず、がちんこ勝負の現地採用であるが故に日本の現法側に席があるわけでもなく、帰国しても職なし住むとこなしのまさしく電気グルーヴの『N.O.』の世界が現実に(;´Д`)さらにそんなリスクに怯えていると、追い討ちをかけるようにBloombergの雑誌版にあえなくメリルをクビになったL1ビザ保持者の悲哀話が載っているではないですかーヽ(`Д´)ノウワァァァン。インド系イギリス人の彼の家族は子供もいるのに、強制退去処分になってしまいロンドンに帰ることに。そんな父親の姿をみた子供達の心境は如何に。。。というわけで、その後このリスクをコントロールすべくいろいろと調べてみると、結局二通りの方法でしかこのリスクを主体的にはマネージできないことが判明したわけです:1)会社間の持ち運びが可能なH1ビザをとる、或いは2)永住権(Green Card)をとる。うーむぅ、こりゃまずいどうしたものかと悩んでいたのが去年の年末。結局、それもこれも僕がキャリアプランをきちんと描いていなかったばかりに、無意識にとってしまっていたあまりに大きなリスクだったわけで、こりゃいかんわなと考え始めたわけです。

とはいいつつも、自分でいうのも変だけれど、常に前向きで忘れっぽい僕は1月にはすっかりそんなことも忘れて奥さんと二人で楽しくスノボーに行く計画を立てていた。がなんと、その直前に件のdivision headが突然クビになってしまい、リストラの嵐と共に年が明けることにド━(゜Д゜)━ン!!動揺を隠せないままスキーリゾートで過ごしていると、どうやら緊急ミーティングが開かれるということでcall inしたりとバタバタしているうちに、division headからのメールが転送されてきた(こんな感じ↓):

I am little lost right now, but in time I'll find my way.
I am sure that none of you lost your way. Continue what you do.
Adapt to change. It is a source of opportunity for all of you.

もちろんこの前後にも彼らしい表現で、会社や仲間を振り返る文章が挿入されているわけだけど。これにはマイッタ。もう何にも考えずにがむしゃらに結果を出していくしかないでしょ!ってことで頑張れたわけ。こうした経緯が功を奏したどうかは定かではないけれど、結果今年はいろいろな人と共同研究する機会に恵まれて、本当に幸せだった。一方で、『キャリア』という言葉は一生忘れられない程の強烈な印象を僕の心に残すことになる。今回の金融危機では、大きな代償を払って、普段は決して学べない貴重な教訓をいろいろと学べたのだけれど、これもそのうちのひとつ。

B.今後のキャリアについての展望は??

さて、ここで今後のキャリアについての展望。まず、我ながら非常にユニークなキャリアを築いてこれたものだなというのが率直な感想。満足できるレベルにあるのではないかと思う。ただ、今後を考えるとA.で説明したように考え不足に過ぎる。というわけで、客観的に自分の置かれている立場を分析した後に、目標を立ててそれに必要な措置をとることにした。そこで得られた結論は、『次の不況までは、NYで頑張る』為に、とりあえずはビザをH1に切り替えつつGreen Cardの取得を目指すというもの。前提としては次の3点:
  1. この業界、人の出入りは原則『先入れ後出し法』に沿っている。すなわち、チームの立上げ段階で参画した者がそのビジネスのownerになってその後の resource(人材)を手当てする一方で、ビジネスが立ち行かなくなれば、後から入った余分なresourceを切り落としていく。
  2. 周りにまともな議論ができる人が常時大勢いるという、大学にいた頃と同じ今の環境が魅力的。初めて就職した時に、失敗したと思ったのがクオンツの特殊な仕事内容についてまともに議論できる人が周りにあまりに少なかったということ。結局、銀行の外に機会を求めざるを得なかった経緯があり、あんな思いは二度としたくない。
  3. 祖先から続く日本人だし、家も東京にあるので、もちろんいつかは日本に帰って仕事がしたい。
というわけでまず働く場所だけれど、2.から現在の環境は願ってもない状態。一方で、3.の理由から日本には帰りたい。日本に帰るなら、1.の観点からリストラ終了後のチームを作り始める所期段階で参画するのがベストであり、金融業界ではそれはまさしく不況の真っ只中が狙い目。とすると、今がまさしく不況の真っ只中なので、2.の観点で現在の環境に匹敵する環境を日本で見つけられれば、ベストだなと思った次第。ただ、この観点からさっそく各方面に連絡をして時間をかけて調べ始めてみると、不幸なことに僕から見える範囲では1.と2.を同時に満たす環境は見出せなかった。というわけで、次のチャンス(不況)まで待つことにした。とりあえず来年に向けてのリサーチアイディアも幾つかみつくろったし、今やっている内容もあと2年くらいは楽しめそうなので、このまま突っ走ってみようかと思う。

最後になったけれど、これがEduardoから今年を締めくくるメッセージとして送られてきたゲーテの格言。言い得て妙とはよく言ったもの。今年はまさしくこの通りでしたね(;´Д`):

Whatever you think you can do, or dream you can do, begin it.
Boldness has a genius, a power and magic about it.
If you can do something bold, all of a sudden you are at a different plane.
It is important keep doing that.

-- Johann Wolfgang von Goethe


[オフィスからの夕焼け(携帯で撮ったので写真自体はいまいちだけれど、ほんとに綺麗な夕暮れ時だった)]

水曜日, 12月 23, 2009

行く年来る年 2009 (I. 日本帰郷)

今年もやっと行く年来る年を語る季節になりました!いろいろとありながらも、今年もこの季節を家族全員が無事に迎えられたことに感謝です。

さて、振り返るに今年の自分のテーマはどうやら『キャリア』と当然ながらマーケットの『Healing Process』であったように思う。正直学生の時から好きなことばかりを追いかけてきたので、リサーチトピック(興味の対象)はかなり真面目に取捨選択してきたつもりだったけれど、キャリアプランなんぞについてはこれまで考えたことがなかったわけで(;´Д`) ただ、さすがに金融業界を襲った昨今の大嵐の直撃を経て、せめて"キャリアプラン"の大枠だけでも準備しておかないと不味いと思った次第。結論だけ先に書くと、『次の不況が起こるまで、NYで頑張るぞ!!』ということにした。ちなみに、この結論をみてハァ(゜Д゜)?!そんなのキャリアプランでも何でもないよ!!と思ったそこの方、それは違う!これは実は僕と家族にとってはかなり大きな誓約(commitment)なのです!というのも、『次の不況が起こるまで』=『5年間程度は』、『NYで頑張るぞ!』=『たとえ首を切られても、転職しても、日本には帰らずNYで頑張るぞ!』ということなわけ。これはでかい。更に、マーケットの『Healing Process』についても、その中に本質的でかつ大きな変化の胎動が見え隠れしてきている。これまで30年以上に渡りマーケットを支配していた構造が変わろうとしている。これはブラックマンデー後に起こったequity put/call optionのvolatility quoteの分離やスマイルの発生並にでかい。

詳細は順を追ってこの行く年来る年シリーズ2009で取り上げることにして、閑話休題。実は12月の初旬に日本に一時帰郷して、いろいろな人達と話をする機会があった(お世話になった関係者の方々、有難うございました)。上に書いた通り、もう当分は日本で直接仕事をすることもないと思うけれど、久しぶりに仲間と話すのは本当に楽しいし、新しい繋がりの種もまけてきたように思う。とはいうものの、突然仕事がふってきて本来会う予定であった先輩方に会えずじまいとなる残念な思いもしたりと結構慌しく過ごしてしまい、結局のところ時間が足りなかった。だからというわけではないけれど、これからは日本に帰っても"一時帰国"ましてや"日本出張"などとは言わずに"帰郷"と表現することに決めた。もうこれからはこちらで働く際にも"出稼ぎ"或いは"留学"的な感覚は一切持たない決意だし、やはり日本は故郷なわけだからね。

[築地でのマグロの競り風景(外人向けの冷凍マグロの競りしか見れず、意気消沈してトボトボ歩いていたら途中で生マグロ達に遭遇!!)]
[8月に京都旅行に行った際に八坂の料理屋さんの2階から撮った中庭と、云わずと知れた貴船神社の表玄関]


木曜日, 11月 05, 2009

祝 ヤンキース優勝!!

しかも松井がMVPって、凄すぎ。奥さんと二人でテレビを見ながら拍手喝采です。今年は年初からいろいろあったけれど、どうやら最高の形でフィニッシュできそうな予感。

月曜日, 10月 12, 2009

もう秋?!

夏場はいろいろと予定を詰めすぎて目の回るような日々。とりあえず、リーマン破綻1周年記念もなんなくスルーして仕事もプライベートも面白く、気がつけばもう秋。少しは落ち着くことを期待しつつ、年末へ向けてダッシュ!!

月曜日, 7月 06, 2009

相変わらず

もうアメリカのニュースはマイケル一色で、経済のことなんてもうみんな忘れてしまっているかのよう。ようやくマーケットも落ち着いてきて、僕としては安心して仕事に打ち込めるのでいいんだけどね。

土曜日, 6月 13, 2009

米国 401(k) 投資の実態

米国 401(k)ネタの続編です。ただし、資産運用といってもこのブログでは米国 401(k)に限って話を進めていきます(その他一般の資産運用については、不動産から株・債券も含めていろいろなブログで既に分析されてますから)。

さて、米国 401(k)の概要については以前のエントリーを見て頂くとして、まずはこれまでの成績です(IRRベース):

2007: 44.02%
2008: -49.13%
2009: 35.91%

インデックス投資を主体としてポートフォリオを組んでいたはずなのに、正直これではリターンのボラティリティが高すぎます(=リスクが高い)。2007年から2009年上半期にかけては、確かにアップダウンが激しい時期ではありました。ただし、原因は自分が選択したアセット・アロケーションにあったようです:

1) 投資期間を短期(1年程度)とし、最適戦略を選択していた
2) 高成長分野に集中投資していた
3) ほぼ全ての期間でキャッシュポジションがゼロであった

ロスカットの水準を事前にきちんと設定していたのは良かったのですが、結局サブプライムローン問題や新興市場ブームのさなかに投資期間を短期として最適戦略を選択してしまっていたため、唯でさえ激しかった市場のアップダウンを増幅してしまっていたわけです。本来なら市場がブームになっている時にキャッシュポジションを厚めにしておくべきだったのに、高成長分野に全力投資になってしまっていたのも原因でしょう。これから引退し実際に401(k)の資産を取り崩し始める59.5歳まではかなり時間があるのでリスクはいくらでも取れるわけですが、ここまで増幅されてしまうと戦術調整のために週末の時間を取られてしまって駄目です。というわけで、時間との兼ね合いも考え、投資期間を4年程度に伸張することにしました。

結果、より長く1つのファンドを保有することになるので、401(k)プログラムが提供する各ファンドのexpense ratioを調べてみることに。やはり、インデックスが断然安いですね。

1) S&P 500 Index Fund: 0.02%
2) BGI Aggregate Bond Index Fund: 0.06%
3) MSCI ACWI ex US Index Fund: 0.09%
4) Pimco Real Return Fund: 0.45%
5) High Yield Bond Fund: 0.55%
6) US Mid Cap Value Fund: 0.65%
7) US Real Estate Fund: 0.96%
8) MSIF Inc Emerging Makrets: 1.43%

というわけで、『ウォール街のランダムウォーカー』を参考に、上記3つのファンド(1)-3))へのインデックス投資を中心に、残り10%程度をインフレ資産(4)-8))へ振り向けてポートフォリオを構成してみることにしました。目標リターンは8.3%、expense ratioは0.50%以下を目標にしています。

今後は、備忘録的にこのブログに結果をアップしていきたいと思います。

日曜日, 6月 07, 2009

ちょっと嫌な感じ

この間、良いアイディアを思いつけないかなぁと、仕事帰りに写真にある公園のベンチでちょっとぼーっとしていたら、散歩中のお爺さんに『ここはNYでも最高のスポットの1つだよね』と声を掛けられちゃいました。小さな公園を多分健康のためでしょうか、杖をつきながらぐるぐる何回も何回も回っているような全然知らないお爺さんです。とりあえず、『ホント最高っスね、ここ』と返しておきました。

なんだか気分の良い夕暮れ時。

でも、仕事も生活も、マーケットまでもが調子いいとなんだか不安になってしまいます。基本は田舎もんなので、こんな良いことが続くはずがないと思い込んでるわけです。うーん。ちょっとこの居心地の悪さはどうにかしたいものです。

日曜日, 5月 31, 2009

海外で働くということ

日本は明治の昔から所謂"外圧"に弱いし、"海外帰り"というとそれが留学であろうが駐在であろうが何か特別な目で見られる文化がある。特に最近は「海外(特にアメリカ?)だと〜が当たり前なのに、それに比べて日本はどうか」という話はよく聞くところ。一方で、賢い人や組織は逆にこれを利用して、日本において自身の理想を実現する際の梃子として海外の事例や経験を利用してきた。超保守的な日本文化の中にあって、この方法はかなり有効であることがこれまで分野に限らず証明されているし、僕も何時か日本に帰ったらおおいに使わせてもらうつもり。

ただ、これが行き過ぎると渡辺さんのブログのようになってしまう。まるでSPA!を読んでるようで、かなりウケタけど。そんな中、眠人さんのブログに冷静な意見がでていて大いに元気づけられた:「他の国で働こうと他の県に就職しようとそれは大した違いではない」。

まさしくそうなんだよね。特に僕が今関わっているような仕事は、ニューヨークやロンドンで探した方が、内容も面白くてかつ給料の良い仕事がごろごろしているわけ。東京で興味のある仕事がなければ、他の都市で探すのは当たり前。そもそも大学を卒業して、それまで離れたくなかった京都からいやいや東京に出て行ったのも、京都では金融の仕事がなかったからなわけだし。そもそも、「日本の国力の衰退」と「仕事(内容と場所)の選択」とは関係ない。人口動態から日本の国力が落ちていくのは当然としても、ビジネスはそれに合わせて規模を変えていけさえすれば、利益水準は維持できるわけだから悲観する必要は全くない。そもそもパイが減っていく中であっても、それ以上のスピードで担い手が減っていくのであれば、取り分は増えそうなもんだ。一方で、国として整備している年金やその他社会保障制度は安易にその規模を変えるわけにも行かないので大変なことになる。行政サービスの担い手やこれまで日本の国力に頼ってきた所謂"政商"にもそういった意味で、将来はない。

というわけで、僕は「日本の国力の衰退」は大いに心配しているけれど、まっとうなビジネスについてはその将来を全く悲観していない。一方で、面白い仕事が日本で見つからないのであれば、履歴書をe-mailしてどんどん海外に出て行けばいいんだと思う。海外での日本人の評判は決して悪くないわけだから。そして何時か日本に帰ったときは、その経験を武器に自分の理想を実現するために奔走すればいい。そう思う。

月曜日, 5月 25, 2009

新サーバーへ移行

ようやくサーバーの移行が完了しました。かなり処理時間が短縮されたように思います。

日曜日, 5月 03, 2009

April Showers Bring May Flowers

決算発表、まぁまぁでしたね。週末は暖かくなってきたので、ドライブに出かけてvineyardで寛いだりしてました。緑がまぶしすぎです。"April Showers bring May flowers"とは良く言ったもの。ただ、まだ風が肌寒いので、風避け(プラスチックの透明なカーテン?)があるのがご愛敬といったところ。ところで、ワイン作り屋さんのプロ仕様の葡萄ジュースはやはり美味しいです。市販されているジュースとは似ても似つきません。これだけ美味しければ、ワインが美味しくなるのも納得ですな。

一方、街道沿いの骨董品店がことごとくセールをしていたり、お店がなくなっていたりする印象があり、少し気になりました。相変わらずロブスターや生clamは最高に美味しかったし町並みもキレイなのだけれど、さすがにhamptonsにも不況の波が押し寄せてきているようです。この国は景気の影響が直接いたるところに現れるようで、ほんと節操ないですね。

その他、最近気になった点を幾つか備忘録的に列挙しておきます:

1) Europe系のquantsはやはりアプローチが全く違いますね。DupireやBergomiの話を聞いていると、面白いけれどなんともいえない距離感を感じてしまいます。この点については、後で掘り下げて考えてみたいと思います。
2) なんで日本はこんなに国民の休日が多いんだろう...
3) NY系のブログを見ていると、去年あたりから西海岸へ移っていっている人達が目につきます。なのに、NYへ頻繁に訪れている....何故か日本人は米国の中でも特にNYがお気に入りのようです。以前、同僚に聞かれて答えに窮したのですが、なんで日本人はボストンやサンフランシスコではなくNYが好きなんでしょうか。謎です。僕は子供の頃の影響もあり、カリフォルニアが今でも大好きです。
4) アメリカ生活を綴っていたブログの書き手が日本に戻った後も何かとアメリカを話題にする件について。アメリカにいた間はたまに東京に帰ると、"日本食は最高でやっぱり安心する"とか書込しているのに、日本に帰った途端に日本食には目もくれず、持ち帰ったワインやアメリカ出張の事ばかりの書き込みになるのは、結局アメリカが好きで、日本にいる友人に気を使っていただけということなのかな。
5) NYの地下鉄は記号で呼ぶものであって、色で呼んでいる日本人がいたら気を付けろ。例えば、A trainを赤色の電車とか呼んでる人。
6) キャリア官僚の方と話していても、決して自分の省庁の事を"うちの会社"とは呼ばないのだけれど、日銀の方と話していると"うちの会社"と呼ぶ人が多い件について。日銀ってそもそも会社なんだったっけ? ま、一応株も上場してるしってことなのかな。
7) Swine Flu、めちゃめちゃ怖いっス。特に若者の間で流行しているとか。そしてふと自分がまだ若者に分類できるのか判断しかねる瞬間が、更に怖い。
8) 投資も仕事も所詮山あり谷ありなのは、皆が認めるところ。でも、いざ自分に降り懸かってみるとなかなか対応が人によって分かれるので、面白い。ここで、名言:「人間の器量というのは二つの点を見れば大半わかる。一つはその人物の絶頂期の振舞い。もう一つは最低期の振舞いがどうであったを見ることだ」(松平慶民)
9) 最近は人生始まって以来、3回目の絶頂期なのかなと思う。初めてこうした感覚に捕らわれたのは、大学院で研究を始めた頃。2回目は銀行で仕事も寮も面白くて仕方なかった頃。大体5年に1回のペースですな。そして、経験則によるとその数年後には思いもよらなかった大きな変化が訪れている...さて、今回はどんな帰結が待ち受けていることやら。楽しみ。

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そこに気になることがあるということは、何らかの歪みがあるということ。そしてその歪みは何時か解消される。それが市場の掟です。

土曜日, 4月 25, 2009

人多すぎ

今年も春の定番、Sheep Meadowへ繰り出すと、そこは人・人・人・人・人....まるで渋谷の交差点のような状況に。

土曜日, 4月 11, 2009

ようやく春の気配

今週の週末は久しぶりに切羽詰まった締め切りを抱えていない、ゆっくりとした週末でした。3連休でしたしね。ただ、桜はまだ5分咲程度でしょうか。来週からはCDS Big Bangも本格的に始まるし、また大変そうです。

ところで、最近Manhattanでもリテール店舗が店を閉め始めてます。それに合わせて70% offといった信じられない値下げで店じまいセールが展開中。近所のチョコレート屋さんも潰れてしまったし、今までお高くとまっていた家具屋の店じまいセールも始まりました。ようやくManhattanにも不況の波が押し寄せてきたといった感じ。問題はその後に給料がどれだけ下がり始めるか。日本は前回の不況で結構下がったから、今から戦々恐々ですね。

土曜日, 3月 28, 2009

401 K.O.?

先週の週末は久しぶりに奥さんの買い物に付き合って、sohoへ。天気も良かったので、服屋さんのウィンドウに目を凝らしている奥さんの傍ら、青空を見ながらのんびりと歩いていたら図らずも今年一番のキャッチコピーに遭遇!! Online証券大手のCharles Schwabの広告なのだけれど、大きく"401 K.O.?"とある。思わず道端で笑い転げてしまった。もちろん我が家も401(k)では昨秋かなりの損失を被ったわけで、本当は笑えないのだけど、あまりに的確な表現にこちらがKOされることに。なにせまだプログラムを始めてから2年しか経っていなかったので、まさしく2R KOだったんだよね。3R目の今年は、幸運にもだいぶ戻してきているものの未だに運用ポートフォリオのIRRは年率3.3%程度と低迷中。

結婚を機にもう一人身でもないことだし、お金も僕だけのものではなくなったからと、それまで自分だけに投資してきたcash flowを資産形成に回し始めたのはちょうど3年半前。たった115万円から始めた割には順調に増えてきてはいるものの、IRRが年率3.3%というのはあまりにお寒い状況です。。せめて2年程度早めに資産形成を始めていれば結果も変わってきていたのだろうけど、あの頃はまったくそんな気にはなれなかったからなぁ。。

ところで最近日本のマネー雑誌を手に取ると、今の相場は歴史的に見ると大幅に安いから買いを入れるべきで、いくら評価損が出ていようとも負けずに定期的な投資を続けるべきだと、そうしてこそ投資のリターンが得られるとかいう論調が目立ちます。信ずる者は救われるということでしょうか。でもこれって明らかに金融機関側のセールストークですよね。どこぞの荒行でもあるまいし、資産運用ってそんなに辛いものなんでしょうか。我慢強い日本人の国民性につけこんだ本当に酷いリテール向けのマーケティングです。大きな損が出たら(or K.O.(?) されたら)、素直に負けを認めて(損失を確定させて)、練習し直してから気分を一新して次の試合に臨みたいものです。

Quality of Quant Job

相変わらず忙しいです。常時かなりのプレシャーの中、短時間で精密な計算を求められる日々。遂にこの間、ポカをやってしまいました。補間アルゴリズムへのインプットが微妙に間違っていて、僕の計算結果を使ったすべての結果がやり直しを迫られることに。。。プレゼン資料も作り直さなければならなかったようで、担当している女性の方が悲鳴を上げていました。。。難しいけれど、経済もマーケットもこんな状況だからこそ、仕事の質だけは落とさないように気をつけないといけませんね。

木曜日, 3月 12, 2009

不況

それにしても、日本でも知り合いのメールアドレスがめまぐるしく変わり始めましたね。ボーナスシーズンも終わって、動きが加速してきたんでしょうか。。。

木曜日, 2月 26, 2009

CDS Standard model

This was quick:  ISDA has just released the CDS standard model with open source license, which is based on the J.P. Morgan's analytical engine. 
 

水曜日, 2月 18, 2009

Inflation Targeting

遂にキターーー!!!リフレ政策の正式発動もまじかです。http://online.wsj.com/article/SB123497955720814011.html?mod=testMod