水曜日, 12月 31, 2008

大晦日

大晦日です。日本ではもう新年ですね。明けましておめでとうございます。

今年はいろいろと勉強になる話題が目白押しでしたけれど、それらがあまりにも身近で起こってしまったので僕自身にまで火の粉が降りかかってきて大変な年でした。なんとか自宅炎上は回避できたので、良しとしましょう。

それにしても忘れられないのが、Lehman破綻後の一週間。マーケットの話は至るところで語りつくされているでしょうが、その裏には様々な人間ドラマがあるものです。Lehmanの一部社員達はあの日曜日の夜にほとんど泣きながら再就職先を求めて電話を掛けていたそうです。僕の上司もそうした電話を取ったうちの一人です。自社株に投資(半ば強制ですが)していた為に散財し、職もなくなるわけですからまさに藁にもすがる思いだったのでしょう。一方で、最後まで一部のトレーダーは利益をだすために奔走していたとか。ボーナスもでないだろうに、何故いまさらLehmanで利益を作ろうとするのか理解できないというのが衆目の一致するところではありましたが。他方、僕の同僚は 9月16日がちょうど在籍20年目を迎える最後の日だったのですが、自分のいる会社ももしや潰れるのではないかと内心ひやひやしていたとか。なんとか20 年目を迎えれたわけですが、手放しで喜べる状況でもなく、その後の展開はご存知の通りです。あの一週間を経験したことで、ようやく僕もブラックマンデーの経験者と肩を並べることができるということでしょうか(;´Д`)

というわけで、今年のクリスマスパーティは質素でした。NYでは今回で出張時も含めて3回目のクリスマスパーティでしたが、Irish Pubを貸しきって飲むスタイルは初めてです。微妙ながらもわいわいやって楽しかったわけですが、その場でdivision headが『これもキャリアの一部であって、そのキャリアこそが重要なんだ』といったことを言っていたのが印象的でした。学生の頃から好きなことばかりを追いかけてきた僕にとって、初めて自分のキャリアについて真剣に考えてみようと思った瞬間でした。

来年も良い年になりますよう。

火曜日, 12月 30, 2008

NYでの生活立ち上げ記録 ~ Non-Drivers ID & Drivers License 編

さて突然ですが、NYCのナイトライフを楽しむ為の日本人の必需品は何でしょう?そう、ずばり生年月日と顔写真付きのIDです。バーにしろクラブにしろ、童顔の日本人は自分の年齢を証明するのにいつも苦労するわけでヽ(`Д´)ノウワァァァン。

というわけで、毎回パスポートを持ち出すのが面倒な人はIDを作る必要があります。米国でいわゆるIDというと、免許証(日本と同じですね)かNon-Drivers ID(免許証と同じ情報が載っているただのID)を指します。Non-Drivers IDを作るのは超簡単で、最寄のDMVへpassport+scocial security card+credit cardを持って申請すればその場で作ってもらえます。とはいっても、大抵混雑してるので2-3時間は並ぶはめになりますが。一度取得しさえすれば、更新はオンラインで可能ですし、有効期限も5年以上あるので日本に比べると楽チンです。

でも、これだけでは車を運転はできないので、やはり免許証を作る必要があります。実は免許証も日本に比べるとはるかに簡単に手に入ります。大統領選で免許証の移民向け発行手順が議論される所以です。その手順はというと、Non-Drivers IDと同じく、passport+scocial security card+credit cardを持って申請し、その場で簡単なペーパーテストを受けます。このテストは超簡単でかつ日本語でも受けられるので、一夜漬けであらかじめ過去問を勉強してさえおけば落ちることはありません。これだけで日本でいう仮免をもらえます。その後は、2時間程度の簡単な講義を受けた後、10分程度の路上試験をパスすれば運転免許証を発行してもらえます。路上試験はNew Rochelle, White Plains, Yonkersの3つの中から試験場を選んで受けるのですが、試験場といっても通常の住宅街なんですね。一応、town hallのようなところが集合場所になっているものの、周りの住民はいい思いをしないだろうなとか思ってしまいます。試験内容は、住宅街を普通に走った後に、縦列駐車とUターンをするだけ。正直、日本で免許を持っている人にとっては右側通行さえ守れれば落ちるわけがないという内容です。僕はその右側通行を守れずに落ちてしまいましたが。。いちおう言い訳としては、朝の早い時間で回りに車が一台もいなかったので、ついつい右に曲がったところで左車線に入ってしまったのですよ。。一発で落ちてしまいました。当然ですよね(;´Д`)。もちろん2回目はお昼過ぎの時間を選んで、無難にパスしました。講義と路上試験については日本語の通じるdriving school (1 or 2)を使うと便利です。

日曜日, 12月 28, 2008

失業に関する日米の温度差

以下は読売新聞の記事から。
非正規労働者の失職、来春までに8万5千人(12/25付)

雇用情勢が急速に悪化する中、今年10月から来年3月までに職を失ったか、失うことが決まっている非正規労働者が約8万5000人に上ることが26日、厚生労働省の調査でわかった。

 今月19日時点で把握した数値で、前回調査(11月25日時点)の約3万人に比べ、3週間余りで2・8倍に急増した。このうち、再就職先が見つかった人は、企業が動向を把握していた1万7000人余のうちの1割強にとどまり、住む場所を失った人が少なくとも2100人余に上ることもわかった。

 非正規労働者の失職は、全国の労働局やハローワークが企業から聞き取るなどして調査した。

 それによると、期間満了後に契約が更新されない「雇い止め」や、契約期間が残っているのに契約が打ち切られる中途解除によって来年3月までに職を失うのは、派遣労働者が5万7300人で全体の67・4%を占めた。

 期間従業員などの契約社員は1万5737人、請負労働者は7938人で、パートやアルバイトなども含めると計8万5012人。このうち、年内に失職するのは5万2684人という。都道府県別にみると、最も多いのが愛知県で1万509人。長野県4193人、福島県3856人、静岡県3406人、栃木県2912人と続いている。

 今回の調査では、再就職や住居の状況についても企業から聞き取った。それによると、再就職先が見つかったのは、企業が把握していた1万7171人のうち、11・8%の2026人にとどまり、残る1万5145人は職が見つかっていない。住居の有無は、3万5208人について企業が把握しており、このうち住む場所を失ったのは6・1%の2157人だった。

正直何かの読み違いかと思ってしまいました。ここのところ日本での報道をぼんやりと見ていると、派遣・期間工の失職問題を騒ぎ立てていたので他人事ながら大変だなぁと思っていたのだけれど、実際の数字を見てその少なさに驚いてしまった。統計局のデータによると日本の全就業者数は6391万人いるので、仮に上記データが正しいとすると、非正規労働者の失職者数は全体の0.13%に過ぎない。廃業・倒産などの場合を除いて、日本型の雇用形態で正社員の雇用が守られていると仮定すると、この8.5万人という数字は今年10月から来年3月までの失業者数の大枠を示していると思われる(完全失業率は11月のデータで前月比+ 0.24%増)。この数字は米国のそれに比較するとかなり低い。米国では、所謂失業保険の週毎の新規申請数はここ20年ほど30万人~50万人で推移してきている(就業者数に対する比率は、0.21%~0.48%で推移)。というわけで、10月から3月までの半期で非正規雇用の新規失業者数が0.13%増という数字は、米国の好景気なみの水準よりも著しく低い。全国紙は特定の団体向けのメディアではないマス・メディアの筈なので、これだけこの問題を取り上げるのには数字以上の問題を孕んでいると判断しているからなのでしょうね、、、きっと ヽ(´ー`)ノ

それにしても、日本企業は本当に従業員にやさしいなぁとつくづく思う。もう来年で僕も米国企業でのキャリアの方が日本企業でのそれより長くなってしまうので、最近ではリストラ or 失職なんて当たり前と考えるようになってしまっている。SNS(Facebook, Linkedln etc)なんかも失職した時の為の連絡網だ、くらいにしか考えられなかったり(;´Д`)。少し考え方を洗い直して、修正しないといけませんね。

土曜日, 12月 27, 2008

金融工学

今年は(というより昨年より)CDO, RMBSに代表される"金融工学"を用いて設計された商品群が崩壊したことにより"金融工学"自身にも注目が集まりました。この分野がわかりにくいことも手伝って、理不尽な批判も目にすることが多いです。サブプライム問題は"金融工学"が作ったとまで謂われる始末です。もちろんプロの投資家は事情を知った上で知らん振りをしているのでしょうが、ここで少し問題を整理してことの本質を明らかにしておきたいと思います。

これは前にも書いたことがあるかもしれませんが、まず"金融工学"という言葉を使うのはやめましょう。これはFinancial Engineeringという単語を単に日本語訳した浅はかな造語です。この単語を使うことで日本語による思考が楽になったりするものでは決してなく、余計な誤解や齟齬が増えるだけです。こんな造語を使っていては、漱石や高木貞二に顔向けできません。実際には、computational finance (金融計算機学とでもなるでしょうか?) とか mathematical finance (金融数学とでもなるでしょうか?) と呼ばれる分野の仕事がこうした商品群の設計を可能にしているのであって、英語でもいまどきfinancial engineeringによって云々などといったら素人だと思われてしまいそうです。

では、金融計算機学や金融数学の何が問題だったのか。金融計算機学は天文学的な計算を可能にしたり、計算速度自体を速める方法を考案するわけなので、特に問題があったわけではありません。強いていえば、商品が複雑になるほど計算時間が掛かるので、リアルタイムで時価やリスク指標等を計算しづらいという問題を完全には解決し切れていないという意味で責任の一端があったかもしれないという程度です。では金融数学についてはどうでしょうか。これは更に次の2分野に大別されます:

1) 確率解析学と無裁定原理に基づいた資産価格付け理論: デリバティブの価格決定時に良く使われるものです。主要な前提条件は、将来の価格の分布形状であり、よく対数正規分布や正規分布が仮定されます。

2) 数理統計学に基づいた投資理論: ポートフォリオの分散投資時やVaRの計算に良く使われるものです。主要な前提条件は、過去の価格データから推計された統計量が普遍であったり、或いは時間回帰するものであるとすることです。よく相関の普遍性であったり、回帰分析された関係式が普遍であると仮定されます。

まず1)についてですが、前提条件が少々崩れようともこの理論はびくともしません。細かいことをいう人はよくBlack-Sholes式は対数正規分布を前提条件にしているが、実際の株式の価格分布は対数正規分布ではない云々ということを主張します。ただ、こうした違いは前提条件を正しく理解してさえいれば、使用する上で特に障害とはなり得ません。2)についても、本来は同様です。ただ、2)の方が過去データへの依存度が高いという意味で注意しなければなりません。過去データのモデリングが物理の法則を発見する作業に似ているので、物理屋さんが重宝される分野でもあります。

さて、ではCDOやRMBSの設計段階で問題だった箇所はどこか?それは過去のデフォルト率や早期返済率を推計する際に考え出された過去データのモデリング部分, 2), です。こうしたデータモデリングはある意味CDOやRMBSといった商品に内包されている投資戦略そのものであるものの、推計レンジが長期化すればするほど推計が難しくなるという問題があります。人口統計等の長期推計値がよくぶれるのと同じです。

プロの投資家であればこうしたリスクは承知していたはずでしょう。過去データのモデリングが商品としての投資戦略を決定付けていることも。いまどき過去データから推計されたリスク・リターンをそのまま使って分散投資する投資家はいないように、今後はこのCDOやRMBSで使われるデータモデリング部分も投資家毎にカスタマイズするような方向になっていくのかもしれません。

金曜日, 12月 26, 2008

Holiday Sale 2008

今年のセールはやはり駄目だったようです。昨年比でtotal retail sales(excluding automobiles)の結果をみると、11月は5.5%の減少、12月は8.0%の減少。ガソリンがかなり値下がりしているので、その影響を除くと11月で2.5%、12月で4.0%の減少 (WSJ)。弱いですね。ただ、個人的には今期のセールの売りである大幅な値下げにまんまと釣られていろいろと買い込んでしまいました(;´Д`)。なかでも驚いたのがDesktop PCとTV, オーディオ関連の値引率。それぞれ35%, 45% offが当たり前の水準でこちらが利益率の心配をしてしまうほど。僕もこの機会にDesktop PCと前から欲しかったHome Theater用の機器を買いました。部屋が広くないので奥さんとも相談して今のところ2.1chにしかしてないのですが、やはり独身時代に買った安物コンポとは比較にならない良い音で満足してます。

水曜日, 12月 24, 2008

朝食

もう今日に限ってはマーケットも会社も閑散としてますね。ところで、最近朝食にベーグルを良く食べるようになりました。急ぎの用事のない朝は、社食でベーグルを焼いてクリームチーズとジャムをつけて食べてます。これが何故か無性に美味しいんです。お腹にもたまる優れものですが、少々カロリーが高そうなのが気になるところ。NYCに来てから1年半経ってようやくベーグルの味に気が付きました。

月曜日, 12月 22, 2008

Another milestone for my entire life

お久しぶりです。皆様如何お過ごしでしょうか。僕はといえば、なんとか激動の第4四半期を潜り抜け、今は無事にボーナスをゲットしてホッとしております。とはいうものの、前回の日本での金融危機時もそうだったのだけれど、普段連絡をしてこない古い知り合いから突然生存確認メールがきたりで、どうしたものかちょっと戸惑ってしまっていたり。僕は相変わらず元気にやってますし、まだクビにもなってもいませんし、会社も潰れてません(;´Д`) ご安心を!! でも、投資銀行業界は無くなってしまいましたね ド━(゜Д゜)━ン!!

というわけで、ようやく12月になりました。年度末もなんとか切り抜けて、待ちに待ったホリデーシーズンの到来です。NYCではThanksgivingが終わると同時にロックフェラーにて恒例のクリスマスツリーの点灯式があったりで、街も徐々に混み始めてきています。点灯式の当日は交通規制が敷かれていて、普段は20分ちょいで会社から家まで帰れるのに1時間以上も掛かってしまったり。どうやら会場ではトップスターがクリスマスシーズンにぴったりの歌を披露していたようなのですが、まったく聞こえませんでした。

ところで、最近ブログの更新が滞ってしまっているのには理由があります。まさに金融危機の震源地付近で右往左往しているわけで、正直ここには書けない事だらけの毎日なんです。ヘタを打つわけにはいかないし、臨場感のない文章もつまらないので自ずと筆が遠のいてしまいます。それにブログどころではなかったというのが本当のところですね。

とはいうものの、備忘録を残しておかないと忘れてしまいそうなので客観的な事実を中心に纏めてみます。まず今秋のイベントのポイントですが、潮目が変わる or 海の色が変わるというレベルではなく、"ビックインパクト"(恐竜全盛期を断絶したといわれる小惑星の衝突)でした。その後のマーケットが崩壊していく様はまるで氷河期に入っていく前兆のようで。。中にはスローモーション暴落とみる向きもあったものの、これだけ大きな変動があのスピードで起こるとは、、というのが正直な感想です。ここで主な市場の変動率を見てみましょう (Q4/2008):

Oil: -53.1%
NIKKEI 225: -39.5%
S&P 500: -33.6%
GBP: -17% (realized vol of 26.1%)
NG: -13%
EUR: -12% (realized vol of 23.3%)
Trsy 10y: +11%
JPY: +12% (realized vol of 31.0%)

CMBS: +50% (spread widened)
CDX: +75% (spread widened)
Italy CDS: +300% (spread widened)

こんなことってあっていいのでしょうか? 第4四半期だけでこの変動率!! そして次は主な経済指標の動きです:

Weekly Initial Unemployment Claims: 11/22時点での4週移動平均値が518,000人ということで、'91, '01の景気後退期を上回る水準。ちなみに、'91,'01共に4週移動平均値は500,000人以下。
Total housing starts: 住宅着工件数は625,000/月ということで、Census Bureauが1959年に調査を開始して以来の最低水準。90年代, 80年代初頭もこれよりましでしたね。
Builder confidence index (NAHB): 11月、12月と9 (50がneutral)です。もちろん調査開始以来の最低水準。
Retail sales: nominal retail salesは11月時点で8.4%(YoY)の下落。これも調査開始以来最大の下落率。

12月短観: 各DIは前例がない低下幅を示しています。-21pt (業況判断DI, 大企業・製造業), -22pt (海外需給判断), +7pt (大企業 雇用判断, 余剰), +6pt (大企業 設備投資, 余剰)。

こんなことってあっていいのでしょうか??そして主な中銀の政策金利の誘導目標の動きです:

ECB: rate cuts of 1.75% in two months to 2.5%.
BOE: now its key rate is at 2%, which is the lowest level since the bank's founding in 1694 (!!)
New Zealand: now its key rate is at 5.0%, which was at 8.25% at the beginning of 2008.
FED: now at 0-.25% with quantitative easing (ZIRP+QE).

こんなことってあっていいのでしょうか???

閑話休題、『行く年来る年』という句は日本語の中でも大好きなフレーズの一つです。せっかくのクリスマス休暇ですので、これから年末年始に掛けてゆっくり今年を振り返っていこうかと思います。

土曜日, 10月 04, 2008

Sep 08

ようやく魔の9月が終りました。Labor dayの週末をHamptonsで過ごした後、心機一転また年末まで頑張ろう!と思った矢先の大混乱。もうマーケットも何もかもがChaosでした。とりあえず、なんとか生き延びているものの、今後の展開は予断を許しません。このブログもだいぶ更新頻度が落ちてしまってます。100年に一度の業態転換の真っ只中にいるので、下手なことを書くわけにはいきませんしね。とりあえず、マーケットの抱える問題点と雑感を幾つか。

1.信用とは一体何だろうか。

まだ取り上げてないのですが、今年の年初から事あるごとにLIBOR問題が取り上げられてます。米系の商業銀行が嘘のレートを提示しているのではないかと。Lehmanも最後は誰にも信用してもらえず、跡形も無く崩れ落ちてしまいました。十分な審査もせずに実行されたローンは誰からも見向きもされなくなってしまって、政府が買い取るという最後のカードをきることに。金融業界に入ってからもうすぐ十年目。日本、米国で未曾有の金融危機を経験して思うのは、it's a fragile industry that we are living inということ。

2.モデルの限界点

いままでいろいろとモデルを作ってきて、自分で言うのもなんだけれど、かなり役に立っていると思う。でも、今回ばかりはモデルの限界点を目の当たりにしてしまった。予想外の事態が連続して起きることでどこまでがモデルの前提に含まれていているとしてよいのか線引きしずらいし、まったく想定の範囲外ではモデルはもはやマーケットに信用されないという意味で、意味をなさなくなってしまう。

3.金融の複雑化とフラット化

金融業界内でも複雑なスキームや商品は満足に理解されなくなってしまっている。こうした複雑化はそれはもちろん業界外の人達に不信感を抱かせる要因の一つとなるし、フラット化を通じてその影響は全世界へ拡がることに。人々の生活を容易にしたり、夢を実現するためにファイナンスを付けるのに必要な進化だったと今でも思うものの、その制御に有効な手立ては結局未解決の大問題として残ってしまった。さてはてどうしたものか。

*****

ここ一ヶ月、かなり疲れたので今日は急遽息抜きにワシントンD.C.に来てます。週末のD.C.はのどかなもので、ワシントン記念塔をバックに公園でリスを眺めてリラックス。来週も頑張りましょう!

月曜日, 9月 15, 2008

History man... History

実は前回のエントリー"9.11"で、来年もLehmanの電光掲示板を見れればいいなと書こうと思ったのだけれど、なんだか不吉なことを書くのが嫌で敢えて言及しなかった。けれど結局、今日最悪の事態が決定してしまった。本社ビル前の道は報道陣の車両で固められていて、従業員はダンボールを抱えてビルから出て行くというなんとも寂しい状況。メリルも同時に買収されてしまって、なんだかUFJの最後をリプレイされているような感じ。

ただ、熊さんの時とは破綻までの道のりとその理由も決定的に違うわけで、bankruptcyがrationalな帰結であったのは間違いなさそう。日本で起こった金融危機時には誤った判断を積み重ねてしまった為に先が見えなかったけれど、今回の危機時には少なくともベストな判断を積み重ねていっているので、まだ希望は持てる。その違いはやはり破綻の正確な影響を事前に把握できるだけの金融技術や仕組みが確立しているかなんだろうな。それにしても、みずほはメリルでもリーマンでもやられてカワイソす。ヘッジしてたかどうかまだわからないけれど、株の減損処理とローンに関する引当金の計上でまた1,000億円規模の損失が出そうな気が。。

木曜日, 9月 11, 2008

9.11

今年も出勤途中にLehmanの本社ビルに流れる星条旗を見ながら、軽く黙祷。最近気が付いたのだけれど、今いる10弱のチームのうち2人が9.11にWTCで働いていながら生還していた。なんという偶然、なんという確率。

火曜日, 8月 05, 2008

From Moscow

仕事がめちゃめちゃ忙しく&楽しくてブログを書いている暇がなかったのだけれど、そのままの勢いで夏休みに突入してしまいました!というわけで、今はモスクワにいます。クレムリン凄すぎ。

日曜日, 6月 15, 2008

ニュージャージーへGo!

予想通りボラティリティが上昇している中で、来週の投資銀行勢の決算発表が注目ですね。お楽しみは来週にとっておくとして、今日はニュージャージー体験記です。

うちの奥さんの通っている美術学校関連の友達で、某超一流メーカーの駐在員のご夫妻のお宅にお邪魔してきました!会社がニュージャージーにあることもあって、ちょうどマンハッタンの摩天楼が綺麗に見える川沿いのマンションに住まわれているんですが、これが予想以上に広い!!所謂2 Bedタイプのお部屋で、ゲスト用のお風呂とトイレ付き。トイレが二つある家は日本にもあるけど、お風呂まで2つある家はもしかしたらはじめてかもしれん。さらになんとプールとテニスコート付き。リゾートホテルみたいです。プールはマンハッタンでもアパートの最上階にある物件もあるけれど、テニスコートはさすがに無いですよね。そしてやはり車社会のようで、車も2台所有しているとのこと。うーーん、まさしくこれが僕が思い描いていたアメリカの生活です!去年うちのhome warming partyに来て頂いた時もいろいろと話せて面白かったけれど、今回は4人だけだったのでやはり盛り上がり方も違って楽しい時間に。非常に健康的で落ち着いた暮らしぶりに感化される面も多く、二人で感心してしまったり。

もう一つ驚かされたのがフェリー。ニュージャージーへは車、電車でも行けるのだけれど、今回は時間の読めるフェリーを薦められてハドソン川を横断。最初は電車の方が早いのではないかと思っていたのだけれど、船着場も含めて全てが新しく綺麗でかつ速い!日本みたいにきちんと時刻表が行き先毎にスクリーンで表示されているし、地下鉄なんかより数倍進んでる!

巨大日本食スーパーも近いし、ニュージャージーかなり良いかもしれん。2年後にこのアパートの契約が切れる時の検討リストに組み入れ決定です!

月曜日, 6月 02, 2008

Japan Day @ Central Park

今日はセントラルパークでJapan Dayがあったので、友達達と総勢7名で参加。なんだか暑くて芝生の上でまったりと過ごすだけであっという間に時間が経ってしまう。久しぶりにだらけた週末になってしまった。

日曜日, 5月 18, 2008

Q1/08 米国主要企業決算の結果

Q1/08 米国主要企業決算の結果は、対マーケットで16勝11敗7分でした。業種もそれほど偏ってるわけでもなく、好印象です。

さて、予想通りここ数週間はボラティリティの低い展開となってましたが、先週で決算発表も終ったので、またボラティリティがじわじわと上昇してきそうですね。

Money Marketの混乱も随分収束してきたので、また後でまとめてみたいと思います。

土曜日, 5月 17, 2008

総括: The 2007-08 Season (Carnegie Hall & Metropolitan Opera)

5月をもって07-08シーズンも終了してしまいました。また9月までClassic, Operaはお預けです。というわけで、昨シーズンの総括:

1. Berliner Philharmoniker
Conductor: Sir Simon Rattle

"Seht die Sonne", Magnus Lindberg
"Symphony No.9", Gustav Mahler

サントリーホールと違い、やはりCarnegie Hallは全く音割れが無く素晴らしいです。ただ、相変わらず打楽器系の曲目はちょっと僕達夫婦には漸進的過ぎて難しい。。Mahlerの9番は素晴らしかったものの、曲の最後にサイレンの音が重なってしまい残念。Sir Simonもちょっと不満そうでしたね。

2. Vienna Philharmonic Orhestra
Conductor: Valery Gergiev

"Excerpts from Rome et Juliette, Op. 17", Hector Berlioz
"Prelude and Lebestod", Richard Wagner
"Lamer", Claude Debussy

久しぶりのウィーンフィルだったのに、何故かあまり音が綺麗でない。。どうしてだろう。来年に期待。

3. Royal Concertgebouw Orchestra
Conductor: Mariss Jansons

"De aankomst", Otto Ketting
"Piano Concerto No.3 in C Major, Op.26", Sergei Prokofiev
"Symphony No.2 in D Major, Op.73", Johannes Brahms

昨シーズンのNo. 1。独奏の音も素晴らしくびっくり。ブラームスの2番てこんなに良かったんだと教えてもらいました。更に、NYでは珍しくアンコールにも答えてくれるというサービスに感激しました。

4. Till Fellner, Piano

"Rando in A Minor, K. 511", Wolfgang Amadeus Mozart
"Fantasia in C Major, Op. 17", Robert Shumann
"Legende No.2: St Fancois de Paul marchant sur les flots", Fanz Liszt
"Elis (Three Night Pieces)", Heinz Holliger
"Gaspard de la nuit", Maurice Ravel

驚愕のテクニック。小さいホールだったこともあり、存分に楽しめました。あのピアニスト独特の手の形は印象的でした。

5. "Romeo et Juliette"
Conductor: Placido Domingo
Anna Netrebko: Juliette, Joseph Kaiser: Romeo

オペラ版のロミオとジュリエット。演出がまた現代的過ぎるのと、やっぱりオペラには向いてないようでちょっと残念でした。

6. "La Boheme"
Conductor: Nicola Luisotti
Rodolfo: Ramon Vargas, Mimi: Angela Gheorghiu

悲しい話なんですが、演出が素晴らしい!舞台の美しさとその規模には驚愕しました。こういうオペラは大好きです。

7. "Hansel and Gretel"
Conductor: Vladimir Jurowski
Gretel: Christine Shafer, Hansel: Alice Coote

演出は現代的なんですが、なんともシュールで良かったです。

8. "Le Nozze di Figaro"
Conductor: Philippe Jordan
Figaro: Bryn Terfel, Susanna: Ekaterina Siurina

昨シーズンのNo.1です。5時間のオペラはちょっと長いけれど、やはり伝統的なオペラは良いです。

月が好き

太陽と月どちらが好きかと云われれば、僕は月ですかね。

"Shoot for the moon. Even if you miss, you'll land among the stars" Les Brown

スコアリングモデル ~ 続編

以前のでエントリーで言及した、ヘンテコモデルの良いがwebに出ていたので載せておきましょう。ちなみに誤解のないように書いておくと、方法論(methodology)としては面白いし、もしかしたらマーケティング等他の分野では有効かもしれません。但し、金融ではどうしたって使えないモデルかと。著者がa particular strength of the methodologyとして強調していた部分がそれを端的に表してます:

This is of particular utility in cases where the modeler has a theoretical or intuitive idea of the nature of the explanatory variables, but a weak understanding of the functional relationship between the explanatory and the dependent variables.


少なくとも被説明変数(credit score)と説明変数(financials, etc)との1次関係ぐらいわかっていないと金融では使えないですよね。それは自然科学の分野でも同じでしょう。直感的な因果関係を明示的に保持した上で、高次のtermについての情報を提供したり、より突っ込んだ議論(risk management等)の土台とすることが出来るのがモデルの強みであるわけですから。

日曜日, 5月 11, 2008

個人でも買えるんだ。。。

普段使っているブローカーから珍しく職場に電話があり出てみると、"シティの優先株買わない?"とのこと。個別株はやらない方針だし、しかもこの時期にシティってどういうことよと思って丁重にお断りしたら、2日程してから追加増資の報道あり。日経も報道してましたね。それにしても、リテールにまで売り歩いているとはね(;´Д`)

ある意味これで今回の一連の増資は、少なくともシティについては打ち止めという事でしょう。

米シティ、優先株発行で2000億円追加増資 (5/8/08)

 【ニューヨーク=財満大介】米大手銀シティグループが優先株発行で20億ドル(約2000億円)を調達することが7日、明らかになった。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題による損失を受け、資本を増強する。シティは1―3月期決算で160億ドルのサブプライム関連損失を計上し、4月に優先株と普通株で105億ドルを調達すると発表したばかり。(16:04)

金曜日, 4月 25, 2008

インサイダー取引

またしてもかという印象と同時に、もったいないなと。またこれでしばらく沈滞してしまうかと思うと残念。幾らでも損を出すのは構わないけれど、なかなか未然に防ぐのは難しいのはわかってはいるけれど、これはまずいです。以前、韓国の同僚ともアジアの証券会社で野村だけはM&Aや債券発行でアジアにおいて他の外資とも互角に渡り合えるようになって欲しいし、十分そのポテンシャルはある筈だという話で盛り上がったのを思い出す。

野村社員、インサイダー容疑・監視委調査 (日経 4/22)

 野村証券の社員と知人の計3人がM&A(企業の合併・買収)などのインサイダー情報をもとに21銘柄の株を売買し、4000万円前後の不正な利益を得た疑いのあることが21日、関係者の話で分かった。証券取引等監視委員会も把握しており、証券取引法(現金融商品取引法)違反容疑で調査を進めているもようだ。野村社員がM&A情報などを知人に漏らしたとみられ、業界トップの情報管理体制の甘さが問われそうだ。

 インサイダー取引の疑いが持たれているのは、野村証券で企業買収などを扱う「企業情報部」に勤務していた中国人男性社員(30)と知人の中国人男性2人。社員は現在は香港のグループ会社に勤務しているという。(06:31)

月曜日, 4月 21, 2008

ようやくNYにも春がやってきましたー。自分では気が付かなかったのだけれど、やはりこちらの冬は体力的につらかったみたいで、最近はなんだか体が軽い。次の冬はきちんと対策を立てておかないとまずいかも。

ちなみに、Q1/08の米国主要企業決算発表は今のところ7勝5敗4分けで折り返し地点まで到達。さてこのまま無難に乗り切れるのか。注目ですね。

日曜日, 4月 06, 2008

ゲーム終盤のボラティリティ

ここ最近までマーケットでみられたボラティリティの大きさをどう理解したら良いか。サッカーの試合観戦からヒントを得てみる。ゲームも終盤になると大抵どちらが勝つのか大方予想がつくので、勝っているチームはパス回しでリスクを犯さずそのまま逃げ切ろうとする。一方、負けているチームはロングパスを出したり、ペナルティーエリアへボールを出来るだけ蹴りこもうとする。つまり、勝っているチームはスコアのボラテイリィティを出来るだけ小さくして逃げ切りたいのに、負けている側はスコアのボラティリティを出来るだけ大きくして勝つ確率を大きくしたいと考える。最近のマーケットをみていると、米国経済の景気後退局面入りがほぼ確実な情勢の中で、負けちゃっている人達が必死にボラティリティを上げていっていたような印象を受ける。と考えると、このゲーム(ベアマーケット)もほぼ終盤に差し掛かっているということだろうか?

スコアリングモデル

いやーほんとに良かった。金融庁が「スコアリング」モデルの推奨を取り下げたらしい。そもそも内部格付け体系自体まともに運用できてなさそうなのに、どうしてそれをモデル化できるのか本当に疑問でしたから。この分野ではあくまでモデルは補完的な役割が期待されているだけで、内部格付け体系をきちんと整備するのが先決。付け焼き刃的にいろいろと発表されていたヘンテコモデルもこれで一掃されてすっきりするかな。

金融庁、融資の可否自動判定「スコアリング」推奨やめる(日本経済新聞 4/3/08)

 金融庁は地域に根ざした経営改革として地方銀行や第二地方銀行に勧めてきた「スコアリング(評点制)融資」を、積極的に推奨する項目から外す。東京都から400億円の追加出資を受ける新銀行東京(東京・千代田)がこのモデルで多額の不良債権を抱え、批判を招いたことにも配慮した。今後は各行が自主判断で取り組むようにする。

 スコアリングは融資を希望する企業の財務指標をコンピューターに入力し、信用リスクを自動的にはじき出して融資の可否を審査するモデル。(03日 07:00)

月曜日, 3月 31, 2008

大人

儒教では、人間を無学な者(小人)と学のある者(大人)の2階級に分ける、とある。本当か?

月曜日, 3月 24, 2008

メルトダウン回避へ政策総動員!!

息つく暇もなく連続したイベントに見舞われていたマーケットもようやく落ち着いてきたので、08年第1四半期の動きをまとめておこう。ただ、表題の通り政策を総動員している割りに結果は芳しくない。理由は一連のイベントのキーワードがCDOでも投資銀行でもなく、ヘッジファンドであるからだろう。

一連の動きを理解するために3つ程ポイントを:

まず、伝統ある投資銀行であるBear Stearnsの実質的な破綻という悲しい結末をもって、08年第一四半期の相場は今後何十年も関係者の記憶に残ることとなるだろうということ。なにせBear Stearnsはもう5つしか残っていなかった投資銀行勢の一角を占めていたうえに、彼等の取ってきたスタンスも合わせて存在自体が貴重だったから(LTCMの時もここだけ資金を出さなかったし、そもそも"俺は俺でやるからお前らはお前らでなんとかしろよ"的なサスペンダーの良く似合う昔ながらの証券ブローカー気質は変わらぬ彼等のキャラ)。

次に、良くある質問として「日本国債の格下げ時、或いは邦銀の格下げ時と比べて何故にモノラインの格付けは最終的に維持されたのか?」ということ。答えは簡単で、モノラインの場合には格付け維持に資する資本増強策を打ち出して、短期間でその通りに実施したから。もちろん昨年から続いていた強烈な株安でこうした資本増強策は疑問視されていたわけですが。

そして最後に、これ程までに政策が総動員されている事態は記憶にないということ。結果として08/Q1に発動された政策は大きく分けて3つのパターンに分類される:
  1. 規制緩和 - 流動性供給を目的に国として間接的にリスクをとる方向へシフトしているのがポイント(でも日本でいう所謂公的資金ではない)。2月にOFHEOが打ち出したFannie Mae, Freddie Macについての一連の規制緩和により、一時的に$200bn相当の流動性が住宅ローン担保証券市場へ供給され、$2trの住宅ローン購入余力が生み出された。全米の07年までの住宅ローンの規模は$12tr程度なので、これはマーケット全体の15%にも上る。
  2. 金融緩和 - 今年に入ってから既に2ポイントのFF誘導目標下げが実施されている。更に、3/17より投資適格級の担保を差し出すことでprimary dealerもFEDのdiscount windowを利用することが可能に(PDCF borrowing; Primary Dealer Credit Facility)。実際3/19日時点でPDCFの利用残高は$28.8bn(!!)まで膨らんだ。US Treasury 10y/2y spreadは年初の1ポイントから3月中旬には1.5ポイントへと急拡大し、商業銀行勢の資本蓄積を静かにそして強力に絶賛推進中。
  3. 経済対策(財政出動?) - 個人所得税還付が柱。07年度の個人所得税のうち各人に$600を還付するという内容で、総額$150bnに及ぶ。実際にIRSがcheckを郵送し(或いは銀行口座へ直接振込み)始めるのは5月から。
更に、以前のエントリーでも紹介したように矢継ぎ早に理論武装した上で、Mortgage brokerから格付け会社まで、これまで当局の監視を実質的に受けてこなかった業界へあくまでも透明性の向上を目的に規制導入を検討中。市場の透明性向上を旗印にしているのがポイント。

繰り返しになるが、これだけの施策が同時に発動されている状態は正直みたことがない。一方、日本では財・金分離だとかいう屁理屈で武藤さんを承認できなかった事実が空しい。でもなんだか全部が全部、市場を後追いしているような印象を受けますが、、、

そうそれはなかなか表に出てこないヘッジファンドをもFEDは相手にしなければならなくなっているから!!そもそも熊さんの資金繰りが急激に悪化したのは、虎の子のPBビジネスでヘッジファンドが資金を引き上げ始めたのがきっかけ。まさしく現代版のA Run on The Bankだったわけで、そのスピードたるや一般の預金者とは比べ物にならず、その規模たるや伝統ある投資銀行のliquidity poolをも2日足らずで飲み込んでしまうという代物だった(SECの報告にもある通り、熊さんは確かに健全そのものだったのにも関わらずです)。FEDはまさしく考え得る最善の策を最速のタイミングで打ったわけだけれども、さすがにヘッジファンドのそれには対抗できるわけもなく(;´Д`) そして単なる金融保証会社(モノライン)の格付けの問題があそこまで大きくなったのは、ドル箱の地方債保証業務を狙ったヘッジファンドの空売り構成によるボラティリティの拡大によるところが大きい。その結果、投資銀行勢はABS CDO/Super Senior CDOのヘッジを通して巨大なカウンターパティーリスクに晒される事になり、綱引きが始まっていた。地方債業務を切り離されてしまっては後に残るのは収益性が低くリスクの高いCDS関連の保証業務だけで、云わばゴミだめ同然になってしまう。正直それではヘッジにならないし、ヘッジが切れてしまうと一気にシステム全体のメルトダウンリスクが高まる。したがって、どうしてもこのタイミングでドル箱を手放すわけにはいかず、モノラインは資本増強に動かざるを得なかったとみるべき。一方で、そうこうしているうちにいいトコ取りでバフェット氏が地方債保証業務だけ引き取りましょうなどという提案を行ってみたりでもうほんとにカオス(;´Д`) そもそも彼はわかってやってたのだろうか。。結局FEDは中途半端にMBS/CDOに対してある意味で政府保証を付けるような貸出し対策を発表することになったわけだれども(追記 4/5/08:この対策については全く誤解していました。Term Securities Lending Facility (TSLF)はそもそもGC repo対策だったんですね。しかも対象はCDOを含まずMBSのみでした(federal agency debt, federal agency residential-mortgage-backed securities (MBS), and non-agency AAA/Aaa-rated private-label residential MBS)。実際、年初から150-200bp程度まで拡がっていたGC Repo/FF spreadは4月初めには消滅している。)、その後は前述の経緯を経て投資銀行のPBデスクを通してヘッジファンドへ資金供給するということに。テクニカルにはローンのリコースは借り手の投資銀行にも及ぶので安易に資金供給が膨らむことにはならないというのがポイントですかね。

最後にはっきりさせておきたい点が2つ: 1) 今回のBear Stearns救済劇がモラルハザードだと思う向きもあるかもしれないけれど、たった数日前には1株$60近辺で取引されていた株が$2(or $10)で買収されるわけで株主はこれ以上の責任を取りようがないということ。では資本構造上株主の上にいる債権者はどうなるかと言えば、通常最上位にいると思われるswap counterpartyについてはJP Morgan Chaseのweb上のコメントにもある通りJPによって基本的に保証されると予想されるものの、それとて契約上はいまだに確定されてはいない。 2) よく日本の金融機関救済劇と比較されるけれど、アングロサクソンの考え方は日本のそれとは似ても似つかない。端的には1997/11月に起こった本邦インターバンク市場でのデフォルトから公的資金投入までにどれだけ時間が掛かったか。批判しているわけではなく、あくまで考え方が全く違うということを念頭に置いておかないと今後の展開に乗り遅れてしまう。

市場へのインプリケーションとしては、短期) 曲がりなりにも投資適格債を使ったファンドへの資金供給の枠組みが出来上がったので、senior trancheへのフローも復活するであろうし、一方でヘッジファンドに対してもFEDは影響力を行使できる道筋を見つけたことになる=>金融セクターの底は確認できたのではないか(問題はいよいよ実体経済へ)、長期) FEDがPDCFを口実に投資銀行勢へ規制を掛けてくる可能性が高く、いよいよWall Streetのパワーシフトが本格化するかもしれない。引き続きイノベーションが生まれる可能性を信じるのであればこのセクターは買い。そうでなければ売りであろう。個人的には買い。

では、さっそく1月から3月までのイベントを時系列順に見ていきましょう:

3/24/08 - 本日付で新たにFHLBがMBSを買い増せるように更なる規制緩和が実施された。一連の規制緩和でFannie MarとFreddie Macが大量のMBSを発行できる環境が整ったものの、その消化に疑問を持っていたところだったので、これでひとまず安心か。詳しくは後日追記予定。

3/19/08 - OFHEOが規定していたFannie MaeとFreddie Macの必要資本額を33%削減。OFHEO主導の規制緩和の2発目。これで、mortgageの供給サイドは体制が整ったことになる。後は市場がこの規模の証券を消化するできるのか否かがポイントになる。

3/17/08 - FEDが緊急利下げ(25bp)を発表するとともに、JP Morgan Chaseによる熊さんの買収が発表される。

3/13/08 - 熊さんの株価が急落。朝方に46%の下落幅を記録。この2日前辺りから$35でのputの値が付くようになる。3/14には更に値下がりし、$35を難なく突破。市場では$22近辺のputにも値が付いていた。

3/12/08 - S&PとMoodysがAmbacのAAA(Aaa)格付けの維持を発表。これは3/5日付けでAmbacが行った$1.5bnの資本増強を受けての措置。一方で、Moodysは同時に金融保証会社について、実際の損失は、保有資産の時価会計で計上した損失を大幅に下回る可能性があるとの見解を示した。ちなみに、業界3番手のFSA Inc.については、3/11日付けでMoodysがAaa格付けの維持を発表。結局のところ、4番手のFGIC CorpのみがAAA(Aaa)格付けを維持できなかったことに。

3/9/08 - Carlyle Capitalの資金繰り悪化が表面化。ちなみに、3月上旬はこれまでにない数のヘッジファンドが強制的に閉鎖(破綻)することとなった。2001年から2007年までに破綻した数と同数のファンドが年初からわずか2ヶ月の間に破綻している(;´Д`) 特に2月後半から3月前半に集中。

2/28/08(WSJ) - 1日遅れでWSJがGSEのPortfolio Capの廃止について配信。Fannie MaeとFreddie Macの業績低迷を受けて、OFHEO(Office of Housing Enterprise Oversight)主導の規制緩和の1発目。そもそもこの規制は2006夏に導入されたもので、一時的な措置ではあったわけだけれど。

2/27/08(WSJ) - S&Pが25日付けでMBIAの格付けをAAAで維持したのに続き、Moodysが26日付けで同じくMBIAのAAA格付けの維持を発表。これらの格付け会社は凡そ1ヶ月前にMBIAの格付けをネガティブ方向に見直すことを発表していたので、通常の格付けプロセスからするとこれはかなり異例といえるだろう。もちろんMBIAが格下げを避ける為に$2.4bnにも及ぶ資本拡充を実施したからでもあるわけだが。

1/31/08(WSJ) - S&PがFGIC CorpのAAA格付けをAAへ格下げ。その後2/25日付けでAへ格下げ。ちなみに、MoodysはAaa格付けを2/14日付けでA3へ格下げ。

1/31/08 - 遂にMBIAが$2.4bnのwrite downを発表。詳しくは下記の記事(**)を参照のこと。

1/18/08 - Bush大統領がstimulus packageを発表。当初は$800の税還付を提案していたが、その後$600で落ち着く。

(**) MBIA announces $2.3 billion Q4 writedown

31 January - The situation in the troubled bond insurance sector has worsened, with the announcement of a $2.3 billion fourth-quarter writedown by New York monoline, MBIA.

It could soon be a case of last monoline standing in the battle to retain triple-A ratings, following the news of MBIA’s worst quarterly performance on record. Fitch Ratings has already downgraded Ambac, Financial Guaranty Insurance and Security Capital Assurance, and MBIA remains a candidate for a downgrade.

This is despite the insurer raising $1.5 billion in new capital in the past month, plus its plans to issue a $500 million rights offering – backstopped by Warburg Pincus.

“We are disappointed in our operating results for the year, as performance of our insured prime, second-lien mortgage portfolio and three insured CDO-squared transactions led to unprecedented loss reserving and impairment activity,” said Gary Dupont, MBIA’s chief executive officer.

There was a predictable market reaction to the announcement, with MBIA five-year credit default swaps widening 49.3 basis points to 486.2bp. This is wider than Ambac, trading at 470.8bp, which has already been downgraded to AA.

That neither monoline is trading wider – their respective CDS spreads were above 700bp in mid-January – suggests the market is awaiting the outcome of discussions between insurance regulators, rating agencies, financial intermediaries and the insurers themselves. The talks, continuing since last week, are believed to be on the viability of a co-ordinated bailout of the monoline sector.

Clock ticking for troubled monoline

Lesson's from Bear Stearns

ボスが面白い指摘をしていたので、忘れないうちに書いておこう:
  1. 流動性が無くなる(dries up)のが如何に早いか。古典的な銀行の取付け騒ぎと同じく、$17bnの流動性がたった2日で無くなってしまった(a lack of confidence, but not a lack of capital)。
  2. 通常株価とCDSスプレッドは逆相関を示すが、今回は株価がほぼゼロになってしまったにも関わらずCDSスプレッドはJPのそれに近づいてtightningしてしまった。
  3. 一方、1株$2でJPとの契約が成立しそうであるにも関わらず、株価は$6-7まで上昇している。これは主に投機筋が今後現れるかもしれない新たな買収者を見込んで価格を吊上げているから。それでも、2.で指摘した相関は崩れてしまっていると考えて良い。これは過去の相関を元にヘッジしてしまったら大変な事になっていたということ。モデルを作るときには、こうした点も十分考慮に入れないといけない。
これまで息つく暇もなく連続したイベントに見舞われていたマーケットもようやく落ち着いてきたので、後日状況をまとめてupする予定。キーワードはヘッジファンドです。

追記(3/24/08):Bear Stearnのliquidity poolの概算値が出ていたのでメモしておく。2月上旬の$13bn弱から、徐々に増やしてきていて3月の第一週には$18-20bnのliquidity poolが積まれていた模様。ただ、COB 11日から急減し、COB 13日には$2bnになるまで枯渇してしまっていた(Source:SEC)。他の投資銀行に比べれば小さい数値ではあるものの、ビジネス規模を考えればわからなくもない。確か去年の同時期にGSは$30bn程度のliquidity poolしか持っていなかった筈。

金曜日, 3月 21, 2008

Apple TV + Air Tune

自宅のワイヤレス・ネットワーク環境を802.11bから802.11n draft versionへと変更したのに伴い、最近北米市場で勢いを増しているAppleのcutting edgeな製品を使って自宅の娯楽環境も同時にパワーアップしてみた。買ってきたのはハイビジョン映像で映画をレンタルできたり、テレビでYouTubeを見れるAppleTV(写真左側;Source:AppleSotre)と、一般のオーディオセットとパソコンのiTunesを組み合わせてハイクオリィティの音楽が楽しめるAirTunes機能付きの802.11n対応AirPort Express(写真右側;Source:AppleStore)。さすがにソフトウェアのAppleだけあってapplicationの使いやすさは抜群だし、ONKYOのオーディオセットから流れてくるデジタル出力の音楽達のクオリティはもう最高!!今まで貯めてきた10ギガ分の音楽達がiPodから開放されて部屋に流れ出した時の感動はもう格別ですね。通信速度も最高270Mbpsまで出ているからデータ格納用のネットワークドライブとのやりとりも非常にスムーズで文句なし。やっぱし802.11n規格は素晴らしい(^ω^)

土曜日, 3月 15, 2008

クレーンが落ちてきた


自宅でゆっくり本を読んでいたら、普段は静かな住宅街に珍しくサイレンの音が聞こえてきた。どうしたのだろうと思っていたら、うちのアパートからわずか10ブロック先の住宅街でなんとクレーンが落ちてきていた。写真にもある通り、タウンハウスが崩壊して死傷者が出ているらしい。道路も交通規制が掛けられていて物々しい雰囲気に。昨年の水蒸気爆発といい、ちょっと怖いですね。犠牲者の方々のご冥福をお祈りします。

日本人?

昨日はNYCではめずらしく、日本人だけの異業種交流会へ参加。そこで面白いコメントを聞いたので、φ(..)メモメモ

1. 「リテール向け商品の値下がり局面では、絶対に値が元の水準まで戻ることはない。ゴルフ会員権なんかがそうでしょ?」
2. 「日本人はバブルの崩壊で2-3割りの価格下落にはもう慣れっこになっているから、今回の米国市場の値下がり局面も大方予測できたし、驚かない」

一瞬、ほほうと思ったものの、良く考えてみると幾つか面白い点が内包されていることに気が付いた。勉強になりますね。

WallStreetの労働市場

雑談程度の話ですが、いよいよ始まったレイオフの波を乗りきるためにもちょっと労働市場の分析をしておきましょう。

まずは簡単なおさらいから。まず、一般に政治の中心は通称Main Street (Washington D.C.)、金融の中心は通称Wall Street (NYC)と言われていて、それぞれ時の権力を握った者が全体を支配し得るという意味で共通項も多いわけです。例えば、政権交替が起きた場合にはそれまで実権を持っていた人たちはいっせいに民間あるいはアカデミックな世界へ移動して、次の機会があればまた舞い戻ってくる。Wall Streetであっても最近こそ投資銀行がパワーを独占してきたものの、それこそ以前はジャパンマネーが市場を席捲していたわけで、その時々の権力を握っている組織へ人は流れて、或は更なるキャリアアップの為にアカデミックな世界へ戻っていくわけ(ちなみに、米国ではキャリアアップの為にMBAをとるといった行動は、個人税制によって明確に優遇されている)。そしてこの2つの業界(or 政界?)に共通しているのは、関連する業界(or アカデミズムの世界)の中だけで人の移動が起っていて、一度入ってしまえば非常に流動性の高い労働市場なのだけれど、なかなかこのサークルに入るのは容易ではないということ。

さて、ではWall Streetで今パワーを持っているのは誰なのか?昨今の市場環境もあって、一部の投資銀行ではそのパワーに衰えが見える。一方で、新興勢力のヘッジファンドは力を増してきており、SWFも見落とせない。成功したファンドの中には、更なる業容拡大を目指して自分達のedgeが効かない分野にも進出する為に、人材を経験豊富な投資銀行に求め積極的に採用し始めている。というわけで、最近はこのパワーシフトに伴ってヘッジファンドと投資銀行との間の行き来が盛んになってきている。昨年から一部で始まっていた投資銀行のレイオフでもすぐにヘッジファンドでの就職先が見つかってhappyにやっている知り合いは何人もいる。ではこれまで主流であったWall Streetでの人の流れ: 1) 投資銀行間での行き来(所謂"walk across the street")、2) new hire from graduate school/going back to graduate school, はどうなっているのか?少なくとも1)については同レベルの投資銀行間での行き来は確実に減ってきている。2)についてはやはりアカデミックな世界へ戻る方向の流れが強い。全体を眺めれば、これまでとは明らかに違ったトレンドが見て取れるので注意が必要になっている。以前のエントリー(1/26/07付け)で指摘した1.と3.のパターンも多くなってきたしね。

では、自分と家族を守るにはどうしたら良いのか?まず、パターン1.を避けるために極端に環境の悪化した業界 or 市場(今であれば米国のmortgage市場か?)には早々に見切りをつけて、パワーシフトの波に乗るか、アカデミズムの世界へいったん退避するのがベストだろう。"いつかは良くなるに違いない"といった長期予測に基づく逆張りは、仮にその予測が正しくともここでは命取りとなる。パターン3.を避けるためには、自分の給与水準を確認すればわかる。ちなみに、Wall Streetの給与水準には実はある程度の基準が存在し誰でも簡単にチェックできる。ただこれもまったくもってアメリカらしいというか、きちんとした市場調査の形をとった第3者の書いたレポートなのだけれど、微妙に利害相反の疑いがあるという困った代物ではあるのだけどね。何せエージェント(人材紹介会社 or ヘッドハンター)がこれを出してるんだからヽ(´ー`)ノ なんだか最近問題になっている市場でもみたことのある構図ですな(;´Д`) 有名どころのMichael Pageなんかも毎年きちんと出してます。例えばパフォーマンスの悪い5%がレイオフされてしまうといった懸念があるときは、1) パフォーマンスと給与は正比例する、2) Salary Surveyのレンジは両側95%での信頼区間に相当する、3) 給与は概ね正規分布している、という仮説を立ててみると、M&AのVice Presidentクラスで今年はボーナスが悪くて給与総額が150,452ドルを割ってしまっていたら実はもうアウトの可能性が高いと予想できるわけですヽ(`Д´)ノウワァァァン 数字って時に残酷ですよね。。

と、ここまで考えてみたけれど、やっぱり最後は人と人との信頼関係なんだろうな。"My word is my bond." やはりこれに尽きますね。気を付けましょう。

水曜日, 3月 12, 2008

日銀人事案が参議院で否決

。。どうなってしまうのでしょう。小沢さんはなぜ出てこないんだ。。

追記(3/21/08):結局、火曜日(18日)に田波さん・西村さんの組み合わせが提示されたものの、田波さんは否決され日銀総裁は空席となることが決定。もちろん当面は大きな支障は現れないとは思う。ただ、このまま総裁選定が混迷を深め、結果として不適格な人事が行われてしまったらどうなるか。次の景気後退局面では必要な措置が遅れ経済は大打撃を受ける可能性が高まり、次の景気拡大局面では無用なバブルを誘発する可能性が高まり、取り返しのつかない事態になりかねない。早期に日銀法を改正し、適切な人事を行えるようにしないと。継続モニタリングが必須ですね。

金曜日, 3月 07, 2008

アントニオ・猪木に遭遇!

今日、近所の日本料理屋に奥さんとその友達の3人で夕食を食べに行ったら、なんと目の前でアントニオ・猪木がすき焼きを食べていた!!元国会議員らしく、帰るときには周りの人に軽く笑顔で会釈をしていたり。ビジネスで来てたのかなぁ。それにしてもやっぱりいい体してるね。

金曜日, 2月 29, 2008

Bayesian animal

過去の経験から何も学べない者とは違い、知りうる限るの知恵を使って将来を予測しようとする者を指す。さて、あなたはどちら?

土曜日, 2月 23, 2008

最近の話題

昨年からNYのクオンツ・コミュニティではサブプライムローン問題に関連して、僕の知る限り大まかにいって次のような論点について議論が起こっている:

1) 株式市場の乱高下とヘッジファンドの関係は如何に?
2) リスク管理手法について明らかになった問題点は何か?(ソジェンの事例も含めて)
3) 格付け機関に求められる役割と証券化商品特有の問題とは何だったのか?
4) アジア通貨危機に端を発する金融危機後に起こったイノベーションは結局のところ安定をもたらしたのか?

1)については、もう既に広く知られているMITのAndyLo教授が書かれた論文にあるように、"レバレッジの拡大"と"同一戦略をとるファンドの増加(相関の上昇)"が相まってもたらされた結果であるという見方が定説になってきている。すなわち、昨夏の株式市場の乱高下がマーケットニュートラル型のヘッジファンドによって主導されたという見方がほぼ固まってきていて、FRBが幾ら流動性を各種方法で提供したとしてもどこまで効果的か疑問符: FRBの庭はもはや市場の一部でしかないのではないか?、が付き始めてきたところ。ただ、中央銀行(or 当局)がコントロールできる範囲外の資金の流れが大きくなっているという根本的な問題に対する有効な手当ては今のところ見当たらない。

2)については方法論に問題がなかった事は疑いようがないものの、運用面を調整しなければならないという結論で固まってきていて、実際わが社でも静かに組織の見直しが進行中。

3)については、FRBの資料でも指摘されている通り、テクニカルには"While an ABS credit rating for a particular rating grade should have similar expected loss to corporate credit rating of the same grade, the volatility of loss (i.e. the unexpected loss) can be quite different across asset classes"という事情に象徴されるcorporate ratingsとsecuritized product ratingsとの違いが議論の中心になってきている。

そして最後に4)。アジア通貨危機から10年間を経て様々な金融イノベーション(高度化?)が生まれてきたものの、結局のところ世界がより複雑になった以外の何者でないのではないか、システム自体の安定性は何ら変わっていない(same as before, unconditionally)のではないかとする見方が本質を突いていると思う。

金曜日, 2月 22, 2008

NYでの生活立ち上げ記録 ~ 税金 編

今年に入ってから更新が滞ってしまっていたのだけれど、今日から再開です(^ω^)。同時に幾つかのプロジェクトを仕上げる必要があって週末もいろいろと本業の方で書き物をしていた都合上ブログ向けに記事を書いてる暇がなかった。。。トホホ。折り重なっていた難題を解決してわかり易い形で説明し終えたのがようやく昨日。おいおいもう2月も半ばを過ぎてるやんけ!まぁクリエイティブな方法論を確立できたので有意義ではあったのだけれど。さらには表題の通り米国では原則収入のある人は全員所得税の確定申告しなくてはならないので、その準備もありもう踏んだり蹴ったりヽ(`Д´)ノウワァァァン というわけで、来年以降の自分の為にもまずは備忘録を残しておきましょう。

まず所得税の制度自体は日本のそれに似通っている(というよりもしかして日本が米国の税制を参考にしてるのかしらん?)。もちろん計算式も税金=(収入金額-所得控除額)x税率-税額控除額で与えられる。ただし、1) 原則各個人に確定申告の義務があり、2) 選択可能な各種控除項目の種類が多いものの、3) 日本と比べて税率が高く、4) Social Security Numberによってあらゆる金融口座は税務当局にとって捕捉可能である、という辺りが違ってくるので注意が必要。特に2)と3)の組み合わせが厄介で、どうにかして実効税率を小さくできないかと頭を悩ませているとどんどん時間が経ってしまう。今年は初めてなので、まず日本語で書かれたを買って準備を進めてみたものの、妙案浮かばず、もういっそのこと税理士に頼もうかと考えていた。一方で、同僚と話をしていたらTurboTaxという超便利なアプリケーションを発見!値段も高くなく、$100以下で購入可能であってかつその費用を来年の税計算で控除できる。ただし、正規ルートで買うよりも、米国内に証券口座でも持っていれば大抵は30%オフで購入できるので、そちらのルートで購入した方がお得かも。そして何といっても便利なのは、このアプリケーションから直接税金の電子申請が可能であるという点。日本でももちろんeTaxといった税金の電子申請制度は始まっているものの、民間企業が市販している使いやすいソフトで直接確定申告ができるというのは米国ならではじゃないかな。ちなみに、申請から実際に税還付額が口座に振り込まれるまでに掛かる日数は1週間から10営業日程度。最適化もしやすいので、職業柄なじみ易くてなかなか良い。

何やらかなり便利そうに聞こえるかもしれないけれど、本当にその通りで領収書等の添付義務もなし。加えてTurboTaxはこの分野で圧倒的なシェアを占めているので、上場企業であれば社内のデータベースと連携して収入金額等の情報の正確性を担保する仕組みがあって源泉徴収表(W-2 Form)すら添付する必要がない!もちろん提供した情報に誤りがあったりした場合には、いろいろとペナルティが掛かるようだから細心の注意は払って準備するのは当然のことではある(例えばビザの延長、グリーンカードの取得申請時に不利になる場合もある)。そしてもう一つ重要な機能にAudit Riskの判定機能がある。米国では初めに指摘したように原則各人に確定申告が義務付けられているので、税務当局はその一つ一つを詳しく監査することはせずにある一定の条件に引っかかる申告をピックアップして精査するという方針をとっている。なので、余計なトラブルを避けるためにはこのAudit Riskの事前測定が重要になってくるというわけ。すなわち、リターンを税還付額、リスクをTurbo Taxを使って計算したAudit Riskとして最適化を実行すれば良い━━━━(゜∀゜)━━━━!!!! いやぁ、これって自分の得意分野じゃん?! ちょっとリスクの測定方法に考えを巡らせてしまった自分を発見。。職業病かも(;´Д`)

日曜日, 2月 03, 2008

神社の思ひ出

最近は仕事が異常に忙しくてブログを更新している暇がない。。土日もいろいろと考えないといけないし。まぁ年初はいつもこうだし、この時期に今年の方向性を決めることになるわけで、頑張り時です。マーケットは75bpの利下げに続き、50bpの利下げを受けてちょっとは落ち着いてきたものの、既にもう景気後退局面しているのでは..? (この話題については例のごとく、また少したったら纏めます) 要は事前予想の通りになってきたので、急降下中にパニクってシートベルトを外してしまわないように気を付けつつ、目だけは閉じないようにしないと。それにしても、アホなフランス人トレーダー(というかもしかしたらヒーロー?!)も出てきたりでホント話題には事欠かないお祭り状態に(;´Д`)

今週はちょっとリフレッシュしようと思って日帰りでスノーボードにいったものの、慣れない左ハンドルでの運転に夫婦で怖い思いをしてしまったり。やっぱり家でリラックスが一番ということで、閑話休題。branchさんのところにあった『幕末人物診断 -あなたが幕末の志士だったら。』をやっていたら、ちょっと昔の神社を思い出してしまった。結果はというと、、吉田松陰。まぁこんな適正診断もどきは普段小ネタ程度にしか思ってないものの、この結果にはちょっと驚いた。学生時代の下宿の近くにあったのが吉田神社で、昨年の春まで住んでいたマンションの近所にあったのが松蔭神社。行き詰まった時は山の上まで上るついでに吉田神社に参拝したり、節分蔡にもよく一人でいって鰯の塩焼食べたっけ。松蔭神社もよくお気に入りの喫茶店に行く途中に横を歩いて通ったり、婚姻届けを区役所に提出するときにも通ったっけ。結局松陰先生のお墓には一度しかお参りしてないんだけどね。診断結果はともかく、なんとなくほんわか。いいじゃんコレ!!

金曜日, 1月 18, 2008

Lion King

(もうマーケットは酷いの一言。モノラインも遂に格下げで、AAAだからこそビジネスができていたわけだからこれはもう退場勧告なわけで。ただもう仕事も忙しいので、こうした話題は後で触れることにしてとりあえず昨年見に行ったライオンキングを忘れないうちにメモメモ。)

やはりブロードウェイ・ミュージカルと云えば、オペラ座の怪人、レ・ミゼラブル、ライオンキングは外せません。ということで今回はライオンキング。まず何より驚いたのは会場の綺麗さ。他の箱とは新しさが全然違う!さすがにディズニー金掛けてますね。もちろんそのぶん収容人数も多いのでたぶんビジネス的にはちゃんとペイしてるんでしょう。そしてなんといっても子役が旨いのなんのって。多分小学校低学年だと思うんだけど、結構台詞も動きも多いのに感情表現も文句なし。他の演出もなかなか憎い。奥さんはもう何度も見に来ているのだけれど、数年前と比べると動きが激しすぎてライオンの頭(というか冑)が落ちてしまっていたシーンもきちんと修正されて、今回はそれを格好良く地面に置いてから親子の楽しい抱擁を見せるようになってたり。なかなか完成度が高くて良い感じ。



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火曜日, 1月 01, 2008

皆さん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。今年のキーワードはよく云われているように、やはり『乱』でしょう。米国景気の後退、原油相場・BRICsの動向、大統領選・参議院選、北京オリンピックとイベントは目白押し。社内の大きなプロジェクトも本格的に動き出すとあって、今年も忙しくなりそう。昨年からの目標を維持しつつ頑張らねば。毎年恒例のジルベスター・コンサートに行って、初日の出を見て、鎌倉八幡宮で大吉を引いてと上々の滑り出し。やはり休暇をとって一時帰国したのは正解だった。