月曜日, 12月 31, 2007

格付けのボラティリティとは何だろうか

今年はこの話題に関して一つの洞察を紹介することを試みて〆としましょう。今年は証券化商品に関する格付けの変動性(ボラティリティ)が随分話題になったものの、仮にこうした格付け基準の甘さを指摘したところで格付け会社にしてみればそんなの想定外でしたで終わってしまう可能性が大なわけですなヽ(´ー`)ノ。本来Aaaってのは、中身をこれっぽちも見ずに買っても元本毀損の可能性については考える必要がない、という意味を示す記号であったのに(#`Д´)。というわけで、格付けの変動性(ボラティリティ)として証券化商品のリスクプレミアムを把握できないか考えてみましょう。

さて、、

ではいったい格付けのボラティリティ(変動性)とは何だろうか。そもそも格付けの変動性は定量的に捕らえにくい。格付けはそもそもordinal numeralであって、cardinal numeralではない。すなわち、仮に形式的にそれぞれの格付けに対してある数字、例えば1から20、を1:1対応させてその変動率を推計してみたところで意味がある結果とはならないのは周知の事実。同じく、格付けにcardinal numeralであるデフォルト確率(スプレッド)を対応させてその変動率を考えても意味のある結果は得られない。言い方を変えれば、当該債券(証券化商品)自体のスプレッド・ボラティリティをいくら精緻に把握しようとも、格付けの変動(及びその1つの帰結としての債券価格の大幅な変動)を説明し得る意味のある結果は得られない。従って、このアプローチは少なくとも中長期の保有期間を想定した投資戦略及びリスク・マネジメントには使えない。

一方、昨今注目されている(特に証券化商品の)格付けの大幅かつ大量の見直しから直感的に理解される格付けの"急激な変動"を定量的に把握し、横ぐしを入れて比較するにはどうしたら良いのか?この話題については規制当局も強い関心をよせているので、この"変動率"は分かりやすくかつ意味のある量であるべきであって、さらに当局の理解が得られなければならない。今のところ一致する見方は、当たり前といえば当たり前であるわけだけれど、次の通り:

Rating volatility can be interpreted as probability of a rating transition over a specific period (say a 1 year).

各格付け会社は格付け遷移行列を毎年推計しているので、このデータがまず一つの指標となる。一方、懸案の証券化商品の格付けに関しては、最終的に損失率のシミュレーションを通して元本毀損の蓋然性を判定した上で格付けを付与しているので、このシミュレーション結果を見れば(or 将来に渡って延長すれば)、例えば同じAaaの商品についても格付けの"変動性"リスクを峻別できることになる。例えば、CPDOなどは確かにAaaだけれど、その格付けの変動性は実は高いというのが一般的な捉え方だろう。一般にレバレッジ比率の高い証券化商品の格付けはそのレバレッジ故に変動しやすく、仮にそのデフォルト確率がcorporate ratingの同一格付けのそれと等しくとも、デフォルトするまでの格付けパスはcorporate ratingのそれとは著しく異なるのである。これは言わずもがな価格変動性に大きな違いをもたらすわけで、投資家としては相当のリスクプレミアムを要求すべきである: 逆にいえば、例え格付けがAaaであろうと相応のリスクを覚悟すべきである。すなわち、証券化商品の格付けは従来通りあくまで元本毀損の蓋然性(デフォルト確率)を表すordinal numeralであって、それとは別に格付けのボラティリティという特有のリスク(実はこれがかなりの部分を占める)がレバレッジ比率の高い証券化商品には内在されているということ。リスク・マネジメントの観点からいえば、伝統的なスプレッド・ボラティリティの把握とストレステストだけでは十分ではなく、上で定義した格付けのボラティリティをリスク・ファクターとして取り入れる必要があるのだろう。

それでは皆さん、Have a happy holiday and see you next year!!

日曜日, 12月 23, 2007

ベルリンフィル 07 Fall

待ってました!待望のベルリンフィル@カーネギーホール。以前にサントリーホールに聞きに行った時には、ホールのキャパシティを超えてしまっていたようで音が割れてしまっていて非常に残念だったんだよね。でも、今回はさすがにカーネギーホールだけあって、本当に音が綺麗に響く。ただ唯一の難点はいつもの通りサイモン先生が初めに打楽器系の楽曲を持ってくるので、どう反応してよいのやら(;´Д`) とはいうものの、最後はマーラーで格好良く〆てくれたので大満足。

Berliner Philharmoniker
Sir Siom Rattle, Music Director and Conductor

Magnus Lindberg,
Seht die Sonne (2007; US Premiere)

Gustav Mahler
Symphony No.9 (I-IV)

土曜日, 12月 22, 2007

クリスマス♪

(1) こちらに来て改めて気がついたのだけれど、ニューヨーカーは皆どうでも良い見栄をはる。Hey, how are you?というと、みな間髪入れずに Good! 或いはGood! Good!! と返してくる。日本にいた時は、せいぜい"ぼちぼち"といった具合で特に絶好調をアピールするわけでもく、至って自然体だったものだけれど。

(2) こちらではクリスマスを前にアパートのdoormanやsuperの人達に日頃の感謝の気持ちを込めて、カードと金一封を送る習慣がある。お金は気持ちを表すのに一番手っ取り早くて効果的だから、というわけ。会社でも秘書さんにみんなで送る。やはり世の中、金なのだろうか。日本だったら色紙と花束になるところが、やはり現金。

(3) 最近日本の記事を読んでいると、やたらと「金融の高度化」というお題目が鼻につく。そして、専門人材の育成とくる。日銀も金融庁も皆でこうした路線を推進しているようだけれど、ちょっと疑問。NASAが月に人を始めて送った時には、特にロケット技術の高度化を目指していたわけでもなく、少なくとも技術者レベルでは月に行けたらスゲェ(゜д゜)!!ってな具合に頑張ってたんじゃないかな。まず夢が先にこなくっちゃね

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この国には夢も楽しい事もいっぱいあって、みんな毎日へこたれずに頑張ってるけれど、彼等にとってそれらの価値はもしかしたら全てお金と同等で、だからこそ夢(金)のある金融には人材が絶えず供給されているのかしらん。だとしたら、ちょっと違った夢を追いかけている自分は、彼等に負けないくらいに、もっと自分の夢を膨らませないとね。

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とはいうものの、やはり気になるボーナスの時期が到来。This is the time when we get paid! 結果、今年も契約更新をハッピーに無事終えて、来年もここで楽しく研究活動に従事できることが決定!いよいよ来年はこれまでに幾つか思いついたアイディアを巨大投資銀行へimplementする時期。Working paperも書いて更なる飛躍を期せるといいなー。ホップ・ステップ・ジャンプの2段目へ突入!

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火曜日, 12月 11, 2007

25bpの利下げ

うーーん。25bpですか。マーケットはとりあえず下げで反応してますが、コメントを後できっちり読まねば。

追記(12/22/2007): FEDは金利引き下げの翌日に主要中銀(BOE,ECB,スイス及びカナダ中銀)と協調し、流動性供給を行う旨を発表した。FED自身は年末越えの資金として$40bnを供給する予定。金利はOIS型なので、考えうる最低金利ということになる。ステートメントにもあるように、インフレ懸念を完全に払拭できない中で金融システムの機能を維持していく為に、FFレートと流動性供給枠を別々に活用していくということで正論ではある。政府系ファンドがエクイティを入れてきていることもあり、これで足りるといいのだけれど。

Readings on core inflation have improved modestly this year, but elevated energy and commodity prices, among other factors, may put upward pressure on inflation. In this context, the Committee judges that some inflation risks remain, and it will continue to monitor inflation developments carefully.

日曜日, 12月 09, 2007

真夏の夜の夢。。。とその後始末

ようやく落ち着いてきたので、10月からの動きを幾つかまとめておきましょう。端的に云えば、短期金融市場の混乱は収束しことから既に第3フェーズは終了し、後始末に焦点の当たる恐怖の第4フェーズへ突入です (((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル

その前に幾つか第4フェーズのポイントを:
  1. 一連のdefault experienceを2002年のITバブル崩壊期と比較してみると明らかなように、今回は金融セクター発の危機である。よって、ポイントは金融システム全体(Wall Street)でどの程度の損失が発生し、システムはその損失に耐えられるのか?、という点。
  2. 直接金融・間接金融を問わず、金融セクター発の危機であれば信用創造のメカニズムそのものが目詰まりを起こす可能性があり、実体経済へはFFレートの引き 上げと同等の影響を及ぼしかねない。よって、ポイントはこの効果を相殺するためにFEDはどの程度の利下げを実施する必要があるのか?、という点。
  3. そもそも、サブプライム関連の証券価値についてはどの程度まで損失を見込めばよいのか、誰も納得感のある数字を示すことができていない。よって、ポイントは現状唯一の情報源である市場の価格付けがどこまで信頼に足るものなのだろうか?、という点。
こうした米国経済に関する予測が極めて困難な問題に直面し、市場はかなりボラタイルな展開が予想されていたわけですが、現実はより厳しいものになってしまったわけで(;´Д`) 今のところ1.、2.、3.についてはコンセンサスが醸成されてきており、損失率を額面の30%(3.)として1.で必要となる損失額を算出し、2.の幅が議論されている状態。個人的には少なくとも50bpは欲しいところ。というのも、米国経済が今後4四半期でression入りする確率をインフレ指標、債券市場、FFレート(FEDの判断)を使ってモデル化すると、次の通りとなるから:

- 11月末時点: 単純に計算すると確率は7.5%となる。但し、各種統計に誤差項を加味すると、11.31%まで上昇の可能性がある。但し、ポイント2.の効果を1%の利上げと同等とすると、この確率は20%台前半まで上昇する。ちなみに、過去の統計をみると、20%台前半まで上昇するのは1つの景気拡大局面あたり多くて2-3回しか発生しておらず(1964年以降のデータによる)、危険水域と判断されよう。過去の例では、60%以上でアウト。

- 7月時点: ちなみに、この時期には単純に計算しても確率が27%となっており、明らかに危険水域入りしていた。

というわけで、今週のFOMCは下げ幅だけでなく、コメントについても要注目です。さて、では最後に時系列順に後始末の経過を追っていきましょう:

- 10/17/07(WSJ) ようやくCP市場は持ち直し。Super-fund設立の動きが報道されたこともあり、CP市場は発行残高が季節調整後で$1.3bn増加し、$1.888tnとなった。これで2週連続の増加(その前週は$4.9bn+)。一方ABCP市場は$11bn減少したものの、これまでの各週平均$70bnの減少に比べると市場環境の好転が伺える。大相場はこれにて実質的に終焉した。あとは後始末ですが、、

- ちなみに、主要なSIVの資産残高は右表の通り。Citi様のaffiliateはやっぱり多い。さすがにこんだけ多いと幾ら真面目にsuper-fund立ち上げても飛ばしだのきな臭いだの罵られても仕方ないかも。僕としては同意できないものの、マエストロもさすがに耐えられなかったみたい(source: New York Times):Mr. Greenspan’s take, expressed in an interview with the magazine Emerging Markets, seems broadly similar. “If you believe some form of artificial non-market force is propping up the market,” he said, “you don’t believe the market price has exhausted itself.” 

- 10/19/07(Bloomberg)金融機関の損失発表が相次ぐ中で遂にSIVのデフォルト報道がドイツで。また欧州かよ(#`Д´)。Cheyne Finance PlcとIKB Deutsche Industriebank AG傘下のRhinebridge Plcです。Rhinebridgeについては、9/10付けでMTNがAAAからBBB-に格下げされていてかつ9/7, 9/10付けでBarclays Capitalとの間の流動性供給枠を使ってしまっているわけで。。デフォルトには今更感が漂うものの市場は大荒れに(;´Д`) もっともS&Pによると、資産は額面の63%まで劣化してしまっているということでこれはさすがに酷い。ちなみに、Moody'sの調査によると、SIV全体のnet assetをみると8/1時点で92-3%(一ヶ月で9-10pt下落)、9/1時点で85%となっている。

- 10/24/07 (WSJ) メリルが$8.4bnの評価損を計上。もうこれは野村と同列ですね。きちんとリスク管理の方法論を確立してから投資銀行と同様のビジネスモデルに参入しましょう。リテール証券としてのビジネスモデルは既にきちんと確立しているわけだから無理しなくてもいいのでは。。ヽ(´ー`)ノ とりあえず、ポイント1.に関する第一報が正式に報道されたのがこのタイミング。

- 10/25/07 (WSJ) ちなみに、これまでの報道(本格的な後始末前)をWSJが綺麗にまとめてくれました。ご苦労様です。あぁもう今年の金融業界は格好の餌食ですな(;´Д`) そしてこの程度で後始末が終わるはずもなく、、

- 10/31/07 FEDが25bpの利下げを決定。報道直後こそ一旦市場は失望売りで下げたものの、1時間後には回復基調へ復帰。公式発表にある通り、とりあえずこれで利下げは当面打ち止めなのか、、、と皆が思った瞬間。

- 11/3/07(WSJ) Citiも$12bnの評価損を第4四半期に計上することに。遂にPrince CEOも退任に追い込まれてしまい、ルービン大先生の登場です。しかし、ちょうどこの発表があった3日前に(11/29)に日本ではCitiの上場が東証に承認され11/5に上場を果たしたわけで、ホント金融庁(或いは東京市場?!)ナメられてますね。

- 11/7/07(WSJ) Morgan Stanleyも$3-6bnの評価損を計上する可能性をアナリストが指摘。株は猛烈に下げてます。うぅ。株はこれらの報道を嫌気して全世界で下がりまくり。市場が予想する金融システム全体としての損失規模が一気に上昇したのがこのタイミングではなかったかと。

- 11/15/07(WSJ) ファニーメイに関する追加損失懸念から、株価が一日で10%も下落。もう泣きっ面に蜂状態です(;´Д`)

- 11/27/07(WSJ) アブダビ投資庁がCitiへ$7.5bnの資本注入を発表。待ってました、ようやく救いの手がキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!!! やっぱりオイルマネー強し。この辺りが数年前に起こった日本の金融危機と根本的に違うところですね。あの時は日本政府以外に誰もメガバンクに資本注入しようなぞとは思わなかったもんです。

- 11/30/07(金融庁) 遅きに失するとはこうしたことを指すわけで。金融庁による報告預金取扱金融機関のサブプライム関連エクスポージャーの保有状況について。完全に世界の流れに取り残されてますが(;´Д`)

- Nov-Dec 2007 就職活動中の知り合いによると、投資銀行の採用はどこもストップ。今年前半まで空前の採用ブームだったのが嘘みたい。唯一採用しているのはリストラクチャリング中の野村だけだとか。。ただ、別の知り合いによるとGSは特にストップしているわけでもないそう。やはりどの分野でもアグレッシブなのか?!

- 12/5/07 約2年半ぶりに英国中銀も利下げを決断。

- 12/6/07 午後にブッシュ大統領がサブプライム・ローン関連の対策を正式発表。株は折からの利下げ期待に上がっていたところを、さらに上げ足を早めS&P500は前日比+1.5%で取引を終了。11月末を底値として1週間程度で7%近く上昇したことに。それにしてもsuper fund構想は腰折れに終わりそうだし、この対策も効果があるのかどうかは疑問。10月からの一連の報告で金融システム全体(Wall street)としての損失規模が見えてきたので、ポイント2.で挙げた効果を見極めた上で、一気に利下げで後始末を終わらせる腹積もりかしらん。11日の利下げ幅が焦点ですな。

- 12/8/07 ちなみに、サブプライム問題・米国経済のresession懸念にもまったく動じずに日本では更なる政治による混乱が加速中(;´Д`) 改正建築基準法によるマンション建築の遅延、貸出し上限金利の厳格化、信用保証協会による保証枠縮小、更にはガソリン税の暫定税率継続に民主党が反対の姿勢を明確にするなど、この手の話題には事欠かずといった様相を呈してきた。結果オーライなら良いのだけれど、当分視界不良が続きそう。。やっぱりアンダーウェイトにせざるを得ないのか。

- 12/10/07(WSJ) UBS が$10bnのwrite-downを報告。と同時に、GICから11bn Francs, 中東の投資家から2bn Francsの合計13bn Francs ($11.5bn)の資本注入を受けることを発表。注入方法は、Citiと同じCBの形で、クーポンはなんと9%。一気に膿を出した事を概ね好感し、株式市場は上昇。ただし、日本のマーケットは何故か下がり気味??日経の第一報が資本注入にまったく言及していないのもどうかと思うが。。

木曜日, 12月 06, 2007

数学的 ウツ

東大の小沢さんのページに面白いコメントがあったので、書き留めておこう。「数学的ウツ」とは、新しい研究に身が入らない、なんら進展が見られない同じ問題に長期間こだわる、という停滞のことだ。激しく同意 & たまにあります、これ。気をつけないと。

月曜日, 12月 03, 2007

It's a small world

やはりこの業界、かなり狭い。

昨日ちょっとした用事を済ませるためにマンハッタン北部の某所を訪ねたら、何と偶然はじめて就職した会社の同期とバッタリあってしまった。お互い変わってはいるものの、僕の顔を覚えてくれていたようで久方ぶりの再会となった。8年ぶりだよ。彼女は入社して直ぐに会社を辞めて、しばらく投資銀行で働いた後はニューヨークへ渡ったって聞いていたけれど、まさかここで会うことになるとはね。今はミッドタウンにあるヘッジファンドで働いてるらしく、相変わらず活躍してるようで何より。

そして今日のニューヨークは初雪で、普段はくすんだ色のビルも雪化粧。奥さんと二人で買い物に出かけてロックフェラーのクリスマス・ツリーを眺めてみたり。時間が過ぎていくのは早いけど、たまに噛み締めてみるとなんとも味があって良いものです (´ー`)y-~~

木曜日, 11月 22, 2007

NYでの生活立ち上げ記録 ~ 年金 編

今日は数少ないアメリカの休日(Thanksgiving Day)で、お休み。お店もレストラン以外は基本的に営業していないので、家でのんびり。

日本でも今年話題になった年金問題だけれど、僕のように米国籍の企業に現地採用された場合、この問題は更にやっかいになる。ちょっとまとめておこう。

まず日本では年金は所謂3階建てになっているのが普通で、その1階部分については国民年金、2階部分については厚生年金、3階部分については企業型401k+Cash Balance Plan(所謂退職金制度)が用意されていた。日本の一部上場会社と比べても遜色なく満足していたのだけれど、赴任にあたりその全てを脱退してこなければならなかったヽ(`Д´)ノウワァァァン じゃあ米国ではどうなるのかというと、2005年に日米社会保障協定が締結されたので1階部分と2階部分の年金については掛け捨てはなくなったものの、将来はドル建てで米国社会保障制度から年金を受けることに。更には所謂3階部分はこちらの401k制度と企業毎の年金制度にとって代わられたので、これらについても将来はドル建てで受け取ることに(;´Д`) もう僕の年金は為替リスクは大きいし、ボロボロだと正直落ち込んでいたのだけれど、年度末のプラン見直し時に重大な事に気が付いた! 401kに関する税金の優遇措置である。

ニューヨークに転勤になる前からこちらの税金の高さは聞き及んでいたものの、実際に働き始めると驚いてしまった。日本では社宅制度などを使って、実効税率を15-17%に押さえていたのだけれど、なんとこちらでは連邦所得税+ニューヨーク州税+ニューヨーク市税+給与税(payroll tax = social security tax + medicare tax)で合計27.4%も税金を取られてしまうド━(゜Д゜)━ン!!ポイントはニューヨークは州税・市税ともに全米トップの税率を誇り、さらには給与税(日本でいうところの厚生年金保険料や健康保険料に相当)がそのうち7.65%を占めるということ。給与税の仕組みの詳細については、こちらの本(p.75)を参考にしてもらうとして、この数字には正直閉口してしまったいたヽ(´ー`)ノ

では、401kの税金優遇制度を使うとどうなるか?

そもそも、401kとは米国社会保障制度の一部であり、個人向けの年金制度(or 貯蓄奨励制度)である。ポイントは、1) 給与から専用口座に税金控除前に拠出できて、2) 運用期間中は運用益に税金を掛けられることはなく、3) 59.5歳以降に引き出し可能になり、4) 引き出し時に源泉所得税20%を課されるものの最終的には他の所得との合算で税金を課されることになる、ということ(59.5歳以前に引き出すと、ペナルティーで10%の税金を徴収される)。日米の制度設計に関する違いのポイントは、日本では企業が拠出しその拠出額は最大JPY46,000であるものの、米国ではまず個人がその給与から最大30%まで拠出し、その一部(うちの会社では最大6%)を会社が年度末に拠出する、ということ。

これらを考え会わせると、まず引き出し時の源泉所得税は運用期間にもよるが、仮に20年間運用すると考えると年間0.90%のコストにしかならず(ちなみに過去1世紀の米国での預金利率の平均は3%前後)、給与から最大30%を拠出すると概ね実行税率を30% x 27.4% = 8.22%削減できる━━━━(゜∀゜)━━━━!!!!もう少し精密にシミュレーションをしてみると、税の累積効果があるので、実際には21%拠出することで、実行税率を20.2%にまで押さえられることがわかる。これはかなりデカイ!!なので、もちろん401kは基本的に貯蓄制度なわけだから拠出額を多くすればするほど毎月のキャッシュフローは減るわけだけれど、このリスクに耐えられさえすればこの制度を使った方が断然お得なわけ。日系企業の駐在員はニューヨークにいれば家賃補助も毎月USD3,000くらい出るみたいだし羨ましいなぁと思っていたのだけれど、これでようやく僕も現地採用になったメリットが享受できそう(^ω^)

追記 (12/22/2007):このエントリーを書いた後に、実際に401kプランをいじっていたら、重大な事実を見落としていた事に気が付いてしまった。何と401kの拠出金には法律で上限が設定されていた(;´Д`) 結局、節税効果はあるものの、3-5%程度に圧縮さてしまうことに。やはり世の中うまくできてます。

土曜日, 11月 10, 2007

証券化商品の格付けについて考える

(これも9月に入稿したので、ちょっと話題が古いですね。すみません。)

最近物議を醸している証券化商品(CDO,RMBS等)の格付けについて取り上げてみたい。これはデフォルト確率の推定に関わるモデルの問題に関連していて、クオンツの立場から考えても興味深い。

まずは、Moody's president Brian Clarksonのぶっちゃけトークから引用してみよう:
" We're rating with the goal that if you purchased all triple-As, they would all perform the same. Now of course they don't. Some get downgraded, some get paid off. "But what we're doing is we're actually rating to a target. We're targeting everything to be money good at the end with very, very little variability at the triple-A level," he said. Inherent in structured finance, however, are rules that govern what can and cannot be done -- even moves to save deals that break down, whereas a company can sell assets or otherwise reduce debt to stave off problems. "There is little you can do once things start to go bad," Clarkson said. "Structured finance ratings tend to be more stable over a longer period of time than a fundamental rating. But when they actually move, they move much quicker." (NY Times)
要は、昨今の格付けの急激な変化を認めた上で、やんわり企業の場合に期待される自浄努力(収益が悪化すればそれなりにリストラを行って財務体質の改善を図る等)が証券化商品にはあり得ないことなどを挙げて、その責任をストラクチャーの硬直性に転嫁してしまおうとしている。しかし、さすがにこれには無理があろうというもの(#`Д´)。これではせっかく最新の金融技術を使って、追加コストを極力抑えながら経済全体のリスク許容度を最大限利用しようとする証券化商品の意義(言い方を換えれば、リスクを幅広く投資家へ移転することによって資金調達を容易にするスキームの意義)が無くなってしまう。

それに、今回の件は直接金融の信用創造を阻害してしまったという意味で、新しいタイプの信用収縮と言えそう。

では実際に何が問題であったのだろうか。そもそも証券化商品の格付けはbankruptcy remoteを保証するスキームやコミングリング・リスクの評価を終えてオリジネーターとサービサー絡みのリスクを分離した後は、対象資産プールの損失分布(or 償還の蓋然性)を推定することに集約される。もちろん格付け会社は細心の注意を払って損失分布を推定し、特に高格付けを付与する場合にはデフォルト確率(PD)にストレスを掛けて念には念を入れている。ただ、僕の見立てでは今回問題になったのはこうした損失分布を推定する際に使われる肝心のストレス倍率ではなかったのかと。。

最近の急激な格下げで注目を集めている中小企業のCBOオール・ジャパンを例にとって、軽く試算してみる。デフォルト確率としては、S&Pの中小企業クレジット・モデルによる予想貸倒率(年率0.8%)を仮定してみよう(ちなみに、これはS&Pが当該当CBOに予備格付けを付与した時点でのS&Pの「ベース・デフォルト率」の1.7倍程度 (source: FISCO))。仮に信頼区間を68%(1標準偏差)で計算すると必要となるストレスPD値および倍率は次のようになる:

Gaussian copula w/ asset correlation 15% => 2.169% (x2.77)
Gaussian copula w/ asset correlation 30% => 4.063% (x5.07)

Student-t copula w/ asset correlation 30% => 7.798% (x9.74)

これらの数字はS&Pが発表している「中小企業CLO・CBOの格付け手法 - 中小企業クレジット・モデルを活用した分析手法を中心に」に記されているAAA格付けに用いるストレス倍率(5-8倍)とちょうど同水準である。一方で、ボラティリティのボラティリティが15%だとして計算すると、信頼区間はちょうど75%(1.15標準偏差)となる。この数字を使ってもう一度同じ計算をしてみると:

Gaussian copula w/ asset correlation 15% => 2.637% (x3.29)
Gaussian copula w/ asset correlation 30% => 5.172% (x6.46)

Student-t copula w/ asset correlation 15% => 7.091% (x8.86)
Student-t copula w/ asset correlation 30% => 9.441% (x11.8)

となり、S&Pが仮定するストレス倍率を30%-50%上回る結果となってしまう。更には直近6ヶ月のデフォルト率(年率4.7%=ベースデフォルト率の10倍!!)も十分予測の範囲内に収まることがわかる。したがって、ストレス倍率 5-8倍はちょっと低いのではないかと思うわけで。そもそも、この数字の根拠も曖昧だし(誰か知っていたら教えて下さい!)。9/11時点での格付け変更がどの程度のストレス倍率を仮定しているのか発表されていないものの、上記程度のストレスは仮定しておいて欲しいもの(ちなみに、8/28の関連プレスリリースはこちら)。もちろんこれは日本の事例であって、欧米での基準がどうなっているかを精査する必要があるがストレス倍率の議論はもっとオープンになされていいのではないかと思う。

結局のところ、証券化商品にありがちな高格付け・ハイイールド商品のカラクリはこうしたボラティリティに関するコールオプションが格付け時にゼロ評価されてきた為に起こっていた裁定機会であった可能性が高い。もちろん本来あるはずのオプション価値はハイイールド或いは業者の手数料として相応に落ちている訳だから、投資家としても文句はいいづらいところではある。逆に現在は理論的な根拠が薄いままスイングが逆方向へ行き過ぎている可能性が高いので、絶好の買い場であろう(新しいストレス倍率の水準は要チェック)。一旦下げた後は格付けが上がっていくフェーズに入っていくのではないか。市場へのインプリケーションとしては、格付けとスプレッドが密接に関連している市場慣行上、格付け方法を丹念に調べていけばレラティブバリューの機会を捉えることができよう。もっとも最近の価格下落率を見ると、レラティブバリュー云々の議論をする気が失せてしまうのも十分納得できるわけで、反論は甘んじて受けましょう。

金曜日, 11月 02, 2007

まるごとベートーベン

今回のカーネギーホールでは僕の好きなピアノ、しかもベートーベンを聞いてきた。しかも席は最前列!!前回の反省を踏まえて前の方の席を予約したらなんと今度は中央最前列になってしまったわけで。ただあまりにも前過ぎてせっかくのアンドラーシュのタッチがまったく見えなかった(;´Д`) まぁ十分演奏者の息遣いと最高の音を堪能できたので良しとしましょう。ちなみに、この公演では珍しくアンコールに答えてくれて20分以上も追加で彼の演奏を聞くことができてしまった。その心意気と素晴らしい演奏に拍手!

ANDRAS SCHIFF (アンドラーシュ・シフ), Piano

Ludwig Van Beethoven,
Sonata No.5 in C Monor, Op. 10, No. 1
Sonata No.6 in F Major, Op. 10, No. 2
Sonata No.7 in D Major, Op. 10, No.3
Sonata No.8 in C Minor, Op. 13, "Pathetique"

金曜日, 10月 26, 2007

バブルの発生要因およびその特徴を探る

(時間が経ってしまったのですが、このトピックは先月の話です)

NY赴任に当たって、一番楽しみにしていた事の一つが遂に実現した!そうNYには東京とは比べ物にならないほど大きなクオンツ・ソサエティが存在し、常時面白いイベントを開催すると共に皆ネットワーキングをしているので是非僕も参加したいと思っていたのです。その一つがコロンビア大学のThe Fu Foundation School of Engineering and Applied Science(どこかで聞いたような名前ですね?!)の金融工学講座が主催しているFE Practitioners Seminarです。有名なDermanが主に仕切っているようで、今シーズンはこれまた有名なヘッジファンドBlack Rockのオフィスを借りて開催されています。

そして第一回目が驚く事なかれあのHJMモデルのJarrow先生の講演でした。もう8年前になってしまうけれど、初めて金利デリバティブのモデルを作るときに繰り返し読んだのが、HJMの論文だったんだよね。なんだかこの8年間の出来事を思い出して感慨深かったものの、その語り口に手応えを感じてちょっと嬉しかったり。論文を読んでいるだけだと非常に抽象的でまさしく数学的な論文なのだけれど、一流の数学者がそうであるように、Jarrow先生も直感と理論の意味づけと、その応用に非常に心を砕いて説明してくれていた。そして抜群のウィット。やっぱりこうでなくっちゃね。

ところで肝心の内容はというと、最近なにかと話題の『バブル』についてです。『バブル』発生のメカニズムについては、レジームスウィッチングの考え方を使ってモデルを作っていく手法がこれまで大勢を占めていたわけだけれど、今回のJarrow先生の理論はFinanceで使われる手法に軸足を置いている点で異なります。詳しくは論文*に譲るとして、ポイントは次の4点:
  • 完備市場であっても、非完備市場であっても所謂『バブル』は発生し得て、価格上昇をもたらす。
  • リターンの上限があらかじめ決まっている債券型の資産では、理論上『バブル』は発生し得ない。
  • 『バブル』には必ず有限時間内での寿命が存在し、その効果は消滅する。
  • 非完備市場では、何度も『バブル』が発生し得て、その発生時期は市場がリスク調整を行うタイミングと一致する。
  • デリバティブ市場の価格形成情報から、『バブル』そのものについての情報を抽出できる。
ここで、一連の結果を導出するために設定された自明でない仮定は唯一:"トレーダーにはあらかじめロスカット枠が設定されている"ということのみ。言い方を変えれば、例えそれが裁定取引であったとしてもある一定レベル以上の評価損失を抱えることはできない、ということ。これは現実に即した仮定であると同時にある種の裁定機会を放棄しているのと同じ意味であるわけだから、この仮定を置く事で『バブル』の発生が理論上可能になっているのがわかる。

まず注目すべきは債券型の資産(fixed income products)については、理論上『バブル』が発生し得ないということ。つまり、このタイプの資産価格はバブルに見えても実はバブルではなく、あくまで正常な価格形成の結果であるということで、一方的な価格下落は生じ得ない。これにはかなり驚いた!もちろんあくまで理論上の話なので、直ちにそれが市場に適用できるとは思わないもののこれだけ一般化された枠組みの中でこうした結論が得られるのにはやはり意味があるように感じる。まぁこの時に知り合ったCDOトレーダーはあんなのアカデミックな世界だけの話で、CDOマーケットは完全にバブってるよって言ってましたが(;´Д`)

次に注目すべきは『バブル』の発生と破裂についてのメカニズムがすっきり説明できるということ。『バブル』は市場がリスク調整を行う時(まさしく今!!)に発生し、その後必ず有限時間内に破裂する。数学的に言えば、『バブル』は同値マルチンゲール測度の交換時に発生し、0に各点収束する優マルチンゲールとして記述できる。経済的に言えば、よく知られているように『バブル』は資産価格の急上昇をもたらした後崩壊し、資産価格の急落をもって終焉する場合ももちろんあるものの、平均してみるとあたかも負の配当を資産価格から支払い続けるような効果をもたらす。

そして最後に注目すべき点は、デリバティブ市場の価格形成情報を使って『バブル』を観測できる可能性が示されたこと。具体的にはプット・コールパリティが成立する中で、コール価格にのみバブルが潜みうることを利用しようというもの(プットはリターンの上限が決まっているので、その価格はバブルに成り得ない)。これは正直凄い!もしかしたら将来はバブルのプライシングも夢ではないかもしれん。Jarrow先生がIn this context, there are lots of fun in derivative pricing!と言っていたのも納得できる。

簡単な応用として、不動産バブルについて考えてみよう。まず、不動産価格にはバブルが潜み得る。これは、少しの確率であっても不動産価格が青天井で上昇していくようなシナリオを描ければ良い。まさしく80年代の日本市場の姿であり、ここ最近の米国住宅市場であったわけですな。この場合にはリターンに上限がないので、上記理論によってバブルが潜み得ることになるド━(゜Д゜)━ン!!一方で、この期待(確率)が脆くも崩れ去るとたちまち不動産価格に上限が設定されてしまうので、一気にバブルが破裂することになる。例えば日本の場合には、総量規制で不動産向け融資を絞られてしまった結果、それまでの不動産価格の青天井シナリオの確率が減少すると共に、収益還元法の出現によってfixed income assetとしての性格が強調されるようになりバブルが一気に破裂したと理解できる。今後の研究としては、青天井である確率とバブルの大きさの関係なんかが解明されると面白いんだろうな。たぶん正の相関がある筈。

まだまだ実践的な理論にはなっていないものの、今後の発展が期待されますね(^ω^)

*R. Jarrow, P.Protter and K.Shimbo (2007), "Asset Price Bubbles in Incomplete Markets"

いよいよ冬の始まり

同僚と話していると、今年の秋は本当にニューヨークらしからぬ蒸し暑さでshameだとの事。そこまで言わなくてもいいとは思うものの、秋が一番綺麗な季節と聞いていたのでちょっと期待外れ。11月を目の前に最近はさすがに少しだけ寒くなってきました(55F/12C)。いよいよ冬の始まりかな。

金曜日, 10月 12, 2007

財務省動く

サブプライム問題をきっかけとしてクローズアップされた新たな金融システム危機については以前のエントリーでコメントしてきたわけだけれど、遂にその対策の第一報がWSJ紙上にて今日の夕刻明らかになった。以外と時間が掛った印象だけど、引き続きインターバンク市場が混乱するなかで内密に議論が進められてきていたとのこと(3週間前から)で納得してみたり。来週月曜日のCITIの四半期決算発表に合わせて対策が公表される予定とのことで、もちろんその発表も注意深く見ていかないとね。まったく個人的な憶測でしかないけれど、やはりこのまま対策なしにCITIの決算発表を向かえると市場の混乱が再発しかねないとの判断があったんだろうか。

ポイントは、1) 今回はFEDではなく財務省が仕組み作りに動いていることと、2) 別エンティティ(Master-Liquidity Enhancement Conduit, or M-LEC)を作ってこれを銀行団がサポートすることで信用力を確保することの2つ。

FEDではなく財務省が出てきたという事は、今回の対策はLTCM危機での緊急財政出動とは異なり長丁場のシステム作りに当局自身が動いたということを意味する。LTCM危機の時はその後業界団体であるISDAを中心とした活動によって、カウンターパーティリスクの管理方法が確立してきたわけだけれど、今回の金融システム危機(07年証券化危機とでも呼んだらいいのかしらん?)はシステム全体の問題として当局が強い問題意識を持っていることが伺える。それにしても強い当局とはまさにこうした動きができるもの。翻って今の日本の当局は果たしてこうした力を発揮できるかどうか。また後で、当局という概念については取り上げてみたい。

別エンティティを作ってこれを銀行団がサポートするというのは記事にもあるようにいかにもLTCM危機時の対応を思い起こさせるものの、もはや一行のクレジット単体では現状あるファンディングを維持できないわけだから適正な対応であろう。それにしてもCITI単体(7つの関連エンティティの合計)で現在$100bn、8月末でみると$400bnも資産が積まれていたというのだから驚きだ。これは統合前の大手都市銀行一行あたりの総資産規模に匹敵する。インターバンク市場はこの規模のファンディングに対してよくも耐えられたものだ。

引き続き注意深くウォッチングしていきたい。

Big Banks Push $100 Billion Plan To Avert Crunch

The Citigroup plan would create a "superconduit," a fund backed by some of the world's biggest banks that would issue short-term debt and serve as a buyer of assets currently held by SIVs affiliated with the participating banks.According to the people familiar with the plan, these assets include securities tied to U.S. mortgages as well as debt pools called collateralized debt obligations.Because the superconduit would be backed by the big banks themselves, it's expected this would reassure investors and make them more willing to buy its short-term debt, or commercial paper.SIVs are purposely kept off the balance sheets of the banks to which they are affiliated. One reason for this is that banks want to keep down the amount of assets on their balance sheets to reduce the amount of capital that regulations require them to keep.

Because SIVs are off the balance sheet, it is difficult for investors to size up the financial risks they pose. Off-balance-sheet liabilities played a major role in the 2001 collapse of Enron Corp., and the makers of accounting rules have generally sought to get affiliated entities back on the balance sheets of the companies creating them.

追記(10/16/2007):このトピックに関して日本の報道を見ていて面白い事に気がついた。あくまでネット版ではあるものの、読売はNY時間の土曜日の朝には既にこの件で記事を載せていたのだけれど、日経はなんとNY時間の月曜(もしくは日曜の深夜)になるまで一切触れられていなかった。これはもしかして日経のニューヨーク特派員は金曜日早帰りして気がつかなかったか??或いはそもそも特派員がいないのでは??日経のネット版には記者の名前が載っていないので確認しようがないものの、これはかなりまずい。経済専門紙が読売に先越されてどうすんのよ。。ちなみにアサヒはチェックしてません。アサヒられるかもしれないからね(;´Д`)そもそも何故にネット版で経済欄が『ビジネス』カテゴリーに分類されてしまっているのだろう。。。

土曜日, 10月 06, 2007

The 2007-08 Season (Carnegie Hall) has just started !!

今週の木曜日はニューヨークで楽しみにしていたことの一つ、『カーネギーホール』でのクラシックコンサートを鑑賞してきた。東京ではサントリーホールを中心に2-3ヶ月に一度はクラシックを聞きに行っていたのだけれど、こちらでは思いきってカーネギーホールとメトロポリタン・オペラの2007-08にかけてのシーズンチケットを購入してみた。それで今回はカーネギーホールのシーズン一発目というわけ。ただ、N饗のシーズンチケットを買った時もそうだったのだけれど、やはり値が張るので今回も最安値のチケット購入してみたらなんと見事に文字通り最高峰(1番後ろの席は1番高いところにある 右図参照)の席に決定ヽ(`Д´)ノウワァァァン 総数105段の階段を上って息もたえだえ最上階についてみるとやはり異様に高い。。1段25cmとしても105x25cm=26.25m、凡そ1階3.5mとしても26.25/3.5=7.5階の高さに二人でビビりつつ、若干沈鬱な気持ちになったり。しかしなんとコンサートが始まってみると、さすが世界最高峰のホールの一つだけあってサントリーホールの良い席で聞くのとほぼ同じクオリティの音で聞くことができたのには驚いた。たぶんホール自体がすり鉢状になっているからなのだろう。少しだけ早いベートーベンの第九に大満足(^ω^)

ちなみに左隣では女性二人組みがいちいち演奏に声を潜めて大はしゃぎ。確かに良い演奏だけどちょっとオーバーリアクションでは。。?と思っていたら前のおじさんは手を耳に当てて必死に音を拾おうとしてたり。バッチリ聞こえてるんだけどとなぁと思ったら、やはり相当耳の悪い方だったようで30分後には寝てしまってたり (;´Д`) と思ったら右隣ではスパイダーマンの育て親の老夫婦にそっくりのお年を召したカップルが中睦まじく静かに音楽に聞き入っていたり。なんだかとってもディープなファンに支えられているコンサートでした。
うーんそれにしてもこれからこのシーズンをこの人達と一緒に過ごすと思うとなんだか複雑( ´_ゝ`)

Lucerne Festival Orchestra, David Robertson as Conductor

Ludwig Van Beethoven, Symphony No. 9 in D Minor, Op. 125

This concert was performed without intermission, took about 1h 30min.

Lake Placid (Amtrackの旅)

忘れてしまわないうちに、夏休みを利用して行ったLake Placidについて書いておこう。何せ一年ぶりの長期休暇なので、マンハッタンを出てみることにした。今回のテーマは、『アメリカ版伊豆・箱根を探せ!!』。何を隠そう自他共に認める温泉好き・田舎好きの私は29歳になるまで自ら海外旅行に出かけたことはなく、20代最後の冬に奥さんとNYへ旅行に 行ったのと新婚旅行を除けば実は全ての休暇を国内しかもほぼ伊豆・箱根で過ごしている大の伊豆・箱根ファンである。なので、ニューヨークへ来てからも伊豆・箱根を疑似体験できるところがないとストレスが溜まってしまってしょうがない。というわけで、奥さんからの冷たい視線を感じつつも必死になって探した結果、 なんとすぐ近くニューヨーク州北部にHudson Valley(箱根)とAdirondack(伊豆)を発見した \(^∀^)/ うーんこれは実に素晴らしい。何せよくみるとどちらも山に囲まれた国立公園になっているのと同時に湖(芦名湖?一碧湖??)が点在しているので、まさしく 伊豆・箱根の雰囲気にぴったり。しかも、SPA(温泉)を売りにしているホテルが結構多い(有名なのはAdirondack Parkの入り口にあるSaratoga Spring)。

そこで、今回は天城をイメージしてAdirondack国立公園の真ん中あたりにあるLake Placidを試してみた⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン、、と簡単に書いたもののかなり遠くて片道5-6時間の電車の旅をする羽目に。さすがにアメリカはスケールがデカイ(;´Д`) ただ実際到着してみるとこれがまたかなり綺麗めの純白人仕様の湖畔の避暑地であることが判明(何せ3日間の滞在中にみたアジア人はわずかにカップル3組に止まってしまったわけで)。何はともあれ奥さんも満足げで良しと。

そして今回は遂にコースデビュー━━━━(゜∀゜)━━━━!!!! これまで打ちっぱなしには何度か行ったことがあったもののコースは初めてだー。9ホールではあったものの、抜けるような快晴と山の緑に囲まれてのゴルフはかなり楽しくてしばし二人で熱中。今度は冬にスノボに行きたいな。

ところで今更ではあるものの、最近国家間の情報戦に興味があるので「国家の罠」(佐藤 優)を読んでみた。何せ電車に片道6時間近く乗っているので本を読むしかない(´ー`)y-~~それにしてもこの本は勉強になった。対ロシア戦略および北方領土の日本側からの解釈・位置づけ、そして最近また話題になっている所謂国策捜査について平易に解説されているので日頃の勉強不足を補うことができた。肝心の情報戦については非常に為になる教訓が一つ:情報屋の世界では信用が第一であって、これを裏切った者は二度とその世界に再び受け入れられない、ということ。この線を守ることが、著者をして1年以上に及ぶ拘置所生活を決断させる一つの理由になったとある。金融で言うところの"My word is my bond"に通じる約束なのかなと感じた。或いは、リスクの伴う中でスピード感のある活動を支えるのはどの世界でも信頼できる仲間である、のであろう。

月曜日, 10月 01, 2007

ダウ平均 14,000ドル台回復

凡そ2ヶ月ぶりの14,000ドル台回復ということで。
ちょっと早すぎる気がするのだけど(´ー`)y-~~

日曜日, 9月 30, 2007

9月FOMCの結果によって第3フェーズへの突入を確認

9月のFOMCの直前には久々に手に汗握りました。私の職場でも一体FEDはどう対応するのか皆で賭けでもするかという話もでるくらい予想が割れる始末。結局0bp--50bpまでほぼ均等に意見が分かれたものの、FEDが利下げした場合には間違いなくEUR高・インフレ懸念が台頭するという点で意見が一致したのには笑うてしまった。マーケットも2日前までは利下げ織り込みが50bpで推移していたのに、前日になって25bp織り込み相場へ変化するという具合だったしね。

ところで、今回の利下げ措置で二つのポイントが確認されたのは有意義だったと思う。

一つ目のポイントは、WSJ紙上でも議論されてきたバーナンキ議長とグリーンスパン前議長とのマーケットへの対処方法の違い・類似性について確認がとれたこと。いわゆるグリーンスパン・プットの復活についてだ。かねてグリーンスパン前議長の時代には何かしらの変調が起こって資本市場が機能不全に陥った場合には、必ずFEDが緊急避難的に流動性を供給する或いはFF金利を引き下げることによってマーケットの一方的な下落を食い止めてきた。この意味で、これまでグリーンスパン・プットの存在が認識されていたわけだけれど、対照的に、バーナンキ議長は先月のNY株式市場のメルトダウンを前にしてdiscount rateを引き下げるのみでFF金利を据え置いた。結果、前述のWSJの記事にあるように、前議長との間の違いが際立ってしまった。しかし、9月のFRBで一気に50bp FF金利を引き下げて金融システムの混乱を沈静化する姿勢を鮮明にしたため、逆に金融システム自体を守るという点では二人の考え方が一致していることが確認されたといえるだろう(9月に入ってからの重大な金融システム危機については二つ目のポイントを参照)。一方で、景気および金融システムへ悪影響が出ないと考える限り、FEDは動かない事も同様に確認されたといえる。個人的にはバーナンキ議長への信認が更に高まったのだけれど、他の市場参加者の人はどうだったんだろう?その後のマーケットの動きをみると、同意見の人が多いような印象を受ける。

ちなみに、グリーンスパン・プットの発動タイミングについては、メモを参照のこと。

二つ目のポイントとしては、短期金融市場が思いもよらぬ原因で機能不全(流動性クランチ・信用収縮)に陥り、証券化時代の市場の不備が露呈した(確認がとれた)こと。

まずご存知の通り、短期資金調達手段は概ね次のように分類される:
  • Repo Market, Stock Loan Market(主に証券会社のファンディングに使われる)
  • 無担・有担コールマーケット or O/N Libor Market(インターバンク市場): 米国市場ではFF金利に支配されるが、日本では日銀の裏庭にいる短資会社に支配されている
  • 銀行借入(Libor Market, インターバンク市場)
  • CP市場(短期クレジット市場(無担))
  • ABCP市場(短期クレジット市場(有担))
今回は担保価値の再評価(リスク調整)が行われるなかで、ABCPプログラムのリファンド時の混乱から、アセットそのものの質が悪化している為に、或いは悪化していなくとも不利な条件でのリファンドになってしまう可能性があるため、B/Sから外した筈のアセットが銀行・モーゲージ関連企業自体のB/Sへ跳ね返ってくることに(証券化の際にArrangerに課されている買戻し条項を要チェック。追記(12/9/07):精査の結果、Citiの場合は会計上これを逃れられそうとのこと。詳しくはWSJの報道(11/26/07)を参考に)。その結果、銀行・モーゲージ関連企業本体のクレジットでのファンディング(インターバンク or CP)が必要となってしまい、インターバンク市場・CP市場が同時にクラッシュしてしまった。実際、8月のFRB後に大手4行がアナウンスメント効果を狙って$500mmずつ借りて借入れ総額が$2bnとなっていたdiscount windowは、8月末には順調に$1bnへ減少したものの、9月の第2週には$7bnまで急上昇していた。もう少し詳しくみたいのであれば、FEDのABCP残高統計および銀行のB/S統計をみればわかり易い。1ヶ月でほぼ2.5倍になっている。

こうした現象はcounterparty riskが顕在化したLTCM破綻時やS&L危機或いは日本の不良債権問題とも本質的に異なり、証券化時代に金融システムの抱える新たなリスクの火種といえる。今後業界がこの問題にどのように対処していくかウォッチングしていきたい。私の印象としては、本来信用創造は景気と正の相関を持っていて当然ではあるものの(景気悪化=>資金需要減退=>貸出減少, vice versa)、間接金融の作り出す相関に比べ、直接金融の方が相関が高い或いは振れが大きいといえそうで、このあたりの制御を問題意識とした更なる研究が必要なんだろうな(それともacademicの世界ではもうあるのかしら?)。

ちなみに、ECBが今回利下げしなかった理由も、欧州では個別行の損失からくる旧来型の信用収縮(英ノーザンロックが好例)に止まり、金融システム危機にまで発展しなかったことが一因であると考えると納得がいく。

市場へのインプリケーションとしては、グリーンスパン・プットの復活が明確な形で確認されたことはプラス。一方新たな金融システム上のリスクが確認されたことはマイナスで、調整局面は長引きそう。対策が講じられるまでには更に時間が掛かる見通し。もちろん市場はブル・スティープで反応。同時にグリーンスパンの謎も解けそうですな。

追記(10/10/07):ようやく短期市場の混乱も治まってきそう。それにしても8/10時点でuk base rateとO/N LIBORのスプレッドが72bpにも達しているにも関わらず、BBA O/N repo rateとのスプレッドは35bpに留まっているのは面白い。それと英国の短期金融市場の方が早くから混乱し始めていた事が見て取れる。ちなみに、店頭ではこの混乱に先んじてLibor fundingをBase rate fundingへ切り替えるswapが観測されていた。

土曜日, 9月 22, 2007

Hairspray

今回またしても割引になっていたミュージカル Hairsprayを見に行った。安い割には良い席で満足していたのだけれど、ミュージカルそのものがもっといい━━━━(゜∀゜)━━━━!!!!要は田舎の女の子(Baltimore)が都会に出てきて巻き起る恋愛なんかをコミカルに演出したミュージカルなのだけれど、歌・音楽そのものが第一級品。今まで見てきたミュージカルはどれもテーマが重すぎて、それに合わせて音楽もドラマティックに過ぎる感があったのだけれど今回は完全にポップで踊りまくれるような音楽でこちらも聞いてて楽しくなってくる。途中に、さすがというべきか、人種問題なんかも出てくるのだけれど、それも当時(50年代)のブラックミュージックを取り入れるためにわざと挿入してきたんでないかい??(;´Д`)と思われるほどに明るいんだよね。大満足でした。

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火曜日, 9月 18, 2007

FED 50bpの利下げを決断

本日FEDが50bpの利下げを実施。株式市場は一様に好感し、North America +2.9%, Brazil +4.28%, Argentina&Mexico +2.7%の大幅高を記録。リスク許容度の上昇と共に、予想通り円相場も下落中: 116.12 (+1.20)。ふーむ。遂にバーナンキ・プットが出現しましたな(この点についてはまた機会を見て詳述する予定)。ただ、Crude Oilも+1.7%上昇で最高値更新($82.38/bbl)ですよ。バーナンキ議長も今後はよりいっそう得意のインフレ退治にターゲットを絞った金融政策に邁進できるというもの。裏返せばよっぽどインフレ対策に自身があるんだろうねヽ(´ー`)ノ

ところで、水野さんはFRBのこの判断を受けてどうするんだろう??やっぱり利上げに一票ですかね。

日曜日, 9月 16, 2007

続報 サブプライム関連 第2フェーズへ突入

(このコメントを入稿したのは8月下旬だったわけですが、その後第2フェーズは既に終了し、今週のFOMCの判断如何によっては第3フェーズ突入です)

さて普段ならば夏休みで閑散とした相場であるものの、今年の8月はかなり熱い月でした。商いが薄い中で、幾つか悪いニュースが重なって、8月第1週は本当にさんざん。一部の欧州系銀行がサブプライム関連投資で大損をこいたことから、円キャリートレードの解消が誘発されると同時に、世界規模の株式ポジションの調整から円売りのヘッジ玉が戻り、一気にドル円は112円台をつける展開へ。

この展開は本当に面白いものを見させてもらったという意味も込めて、整理しておきたい。

8月13日の週:

月曜日: ゴールドマンが自身のファンド(Global Alphaではなく、Global Equity Opportunities Fund)へ$3bnの資金注入を決定。米国株式市場はこの朝方の報道を受け一時は持ち直すも、結局下げて引ける(後日談として、この$3bnはその後の相場の回復を受けて、一旦回復したものの、9月第一週は1.8%下落している模様)。

その後、株式市場は引き続き全世界で全面安の展開に。水曜日・木曜日にかけて、ドル円相場が112円代前半をつけるド━(゜Д゜)━ン!! 株についてはその後弱いながらも買いが入るが、円だけの急落に何故だか疑問。これは、ストレステストを実施していれば、事前に予測がついたかもしれない。特に、前回3月の世界同時株安から主要プレイヤーがどのようなポジションを積んでいたかを詳細に調べておくべきであった。結局のところ、結論としては
  • 欧米主要ファンドの日本株エクスポージャーはほぼ円ヘッジ済み(円売りポジション)。
  • キャリートレードの主要なファンディング元である欧州系銀行の円エクスポージャーもほぼヘッジ済み(円売りポジション)。
  • 一部買収案件の資金調達に関わって発生した円エクスポージャーもほぼヘッジ済み(円売りポジション)。
となっていたようだ。従って、今回起った対ドルでの円の急騰は、リスク調整に伴う日本株エクスポージャーの削減に伴うヘッジ玉の戻りと、欧州系銀行のクレジット悪化に伴うキャリートレードのファンディング先の変更或は解消に伴うヘッジ玉の戻りが主因になっているものと理解される。

ただし、ドル円の急落と機を一つにして、日本でのコールマーケットで資金不足が発生していた事に注目しておきたい。この前の週に行われたECBの資金供給と歩調を合わせて行われた日銀の10兆円規模の資金供給によって、火曜日にはゼロ金利まで下がったコールレートが外銀からの調達意欲を背景に急騰。一旦資金を引き上げた日銀が、週半ばには一転して資金供給へと追い込まれるという珍事(?!)が発生していた。積み期間との関係も考慮に入れる必要があるものの、キャリートレードとの関連で言えば、円相場が円高方向へ戻ると同時にキャリートレードを積みました向きがあるといえそうだ。

金曜日: メルトタウン寸前のNY市場に対し、FEDがdiscount rateの0.25%引き下げを発表し、すんでのところでmeltdownを回避。これは、前回FRBの声明文に明記されてあった窓口割引のレートのこと。さすがに利用を促すだけでは駄目だと思って、レートを下げてきた。この戦略はそもそも規定路線ではあったのだろうけれど、御見事です\(^o^)/。余談ながら、午後に予定されていた外部のエコノミストとのconference callもこのために急遽中止され来週へ延期 (;´Д`)

その後、8月20日の週は比較的落ち着いた動きに。主要銀行が坦々とdiscount windowを使った旨のアナウンスを流すとともに、バンカメはここぞとばかりに米国住宅ローン市場最大手のcountry wideの買収を発表。さすがに狙ってましたねという感じ。やっぱりここアメリカはその昔テラノザウルスが闊歩していた場所だけあって、弱肉強食だぁー (;´Д`)

マーケットへのインプリケーションとしては、引き続きキャリートレードは続きそうであるという事と、今後株式市場(特に日本)が軟化することがあれば、同時に円高が発生する可能性が高いということ。逆にいえば、日本株が堅調である限り、ヘッジ玉に伴ってドル高(外貨資産高)へ触れやすくやっており、日本の投資家にとってはユーフォリアの復活である。もちろん来週のFRBの判断には注意が必要だが、前回のエントリーでも触れたとおり、今回のサブプライム問題は米国の消費者への影響に関してはニュートラルもしくは小幅マイナスに止まる見通し。後は、住宅ローン関連のビジネスを持つ企業動向次第であろう。

火曜日, 9月 11, 2007

9・11

出社時に向かいのLehmanの電光掲示板に巨大な星条旗が翻っているのを発見。犠牲者の方々にしばし黙祷を捧げる。Cloudy, and 74F。

土曜日, 9月 08, 2007

Cezzane at MoMA

ニューヨークへ来てから美術館へ行く頻度が上がっているのだけれど、特に街中にあってかつ美味しい喫茶店もあるということで最近はMoMAがお気に入りです。

Metに比べると、絵の展示数も格段に少ないし、あまりに先鋭的過ぎてて意味のわからない作品も多い割には、印象派の代表作も置いてある。というわけで、そろそろ自分の記録用にブログへ載せてゆくことに。まずPaul Cezanne, 『The Bather』。以前は惹かれるわけでもなく、素通りしていたのだけれど最近何故かこの素朴な構図と、どうしても絵の中の少年と目を合わせることができないむず痒さに見入ってしまう。


次はPaul Cezanne, 『Turing Road at Montgeroult』, 1898。どこか昔住んでいたカリフォルニアの町並みを思い出させられる色合い。南欧は昔からこうした色合いだったのかな。京都の夏は、赤と黒と緑と青の色合いだからやはりだいぶ違うもんだね。

その他には ピカソの『アヴィニョンの娘たち』の100周年記念を祝う展示をやってたりと、何時行っても何か目新しいイベントがあって本当に飽きない。解説を見て初めて、『アヴィニョンの娘たち』がキュービズムの発端であって、しかもかなり確信犯的な製作工程を経ていることを知ったり。




ちなみに、左の写真は最近登場した壁画(とはいってもMoMAだけあって、一見すると落書きのような気が。。)で、社会情勢を強烈に皮肉ってるもの。あまりに的を得ていて個人的には笑えない。。。まぁ一昔前ならありがちな、背の低いメガネをかけてニヤけてる東洋人がいないだけマシかと。
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ボラティリティのボラティリティ

やはりDermanの云うように、最近のクオンツ系ファンドのパフォーマンスを見ていると、こうした戦略は基本的にボラティリティのボラティリティに関してショートになっているようだ。興味深い。

金曜日, 8月 24, 2007

修行

修行とはすなわち、心を定めることである。

木曜日, 8月 23, 2007

オペラ座の怪人

今日から夏休み━━━━(゜∀゜)━━━━!!!!。一週間の休暇なのだけれど、ほんとまともな休みは一年ぶりですな。

ところで、先日妻と二人でオペラ座の怪人を見に行った。せっかくニューヨークへ来たのだから、どれでもいいからとりあえずはミュージカルへ行こうということで、会社の割引で半額になっていたこの演目を選択。

まずはWest 46th Streetのレストラン街で軽くpre-theater dinnerを食べてミュージカルでもと思って店を予約していたのだけれど、行ってみると奥に向かって広いレストランの店内が妙にハイソに見えて。。チラッと横のバーをみるとかなりお高い様子が一目瞭然で。。。店員に声をかけられる前に、すぐさま二人そろって回れ右で退散してしまった(;´Д`)。この辺りは完璧な意思疎通ができとります。そうはいってもお腹が空いて途中で音でもなったら大変なので、となりのリーズナブルそうなイタリアン・レストランへ転進。これが以外にいけて、安い割りに大満足でデザートまで綺麗に召し上がりました。やっぱりこの道沿いはpre-theaterの人達が多く出没するだけあって、レストランの質もこなれてるんだろうね。初めて出張でNYに来た時に、上司に夕食を奢ってもらったのが懐かしいな。あの時もイタリアンだったんだよね。

月曜日, 8月 20, 2007

ファンドの流動性リスクの測定方法

RiskMetricsの今月号は面白かったので、ちょっと引用してみる:

...even if the agencies do their job well, it takes a long time to link new information about mortgages to new expectations on the likelihood of a CDO tranche paying its full interest and coupon
....For any investor, illiquidity presents the difficulty that new information is not reflected in prices in a timely manner, and when it is reflected, it is almost always through a significant price jump.
これはまさしく以前のエントリーで指摘した通りで、違和感はない。しかし、この流動性クランチの波の広がり具合についてと、その対処法はというところで面白いポイントが挙げられていた。

1.Trancheへの影響度合い

今回よく見られる指摘は、リスクが複雑に分散されていて、例えばどの商品が被害を被りそうか判断が難し く、よけいに参加者の疑心暗鬼を誘っているというものがある。この点については、ABXのボラティリティを分析することで、マーケット・インパクトを推計できる。ここで特徴的なのは、GMショックや今年2月の世界同時株安時に見られたような低格付け債だけが影響を受けるという構図が崩れてしまっていること。今回はきっちりAAAレンジまで影響を受けている。これは、mortgage poolの毀損が強い相関を持って起こっている事の裏づけと考えられるわけで、やはりmortgage market全体の構造変化が起こっているのだろう。Markがなかなか取れないときには、一気に相関を100%として、ビンテージの違いだけを意識したMark to Indexも一つの方法ということか。

2.ファンドの流動性リスクの測定方法

つぎにどのファンドが被害を被るか判断するにはどうしたら良いか?1つの方法として、ファンド・リターンの自己相関を測定すれば、どれくらいの流動性リスクを持っているかが把握できる。すなわち、Mark to Modelしていて、かつモデルをキャリブレートするのに十分な流動性がなければ、本来ある筈のない自己相関がファンド・リターンに現れる筈であるというもの。実際、熊さんのファンドの自己相関を見てみると、明らかに流動性がなかったことが読み取れる。ちなみに、レポートでこの分析の例外として指摘しているBasis Capitalについてだけれど、レポートで取り扱っているファンド名がBasis Pac-Rim Opportunity Fundとなっているのは間違いではないかしらん。正確には以前のエントリーでも指摘しているように、担保コールをしくったのはBasis Yield Alpha Fundである。FTの7/19付けの記事にも次のようにあるし。

Basis also warned investors in its other main fund, the Pac-Rim Opportunity fund, that it held a $79.8m stake in the Yield fund. But they said the Pac-Rim fund had more than half its investments in liquid bonds, and that it had not missed any margin calls.
たぶんYield Fundのリターンを分析すれば、同様の結果が得られるのではないかな。なので、この方法によれば、やばそうなファンドをほぼ全て炙り出せるというワケ(^ω^)。投資先のファンドのNAVの履歴は皆さんお持ちでしょうから試してみるとよいでしょう。

土曜日, 8月 18, 2007

シーツ

最近知ったのだけれど、どうもシーツはWamsutta製が良いらしい。ホントかなぁ。今度試してみよう。

ちなみに、ニューヨークではこういった買い物はBed, Bath & Beyondというお店でするのが一般的。日本でいうところのホームセンターみたいな感じなのだけれど、バーベキューセットからカーテン・枕まで揃っているお店で、やはりデパートなんかにいくよりは格段に安い。日々ローン返済の為、セコイ生活をしている我が家の味方です。

水曜日, 8月 15, 2007

今日のあなたは明日につながってますか?

確か奥さんが前にどこかで云っていた気がする。さてはて僕はどうだろう。
うーーんヽ(´ー`)ノ。終戦記念日にて。

月曜日, 8月 13, 2007

FRBの声明文

9日に公表されたFRBの声明文についての面白い報道があったので、転記しておく(FISCO 8/13付け 今日のクレジット市場から):

FRBは9日の240億ドルに続いて10日にも3回のオペで380億ドルと大量の資金供給を行った。さらに、NY時間の朝まだきには流動性の供給方針に関する声明文を公表した。

「(The Federal Reserve is providing liquidity to facilitate the orderly functioning of financialmarkets. The Federal Reserve will provide reserves as necessary through open market operations to promote trading in the federal funds market at rates close to the Federal Open Market Committee's target rate of 5-1/4 percent. In current circumstances, depository institutions may experience unusual funding needs because of dislocations in money and credit markets. As always, the discount window is available as a source of funding)」--。

「連邦準備制度は金融市場の秩序立った機能を促進するよう流動性を供給している。連邦準備制度はFF市場が連邦公開市場委員会の目標水準である5.25%近くで取引されるように公開市場操作を通じて必要な準備を供給していく。現状では預金取扱機関は短期金融市場やクレジット市場の混乱によって異例の資金需要が発生する可能性がある。通常どおり、割引窓口は資金調達手段として利用できる」--。

このような声明文は過去には1987年のブラックマンデーや01年の9/11テロで出されたのみであり、それ自体を取り上げると事態が相当深刻なことを示しているようだ。しかし、過去2回の簡潔な声明文と比較すると今回の声明文は大きく異なる点がある。

過去には、「連邦準備制度は米国の中銀としての使命に沿って、経済・金融システムを支えるために流動性の供給源としての役割を果たす意向であることを確認する」(The Federal Reserve, consistent with its responsibilities as the nation's
central bank, affirmed today its readiness to serve as a source of liquidity to support the economic and financial system)」(1987年10月20日)--、「連邦準備制度は営業中で活動している。割引窓口は流動性の必要を満たすために利用できる(The Federal Reserve System is open and operating. The discount window is available to meet liquidity needs)」(01年9月11日)--との声明が出された。

つまり、今回の声明文で特徴的なのは、資金供給の目的が「FF市場が連邦公開市場委員会の目標水準である5.25%近くで取引される」ことと明記されているところ。また、窓口貸出が「通常どおり」の「資金調達手段」とされている点にも注意したい。さらに、FRBは03年1月9日から窓口貸出の変更を行い、信用力の高い銀行にはFFレート誘導目標+1%、信用力の低い銀行にはFFレート誘導目標+1.5%の金利が適用されるということも重要だ(※それ以前の公定歩合はFFレート誘導目標を下回る水準だった)。ここから明らかになるのは、今次声明文は現時点でFRBがFFレート誘導目標の引き下げの必要性を感じていないことを示唆するものとの解釈が成り立つところ。もっとも、金融市場の問題が一層深刻化すれば利下げの必要性が議論されることはあり得るが、市中のFFレートを誘導目標まで押し下げることを主眼として流動性供給を行っている以上、誘導目標の引き下げはそれとは矛盾する措置だと言わざるをえない。

金曜日, 8月 10, 2007

It's a small world

世界は狭いものである。先日も東京と連絡を取り合っていたところその知り合いが、現ボスと昔別の会社で同僚同士であったということが判明した。二人とも転職してきていて、この会社で再会したんだそうだ。しかも、二人ともそれぞれ東京とニューヨークという地理的にかなり離れた場所で働いているのに。さっそくボスにその話をしたら、かなり懐かしがってた。たぶん、この業界友達の友達は、自分の友達っていう状態なんだろうな。悪い事はできません。

木曜日, 8月 09, 2007

今年も暑い。90°を超える日もざらだし、なによりオフィスと外との気温差が激しすぎる。湿度が60%-70%近辺で推移しているので、過ごしやすいのだけれど、最近スーツを着る気になれず。。昨日は土砂降りの雨で朝のラッシュアワーに地下鉄が全面的に止まってしまったので、暑い中歩いて出勤する羽目に。。なんだか去年出張で来たときも同じような事が起こったと思うだけれど、対策は立ててないのかなぁ。明日の朝もどうやら雷雨のようです。

月曜日, 8月 06, 2007

ここ数ヶ月のマーケットの動きをどう理解したらよいのだろうか

今回のマーケットの動きはどのように理解したらよいのだろうか?「為替相場の変動は、後からみればかならずその根拠を明らかにすることができる」とおっしゃっていた前のボスにならって、ここ数ヵ月のマーケットの動きを分析してみたい。鍵となるのは、1) mortgage loan marketの構造変化と、2) 流動性調整からくるrisk re-allocationである。

まずはmortgage loan marketの構造変化について説明しよう。ノートをめくると4/17付けで、下記の書き込みがある:

(某格付け機関とのカンファレンスコール) 

マクロ経済への影響: 1) 2008, 2009に掛けて住宅投資は減少の見通し、2) 消費動向はニュートラルを見込む。Housing wealth creationがnon-housing wealth creationをoff-setする見込み(housing:1.2 tln 04,05 => 7.7bn 06; non-housing: 2.7 tln 04,05 => 3.2 tln 06)。

間接的な影響: プライム・サブプライム住宅ローンの組成額と失業率との間に見られたリンクが2001年頃から変化し始めている。これは、これまで格付け期間が拠り所としてきた過去に実行された住宅ローンのトレンドから外れることを意味しており、rating methodologyを変える必要があるかもしれない。但し、これが起こるようであれば、金融市場全体への影響は避けられないであろう。住宅ローン残高はGDP比で45%に達し、ここ数年の増加幅は年7%程度である。

このノートが意味するところは、これまで数十年に渡って安定してきたmortgage loan marketの構造変化であり、ノートにある通りその影響は大きいであろうことが容易に想像される。ただ、クオンツの立場から考えると、その大きさがよりはっきりする。MBSのプライシングモデルに関わったことのある人であれば直ぐに思い当たる事であるが、そのモデルはローンの返済・破綻動向に関する過去のトレンドに大きく依存している。従って、そのトレンドが変わるということは、モデルそのものの変更を余儀なくされる事を意味し、もちろんプライスへの影響は避けられない。しかも、この類のモデルは過去数年から数十年分のデータを注意深く分析して初めてできるものであり、その再構築には時間と共に大量のローンデータを必要とする。もし、格付け機関の言うとおりに2001年頃からのトレンド変化であるならば、十分なデータが得られないかもしれないし、得られたとしても検証の難しい作業である。

すなわち、2001年以降のビンテージの米国MBSは価格が良くわからないという状況に陥ってしまうのである。仮に年7%程度で住宅ローン残高が増加していると仮定すると、2001年から実行されたローン額は、ほぼGDPの20%に相当する(~ 2兆5000億ドル)ド━(゜Д゜)━ン!!

実際、価格がわからない状況になってしまった為、サブプライム問題が表面化してからというものサブプライム絡みの証券化商品のbidは引いてしまっている(価格がわからないので引くしかない、でも無価値になってしまったわけでもない)。更に、Moody's, S&Pがこれら商品の格付けの変更を認めてしまった(=構造変化を認めてしまった。ちなみにこの論点については、まだ詳しい格付けクライテリアを読み込めてないので、要確認。追記:出ましたね。やはりかなり変わっていて、変更後のサブプライム債権のデフォルト率はほぼ2倍ということです。でもこれでバリュエーションも落ち着くな。)為、mark downせざるを得なくなってしまった。もちろん、この類の商品の第一人者であり、こうした時にこそマーケットメイクをすべきベアスターンズ自体が危機に陥ってしまって、その機能を十分果たせていないのがさらに状況をややこしくしているわけで。。。ブローカーが自らもリスクを取るというビジネスモデルの限界がこの辺りに見え隠れするわけですな。。。(;´Д`)

一方で、サブプライム絡みの商品(RMBS)はマーケットで主に3つの用途の為に使われていた: 1) 世界的な金余りの中で比較的高いリターンをもたらす資産のうちのひとつ、2) CDOを通したレバレッジポジション(実質的には、RMBSを担保にその他のクレジットにレバレッジ投資をするポジション)の構築、3) レポマーケットを通したレバレッジポジションの構築。

このうち、まず3)によって積み上げられたポジションが、上記で説明したMBS市場の機能不全が起きると共に、担保取引を通して急速に巻き戻される結果となり、日々の資金調達の面で流動性調整が起こった(但し、表面上はベアスターンズをはじめ、幾つかのファンドの破綻を引き起こした今回の流動性調整は、信用リスクの伝播から発生するシステマチック・リスク(信用収縮)を未然に防いでいるという意味で健全な調整であると考えられる)。次に2)によって積み上げられたポジションの巻き戻しを通して、クレジット市場全体のスプレッド・ワイドニングが引き起こされた。そして最後に行き場所を失ったリスクマネーが新たな落ち着きどころを求めて、大規模なrisk re-allocationを起こしたと見るべきであろう。実際、ここ数年は逆の動き1)->2)->3)によってポジションが積み上がってきていたわけで、なんとも自業自得のような気が。。。ヽ(`Д´)ノウワァァァン

ここまで分析してみると、だいぶマーケットの動きが整合的に理解できるのではないだろうか。それでは、次の問題として、市場へのインプリケーションはどうなるのだろうか?

まずは、単純に米国モーゲージビジネスはファンダメンタルズが悪化しよう。したがって、株・債券(MBS)に関わらずこのセクターは弱含む。一方で、このセクター以外に目を向けるとファンダメンタルズは(景気変動に影響がない限り)変わっていないわけだから、一時的な調整に終わる可能性が高い。すなわちFRBが利下げしない限り、強気で良いだろう。問題は金融セクターである。

金融機関への波及については、RMBSのポジションと流動性リスクの2方面から考える必要があろう。まず、RMBSで典型的なのはやはり銀行勢。資本の厚い欧州勢(バークレイズ・ドイチェなど)はリスク資産としてある程度のエクスポージャーを持っている可能性が高い。次に、流動性リスクで被害を蒙るのはLBO絡みの融資がバランスシートに載っている投資銀行勢であろう。投資銀行としてはリーマンがもっとも大きなエクスポージャー(現状+パイプライン)を持っていると云われている。パイプラインの額は、むこう6ヶ月で凡そ500億ドルとのこと。他の投資銀行は、この半分から2/3程度の規模に留まる(ちなみに、今年前半のマーケット全体の額が3000億ドル規模であったことを考えると、かなりの減速である)。

したがって、奨励すべき投資戦略は、金融機関の株に関するプットの買い持ち戦略(隠れた損が実現する可能性を取る)か、新興国市場におけるvalue株(資源系企業株?)の買い(比較的高いリターンをもたらす数少ない資産のひとつ)といったところでしょうかね。引き続きクレジット市場に資金を置くなら、金融機関以外のコーポレートセクターの買いか、米国以外の地域で組成された証券化商品の買いかな。更に強気ならLBOのloanという選択肢も。。

うーーん。いまさらながらだけれど、やっぱり金融というのは業が深いなーー。ここまで書いてきて、ちと疲れたので、幾つか雑感を。

- リサーチやってたらわかるけど、米国での証券化商品市場は堅実な住宅ローン市場に支えられているといっても過言ではなかった。今だから云えるのかもしれないけれど。そもそも証券化商品の始まりはMBSであったわけだし、ここ数十年の住宅投資の安定成長から、その商品性にはある種の安心感があったのは否めないだろう。僕も個人的には、住宅価格の成長曲線をみてかなり安心したものだ。そのセクターがおかしくなったのだから、影響も大きいのは当然といえば当然。

- 一部に今回のマーケットの混乱の原因を、「Market to Modelで時価評価を行っていたものがMark to Marketにすると実際にはbidがないので価格が大幅下落」した為といった主張をしている人達もいるようで。損を時価評価(mark)の問題にすり替えようとしているようだけれど、そもそもその債券を売った業者がいるわけで、その人達はなんでbidを引いたか考えてみたら良いのではないかしらん。Market makerは理由もなくbidを引かないよ。

- 「下手なナンピン、スッカンピン」。同僚(というか上司)からの格言。ベアのファンドは年初からポジションを積み増しに来てたんだよね。。そして積んだポジションでレポして、更に買おうとしてた。。買い下がるのもいいけれど、担保価値減ってってるんだから、典型的なwrong way riskだよ。。ファンド立ち上げてから10ヶ月くらいしか経ってないのに。。。ホントこの格言にピッタリな人達でした。

- GMショック(03-05/2005)が懐かしい。あの頃はまだ過剰流動性がそれ程問題になっていなかったから、即日で20億ドル規模の流動性をsingle trancheに出せるとかメールが回ってたよなぁ。あの時はcorrelation shockでモデルに対する見直しが起きた面白い事例だったけれど、今回もキタナという感じ。やっぱりクレジット系のモデルはその基礎を統計分析に置いているだけに、金利・為替・株とは違って、独特やね。

まとめ - サブプライムモーゲージ関連の動き

ここ数ヶ月のサブプライムモーゲージ関連の動きについて簡単にまとめてみた:

- Bankruptcy: Ownit Mortgage (Subprime lender, 1/2/07 - WSJ)
- Bankruptcy: Mortgage Lenders Network USA Inc. (Subprime lender, 2/6/07 - WSJ)
- Bankruptcy: New Century Financial Corporation (One of the biggest subprime lender in U.S. market, 4/2/07 - WSJ)

New Centuryは、サブプライムローンの組成額に関して、HSBCの次の2番手であった。ちなみに、この時点でNew Centuryの当該事業は$139mmの値がついてかつての株主であったヘッジファンドへ売却されるという観測(4/5)であったが、結局はほぼ60%ディスカウントの$58mmで他のヘッジファンドへ売却される事が決定している(5/4)。HSBCは金城湯池のリテールで儲かってるのでびくともしません。さすがです。

- Bear Hurt by Subprime Loans (6/12/07 - WSJ)
- Bear's two fund was taken over by Merrill (6/20/07)

この辺りから本格的にサブプライム問題がメディアで取り上げられるようになりましたね。

- Bankruptcy: Basis Yield Alpha Fund (Austlaria) (Hedge fund taking a same kind of strategy as Bear's two funds, failed margin call, 7/7/07 - FT)

- Moody's and S&P announced that it may cut its credit ratings on 91 CDO tranches, or about $5 billion of securities ( 7/12/07 - WSJ)

ここにきてようやく、格付け会社も動きました。今更なんだよと皆に馬鹿にされながらも、これは一生懸命やった結果として褒めてあげましょう。この作業がどれだけ大変かという内情については次のエントリーで書いてます。

- 欧州系銀行がサブプライム関連のエクスポージャーを保有している旨を決算発表時に言及 → 欧州発の株価下落が始まり、全世界へ波及 (7月末)

ちなみに、この直後あたりに野村も間抜けな発表をしてますね。。

- Bankruptcy: Bear's two funds. Bear Searns High-Grade Structured Credit Strategies Fund, Bear Searns High-Grade Structured Credit Strategies Enhanced Leverage Fund (Filed for bankruptcy, 8/1/07)

ついにやってしまいましたーー。Birning BedならぬBirning Houseですな。。。(;´Д`) First Bostonの二の舞にはなって欲しくないもんです。株価は年初来27%(8/6/07)の下落を記録。ちなみに、このファンドのequityを大量に持っている銀行が他にいるんですが、熊さんは保証してあげるつもりなんですかね。。?勢い余って逆に買われちゃったりして。まぁ他の案件で忙しいからそれはないか。

- S&P revised its outlook on Bear Stearns to negative from stable (8/3/07)

なんで今週なの。。?このニュースを受けて、熊さんの株価は6%の大幅下落です。かわいそう。。なんだか袋叩きですな(;´Д`)ちなみに、カンファレンスコールはこんな感じだったそうで。

- Bankruptcy: American Home Mortgage Investment (Prime and subprime lender, 8/6/07 - WSJ)

American Home Mortgageは全米の住宅ローン市場で10位のマーケットシェアを誇り、サブプライムへはほとんど手を出していなかったものの、破綻する事に。主な顧客がprimeとsubprimeの中間層であったことが引き金と見られる。

ちなみに、8月第1週はかなりの混乱がマーケットで見られたものの、ファンドが一部エクスポージャーを取ることでクライスラー案件(サーベラスによるクライスラーのLBO)は決着し、投資銀行勢はそのパイプラインを減らす事に成功している。一方で、マーケットは全般に悪化。エマージングマーケットにもその影響は広がり、ロシアとガスプロムのCDS spreadが開いてくるなど、これまでのトレンドから外れてくる事例が散見されている。

- 注目のFOMCですが、金利を5.25%へ据え置き。マーケットの動きには特に言及せず、インフレへの警戒を引き続き継続する旨のコメントを発表(8/8/07)。

最初の内は??だったものの、マーケットはこれを好感し、Dow Jones, SP500は共に2%強の上げ。

- 仏BNPパリバ傘下のヘッジファンドが新規申し込み・払い出しの凍結を発表。1ヶ月以内に対応策を発表の予定(8/9/07)。

- ECB $15bn, FED $24bnの資金供給を実施。FEDは14 day repo marketに$12bn, over night repo marketに$12bnをそれぞれ供給(8/9/07)。

朝方Eur-zone マーケットではECBの誘導目標金利が5.7%近辺まで急上昇していたが、資金供給を受け5.1%近辺で取引を終了。FEDの資金オペは明らかに即日及び次回の担保受け渡し(通常、担保受け渡しの最長期間は2週間刻み)への流動性供給である。CDOなどが担保として使えなくなってしまってので、その大体としての資金供給であるのは明らか。ECBの詳しいオペ内容はまだわからないものの、FEDに関しては、今回のサブプライム問題が引き起こしている"レポマーケットでの担保受け渡しを通したリスク調整"を強く下支えする意思を示したものと云える。株は大幅下落、債券は大幅上昇。

- 日銀が急遽資金供給オペを実施(10兆円規模) (8/10/07 TK time zone)

何故か日銀まで資金供給。。何故に??誰もサブプライム関連でレバかけてないのに。。もしかして円キャリートレードの巻き戻しに備えて資金供給したのかしらん??もしそうだとしたらレートが上がるか確認するまでほっときゃいいのに。。これじゃほんと間の悪い目立ちやがり屋さんでしかないのでは。。ところで、FEDのオペの影響はやはり大きかったですな。うちにもキャッシュが大量に流れ込んできて行き場所を失っていた。結局見せ玉だったのかな。

クレジット市場発の信用収縮はあり得るか

グッチーさんのエントリーでも書かれているように、最近はクレジットマーケット発のメルトダウンの可能性が取り沙汰されている。

サブプライム、それから派生したHFの利回りを上げるために大量発行されたCDOエクイティーの無価値化→そこからくる投資適格債券のジャンク化→それらを複合した、特にMBS,USTがレポに出ていることからくる信用収縮→クレジットマーケットの崩壊・・・・

そこで、本日のお題:「「クレジット市場発の信用収縮はあり得るか?」

まずは、信用収縮って一般にどのように理解されているのだろうか。辞書(goo辞書)を引いてみると、

【信用収縮】

金融市場で取引が停滞したり,資金供給が細る現象。金融機関が不良債権処理や自己資本比率引上げなどから,貸付金の回収や貸出しを控えることで引き起こされる現象。

とある。このような状況は、一般に金融引き締め局面、或いは景気後退局面において経済ファンダメンタルズと密接に関連した上で起こるのが常であろう。また、過去の経験から一部のレバレッジ・ファンドの経営危機・破綻に伴う金融システム自体の機能不全と関連付けられることもある(LTCM, Amaranthのデリバティブ取引, 山一證券の無担保コール取引)。

では、本日のお題「クレジット市場発の信用収縮はあり得るか」を考えてみよう。結論は否である。

何故か。その説明に入る前に、いろいろな誤解を解くためにも、過去の事例の整理とクレジット市場の基本を整理しておこう。

1. レバレッジ・ファンドの経営危機・破綻に伴う金融システム自体の機能不全からくる信用収縮

この可能性は現在の金融市場ではかなり低くなっている。LTCMの破綻時には、デリバティブ取引などに伴う信用リスクが正確に計測されていなかったこともあり、損害はファンドそのものだけでなく取引のある金融機関全てに波及する事となった。かつほぼ全ての金融機関がLTCMと取引を行っていた為、その損害は甚大なものとなりFEDがシステマチック・リスクに対処するために緊急対策を打った。しかし、同様に巨大なコモディティ・ポジションを保有し、危険な賭けをしていたAmaranthの破綻時(06年秋)には取引金融機関が損害を蒙ったという話は聞かないし、むしろ報道の焦点はこのトレーダーの経歴などに当てられていてゴシップ記事のようであった。ただ、実際にはny heating oil futuresのカーブがAmaranthの破綻後に急激に変化するほどのポジションが積み上がっており、OTC derivativeでもかなりのポジションを保有していて、うちでも担保を通して巨大なエクスポージャーのマネージを余儀なくされていた。

この事例は、一つのファンドの破綻はもはやシステマチック・リスク(信用収縮)を引き起こすものではなく、金融システムはこの問題に対する対処法(信用リスクのマネジメント)を既に実践済みであることを示唆している。もちろん技術レベルの低いところは未だにこの類のリスクにさらされてますが。。。(;´Д`)

2. クレジット市場と株式市場の関連

Merton Modelによれば、クレジットの買い持ちはAsset Value(B/Sの左側)のdeep out of the money putの売り持ちと同等である。また、株はAsset Valueのdeep out of the money callの買い持ちと同等である。すなわち、クレジットはAsset Valueのオプションであり、それ自体の変動によって株自体へ影響を与えることはない。重要なのは、Asset Valueであって、所謂企業業績のファンダメンタルズである。これは、モデルに関係なく資本構成を考えれば当たり前の結論であろう。ちなみに、同じクレジット商品ではあるものの、MBS(Mortgage Backed Securities)と一般債とではリスクの源泉が異なることに注意しよう。一般債は、上で説明したとおり、Asset Valueに関するout of the money putの売り持ちが利益の源泉であるわけだが、MBSは早期償還リスク(このリスクはほぼ金利の変動に連動する。すなわち金利が下がれば借り換えによって早期償還が増加し、金利が上がれば早期償還も減る)に関するout of the money strangleの売り持ち(+個々人のAsset Valueに関するdeep out of the money putの売り持ち<<0)が利益の源泉となる。

従って、クレジット市場が動揺したところで、経済ファンダメンタルズの主要な部分である企業業績が堅調な現在の状況下(株価には上昇圧力)では、ファンダメンタルズの悪化とそれに伴う信用収縮を予想する向きは少数派であろう。もちろん、サブプライム問題が経済ファンダメンタルズそのものへ影響する可能性もあるだろうが、FRBも含めてその可能性自体は低いと見られている(利下げ観測の後退)。また、幾つかのファンドの経営危機・破綻が明らかになってきているが、上記1.で説明したようにこの問題が過去の事例と同様にシステマチック・リスク(信用収縮)を引き起こす可能性は極めて低い。むしろ、担保の受け渡しを通して、マーケットは適切にそのリスクを調整していると見るのが正しい。すなわち、本日のお題に対する答えは「否」である。

**LTCMのポジションについては下記の論文を参照のこと:

Philippe Jorin (2000), "Risk Management Lessons from Long-Term Capital Management", European Financial Management 6 (September 2000), pp. 277-300

Eric Benhamou, "Lambda (options leverage)", FICC, Goldman Sachs

土曜日, 8月 04, 2007

NYでの生活立ち上げ記録 ~ クレジット・ヒストリー編

実はNYに来てから一番困ったのがこのクレジット・ヒストリー。いろいろと関連事項を調べたので、まとめてみたい。

まず、クレジット・ヒストリーとは個人の信用情報を指す。これはアメリカ全土で共通かつ固有の概念で、クレジットカードの発行、銀行口座開設、住宅ローンを含む個人向けローン商品全般の承認時はもちろんのこと、携帯電話やApartmentの契約時などおよそ個人向けに信用供与される場合にはすべてこの情報が参照される。

そして最大の難点はアメリカに住み始めたばかりの外国人には、この信用情報がないということ。そもそも情報がないのだから、信用供与は論外で、担保を入れて必要な信用枠を自分で勝ち取るしかない。。。

それはさておき、この情報は350-850の間の数字(Credit Score)として一般にやり取りされており、法人の信用情報が2,3の格付け会社に独占されているのと同様に、この数字(格付け)を付与する民間企業が3社(Equifax, Experian, Transunion)存在する。これらの会社はそれぞれ独立しており、それぞれの情報ソースは異なるようだ(この点については後述するが、自分のクレジットレポートを取り寄せてみたところ、それぞれの情報更新のタイミング異なることが判明した)。想像するに、主な守備範囲・情報ソースの所在が米国内で東部・中部・西部にわかれているのだろう。

これらの情報は、基本的に何らかの信用が個人に供与された時点から記録が開始され、税金を納めている人にはすべからく割り振られているSocial Security Numberによって認識される。したがって、市民の義務はまず税金を納めることであるとされる米国ではほぼ全ての市民の信用情報がこの3社によって収集され蓄積されていると考えてよい。これは、日本の消費者金融業界が共有しているとされる信用情報システムとは比べ物にならない規模であるし、そのカバーする範囲が個人向けローンだけではなくクレジットカードの信用枠とその使用比率などより広範に亘っていることを考え合わせるとその利用価値は計り知れない(EquifaxはWall Streetの入り口、NY証券取引所のはす向かいにオフィスを構えている)。

実際、住宅ローンの証券化の際に必要とされる、ある特定の属性を持つローンプールの切り出しなどもこのCredit Scoreを使えばかなり簡単に実行できるし、設定されているローン金利との間にも高い負の相関がある。日本市場の場合は、こういった情報のフォーマットも統一されていないし、異なる業界内で個人の信用情報を共有化することもまだ実現できていないというのに。私は以前ローンプールの属性分析をしていたのでよくわかるのだが、こういった情報があるのとないのとでは分析にかかる時間もさることながらそのリスク特性把握の正確性の面で非常に大きな差ができることになる。住宅金融公庫MBSの場合はまだましであろうが、それでもこういった分析の限界から債券価格がミスプライシングされている可能性は未だに十分残っているというのが市場のコンセンサスだ。いわんやバルクで割引販売している都市銀行の住宅ローンの属性分析など、まともにできてはいないだろう。また、金融商品のクロスセルやマーケティングの際にもこういった情報が利用されているのは想像に難くない。あくまで一般の個人の立場でも、例えば以下のような情報が簡単に手に入るのだから:私が住んでいる地域(郵便番号10022)の住民に関する個人情報の統計

もう一つ注目すべき点は、自ら申請さえすれば、Credit Scoreはその概要を示したCredit Reportと共に、法律によって年に一回無料で個人に対して開示しなければならないと規定されていことだ。また、どういった場合にCredit Scoreが変動するかというCriteriaが各社からきちんと開示されている。逆にいえば、どうしたらCredit Scoreを上げられるかが示されているわけで、いったんブラックリスト入りしても敗者復活が可能になっている(このためのコンサルティング会社も存在している)。このあたりがいかにもアメリカらしい。てんで駄目な奴にも自分の力で這い上がってくるのなら、チャンスを与えようということなんだろうな。むぅヽ(´ー`)ノ。

ところで、マーケティング(?)絡みで面白いサービスを発見したので、メモメモ。Branchさんのエントリー(7/25付)を見ていたら、webへのアクセス元の位置解析サービスを提供しているサイトを発見。統合参謀本部も採用しているからさぞかし信用できるサービスなのでしょうド━(゜Д゜)━ン!!やっぱり、日本も捨てたもんやないね。

土曜日, 7月 28, 2007

At starbucks coffee

Beautiful saturday afternoon with some thoughts, dreams and my wife.

MOBLOG



なんでも新しいことはやってみようということで、MOBLOGに挑戦!!
これはなんとも便利ですな〜 (^ω^)
英語しか打てないのは玉に疵だけれど、NYのライフスタイルを今後は携帯からもお届けします。

金曜日, 7月 27, 2007

NYでの生活立ち上げ記録 ~ 情報端末編

仕事が忙しくて更新が滞ってしまっていたのだけれど、ここらでまた再開したいと思います。まぁいろいろと溜まりまくったネタは順次書き足していくので良しとして下さい(´Д`;)。

ところで、情報端末系を導入するにあたってまず衝撃を受けたのがSecurity Depositというアメリカ特有(?)の制度。日本語で言うと保証金にあたるのだろうけれど、これは実際には担保預かり金として機能していて、携帯電話の契約から始まり、ケーブルテレビの受信機を借りるのにも差し入れなければならない。その額はVerizon Wirelessの場合、一人当たり$400。ちょっと高すぎる気が。。仮に3か月分の電話代を滞納していて、バックられた場合に会社が受ける損失を補填しようとするのであれば、$300あれば十分だと思うんですけど。確かに信用力のない先、或いは情報が不足していてクレジットを取れない先(僕らのように現地で生活し始めたばかりの外国人)については極力担保をとってリスクをカバーするのは正論ではあるものの、こんな暴利は僕らの会社でもしてないレベルです。

ただ携帯自体は何故かそれほど高くなくて、夫婦二人で最新機種を買ったのだけれど、合計$100ちょっと。更に、$90ちょっとで実質通話・メール制限なしの割引プランなどがある。最近のソフトバンクによる価格攻勢で日本も通信料が下がっているとはいえ、それでもやっぱりアメリカと同程度くらいにしかなってないんだよね。こちらの通信会社はNYでみかける限り、インターネット接続・ケーブルテレビ・固定電話・携帯電話と全てをカバーしているから、たぶんクロスセル効果で単価を下げられてるのだと思う。まさしくソフトバンクの戦略そのものといった感じ。でも僕らが住んでいるApartmentの場合は、ケーブル会社があらかじめ決まっていたので、テレビ・インターネット接続に関してはそこを使うことにした。どうやらそもそも住所毎にサービスを提供する会社が2・3社決まっていて、そこから不動産管理会社が選定しているらしい。シティーであれば、RCNとTime Warnerの独占状態。うちはTime Warnerだったのだけれど、これもやはり日本と比べると安いように感じる:ケーブルテレビ+HBO(日本のWowWowのような映画配信サービス)+高速インターネットで$115。ただし、サービス開始の手続きが面倒くさい。ガス・電気・水道についてはサービス開始時点の立会いはなかったのだけれど、ケーブル会社については何故か立会いが必要とのこと。なんだか日本とはまったく逆なのでおかしいのだけれど、その作業内容をみると夫婦で納得してしまった。日本のように電気回線が綺麗に配線されていないものだからケーブルはクローゼットの床からむきだしで、このケーブルに更に補助ケーブルを継ぎ足して無理やり部屋の中央あたりまで持ってくる必要があるのだ!しかもその配線は驚くべきことに巨大ホッチキスで壁に無理やり貼り付けていくというもの。。ある意味効率的なんだけれど、これってどうなんでしょうかね?!バチっ、バチっという大きな音に二人で驚くばかりでした。

have a nice weekend!!

水曜日, 7月 25, 2007

サブプライム

野村、米サブプライムで720億円の損失・撤退を検討 (日経)

野村ホールディングスは25日、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン市場の悪化で、1―6月で累計約720億円の損失を出したと発表した。記者会見した仲田正史執行役は米国での住宅ローン担保証券(RMBS)事業から撤退を検討していると表明。同事業の縮小を含め、赤字が続く米国事業の立て直しを急ぐ。--

(゜Д゜)ハァ!おいおい野村よ。今頃ですかぁ~~??しかも720億って。。本土テロやブラックマンデー規模のMarket Crisisがあっても、こんなに普通は損しないだろうに。しかも損失を出したのは米国子会社で本体ではないという。どんなリスク・マネジメントしてるんだかほんとにガックリさせられる。たまたま相関がほぼゼロと考えられる株式市場のほうが盛り上がったから、損失を埋め合わせできたようだけれど、これって運じゃね?そもそも金融市場のリスクを事業分散で吸収しようという考え方が間違っているのに。

最近のマーケットの動向に関しては追記予定。

月曜日, 6月 25, 2007

NYでの生活立ち上げ記録 ~ 電気・ガス・水道編

今日でNY生活もちょうど3ヶ月が過ぎたところということで、生活の立ち上げ記録をメモメモ。

まず必須なのが、電気、ガス、水道です。ただこれらについては、Manhattanに住んでいる限り特に手続きをしなくてもアパートに入った時点ですぐに使えてしまうのだ!特に、ガス・水道の使用料金に関してはアパートの賃料に既に含まれている場合が大半で日本のように個別にTOKYO GASや東京水道局と契約を結ぶ必要はありません。ただし、電気料金については後日自己申請しておく必要があるので注意。このアパートの場合は、Con Edisonと個別契約を結ぶ必要があったので、とりあえず電話してみると、日本のようにわざわざ点検しにくることもなく、電話一本で契約終了・サービス開始となる。このときちょっと安全性に疑問が沸いたのだけれど、後日奥さんの友人からCon Edisonの管理しているマンホールで感電死した人がいるというのをきいてやっぱりなぁ〜と。どうやら今はその通りに犠牲となった方の名前がついてるそうで。。それにしてもマンホールに立っただけで感電死してしまうとはどれ程の電力が漏電していたのだろうか。考えるだけでも空恐ろしい。ちなみに、Con EdisonはManhattanでは独占的な地位にあり、東京でいうところの東京電力のような会社。東京電力も最近になって、原発がらみの隠匿体質が明るみにでて問題になっているけれど、こんなハレンチな事件はまだ起こしていないと思う。いずれにしても、公共サービスを提供していて、かつ独占的な地位にある会社は要注意ということですな。

ところで、ガス代と水道代が浮いたので、得した気分になっているとなんだか怪しい文面が。。(以下、うちのリース契約書から抜粋):

"10. Services: (A) As long as Tenant obeys all of the provisions of this Lease, Landlord will give to Tenant, only insofar as the existing Building equipment and facilities provide, the following services: (1) elevator service; (2) hot and cold water in reasonable amounts at all times; (3) heat as required by law. ..."

なんと冷暖房を提供するのは法律、この場合ニューヨーク州法、で決まっていると。。ということは、公的に保証しなければならないほど自然環境が厳しいか、このお金さえもけちってしまう親などがいるので子供を保護する意味で貸借人にではなく賃貸人に対してこのように義務づけられているのか。。??いずれにしても社会の違いを痛感させられ、また税金の重みを改めて感じた瞬間だった。

さて、次に必要なのは携帯電話とインターネット、テレビといった情報端末類。これについてはまた次回アップ予定。

月曜日, 6月 18, 2007

ブログ名変更

これまで実に6年あまりにわたって使用してきた日記の名前「RUMのつぶやき日記」を変更することにした。東京から居を移して、ようやくこちらに慣れてきたところだし、ちょうど良いタイミングかなと。今後もよろしくです。

日曜日, 6月 17, 2007

邦銀・日系証券におけるクレジット・リスクの認識 その2

もう数ヵ月前になるのだけれど、日本で唯一ファイナンシャルテクノロジーを組織として追求している会社の友人と夕飯を食べていたら、また面白いコメントがあったので紹介したい


「しかしカウンターパーティリスクをかなりまじめにやってるんだね。邦銀と違っていろんなカウンターパーティがいるんだろうか。」

いえいえ邦銀の方が日本だけを取り上げれば取引先は多いでしょ!!特にメガバンクに限っていえばもう取引先ではない企業はいなんいんじゃないんですかね。とまずは 軽く突っ込んでおきましたが、これも日本におけるリスクマネジメントの在り方について様々な問題提起を連想させるという意味で、良い事例です。まずカウンターパーティリスクはデリバティブ取引から発生する信用リスク部分であって、確に日本ではあまり注目されていないリスクであることは確か。特に、仕組み預金に組み込まれているデリバティブ取引の場合には、預金部分でそのリスクを一般的にカバーできると考えられていることからほとんど無視されているのではないだろうか。ただし、ここにまたしても落とし穴がある:

1. リスクは小さいと考えられているというが、その根拠はなんなのだろう?自分の経験では、どうしても適切に計量化されているとは言い難い。
2. リスクがあることがわかっているのであれば、それを把握する体制を整えるのがリスクマネジメントの基本である。特に、この場合には彼らにとってはヘッジできないリスクである筈。

たぶん彼らにとって、リスクとはmangeするものではなく、管理する対象なのであろう。サッカーで言えば、ディフェンスとラインマンの違いに相当する。ラインマンはある一定のルールを犯した場合に、試合を止める権利を持つ審判であるが、主審に比べるとその判断は「恣意性」のないものであって「客観的」である。ディフェンスは相手の陣形から得点につながる危険なパスコースをあらかじめ消さなければならないし、危険を察知した場合にはその機会を「能動的」に潰しに行かなければ仕事にはならない。非常におおざっぱだけれども「保守的な」基準でもって最終ラインさえ押さえて管理しておけばよいというのが邦銀・日系証券のラインマン的リスク管理であろう。それに比べて、あるとわかっているリスクはその大きさを正確に見極めた上でmanageするのが欧米流のディフェンス的リスクマネジメントであろう。リスクの計量化はその第一歩であって、その次の段階では是が非でもヘッジの方法を確立するものである。そもそも真面目にやらないリスク・マネジメントなど存在しないはずだ。

この話題に関連して、最近次の本を読んでみた:「大本営参謀の情報戦記 - 情報なき国家の悲劇」(堀 栄三)。国家としての危機管理とはなんであろうか、という主題に十分答えられる内容になっている。著者の結論は、「情報」であって、この収集・管理こそが現代の国家レベルでの危機管理だというわけだ。米国のCIAしかり、英国のMI6、またはフランスのDGSE+DST(国防省対外治安総局+国土監視局)がこの任務を負っている。それに比して、日本はどうであったか?これは企業レベルにもいえることであろう。

器量

曰く、「人間の器量というのは二つの点を見れば大半わかる。一つはその人物の絶頂期の振舞い。もう一つは最低期の振舞いがどうであったを見ることだ」(松平慶民)。気の引き締まる一言だ。

土曜日, 6月 09, 2007

邦銀・日系証券におけるクレジット・リスクの認識 その1

友達と話しているといろいろと発見があって面白いものだけど、リスクの認識方法に面白いコメントがあったので紹介してみたい。

「最近与信枠を使っていないみたいなので、削減しますね」

昔から時々意味が飲み込めずに不覚にも絶句してしまう瞬間はあったものだけれど、この時のインパクトも相当大きかった。この発言は、友達が日系証券会社のリスク担当者との会話の中で聞き及んだものなのだけれど、彼らが抱える内部矛盾を端的に示している点において深い。まず、1) 与信枠とは使っていないと削減されて無くなってしまうんかい?!、そして、2) 与信枠の管理において相手方となる企業の信用リスクの推定は議論に出てこないんかい?!、ということ。確に使っていない与信枠をリスク管理上敢えてメンテナンスしていく必要はないわけで、一見筋が通っているようにも見える。けれど、果たしてそれだけで与信枠を削減する根拠になるのか??そうここで本来ならば相手方の信用リスクの推定の必要性が出てくる筈なのだけれど、この発言はそこにはまったく触れずに一気に結論まで進んでしまっている。ちなみに、この相手方の企業とはビジネスが継続していてエクスポージャーもそれなりに積まれている状況であった。つまり彼らが抱えている内部矛盾は、

1.信用リスクを管理するための与信枠であるにも関わらず、個別の信用リスクの推定がおそらく行われていないこと。
2.与信枠とは文字通り信用リスクをある一定範囲内に収めるための物差し(数字)であるにも関わらず、物差しの基準がはっきりしないこと。

、なんだろう。なので、本来は信用リスクが変化した場合にのみ、ある一定の管理ルールの元で改訂されるべき与信枠がこのように非常に属人的な判断で決められてしまっている。思うにこれは債権区分毎に限界与信枠を決めて総量規制をするようなイメージの銀行系の考え方なのかもしれない。でもこれではどうしてもバケット内でのやりくりとして債権の集中リスクは避けられないし、あるバケットから他のバケットに取引先が移動する場合などに迅速な対応は図れない筈。そしてまさしくこれが邦銀の与信ポートが抱えている致命的な問題なのだろうと思う。こういった問題を解決するために、資本配分の議論などが出てきて、相関を考慮したデフォルトモデルを元に計量化を試みているのかもしれないけれど、僕に言わせれば何故個別の取引先毎に信用リスクに応じた与信枠を設定していかないのか非常に疑問。やっぱり、まずは個別リスクこそ与信枠を使ってある一定範囲内に収めた上で、相関を考慮してシステマティックリスクをindex取引でヘッジするのが筋だよね。そして個別リスクを与信枠に収めるときにこそ、ローンパーティシペイションやらCDS取引やらで個別ヘッジの必要性がでてくる。しかしあれだけひどい目にあっていながら、その根本的な原因の解決がなされていない様には本当に絶句させられる。。

土曜日, 6月 02, 2007

ギニュー特戦隊 その2

最近面白いのは、チームのメンバーが皆バラバラとビザを更新するために各国の大使館に行くために休みを取っていること。前のエントリー(1/4/07)でも紹介したように、このチームは各国から集まった混成部隊なので、ビザを定期的に更新しなければならないのだ!それにしてもほとんどみんなが同じ時期にとりに行くものだから、ミーティングでまたかよぉ的な笑いが起ったのにはほんと驚くばかり。人のことは言えないけどね。。ちなみに、今のメンバー構成はこんな感じ:

シンガポール 1
イタリア 1
ジューイッシュ 1
フランス 1
中国 3
香港 1
日本 1
アメリカ 3

うちのチームにはインド人はいないのだけれど、これが実際にシステムをいじる部署になると飛躍的に増えることになる。そういえば、不思議なことにリスクマネジメントの部署では数えるほどしかインド人はいないんだよね。どうもインド人が比較的多いのは、ITとリサーチのような気がする

木曜日, 5月 31, 2007

痩せました

こちらにきてからまだ2ヶ月しかたっていないのだけれど、何が一番急激に変わったかというと体重。約6キロ程痩せた計算になるので、1ヶ月あたりなんと3キロ!!これはよく深夜にやっていたダイエット用品の宣伝に出れるレベルなのでは。要因はやはり、1) 外食が減ってほとんど家で食事をとることになったことと、2) かなりの距離を毎日歩いているからだろう。食事の内容も気をつけて野菜中心にしているので、これも効いているかもしれない。約6キロというのはわりとインパクトのある数字で、わかりやすくいうと、まずベルトの穴2つ分くらいで、更にこれまできつかった結婚指輪がすんなり指にはまるという具合い。なんとも心地好い。

自宅から会社まではDoor To Doorで25分だから一日約1時間の運動という事になる。なんだか京都で哲学の道づたいに研究室へ通っていた頃を思い出す。もちろん今は古都の風景ではなく、摩天楼なのだけれど。ふと歩きながらこの街は自分にとって生涯7番目の街になることに気が付いて、少し嬉しい。明日は早くに起きて会社へ出かけよう。

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日曜日, 5月 20, 2007

NY 到着!!

ながらくサーバーが船便で海の上を航海中だったので、このブログも更新できていなかったのだけれど、ようやく2日前にNY港に到着し引っ越しが完了したので、NY初投稿です。ここはManhattanの中とは思えないほど静かなところで、研究も含めて暮しやすさは抜群。湿度も低いので、持ってきたレコード達の音も心なしか良いような。ここ2ヶ月の動きについては後程up予定。

日曜日, 2月 25, 2007

お祓い

無事に家のお祓いが済んだ。お祓いとはその地元にもともとある神社の神主さんにお願いして地元の神様方に挨拶をするというものであるらしい。従って、まずはその土地土地の神社を見つける必要がある。家の場合はココでした:

赤堤六所神社

神主さんはなんともFunckyな感じの方ではあったものの、きちんと執り行ってくれたので、安心。野菜や果物とともに、スルメなどをお供えして、水回りに塩をまくというもの。だいたい全部で1時間くらいだったかな。

金曜日, 2月 23, 2007

クオンツ

実は小生、初めて知ったのですがクオンツとは正式にはQuantitative Analystというようです。恥ずかしながらこれまで知りませんでした。。これが最近の流行では、Quantitative Strategistなどとも呼ばれるらしい。Goldmanではこちらの呼び名の方が通っている由。やっぱりFinancial Engineerとはだいぶ違うよね。

利上げ - 2月22日(木) 大安


日銀が遂に利上げを断行。特に指標等には目立った変化がない中、GDPを見て決めましたとも言えずに苦しい利上げだったけれど、何とか中央銀行の面子は保った形ですな。昨年の夏以来の0.25%上げで0.50%へ。マーケットは株高・円安。ドル円相場は20日に119を付けた後、23日には121円後半まで揺り戻しで最近にしては珍しい変動幅かな。ただスワップレートはベアフラット化で、10年スワップレートなどは僅か3bpしか反応せず。とりあえずは良かったねというところですかね。ちなみに、REITはまた爆発して東証REIT指数は最高値を更新中。やはりこの程度の利上げではびくともしない強さ。

ちなみに、私この日家を買いまして、契約・ローン実行を同時に行ったところ。特にこれから金利が大幅に上がるとは思えないけれど、10年2.25%で固定できたのは運が良かった。これでここに住めればね。。


水曜日, 1月 31, 2007

わが師わが友

ひさしぶりに朝永先生の本を手に取り、例の言葉を打ち込んでみた:

「業績があがると否とは運です。先が見えない岐路に立っているのが我々です。それが先へ行って大きな差ができたところで、あまり気にする必要はないと思います。またそのうちに運が向いてくれば当たることもあるでしょう。小生はいつまでもそんな気で当てに出来ないことを当てにして日を過ごしています。ともかくも気を長くして健康に注意して、せいぜい運がやって来るように努力するよりほかはありません」(朝永振一郎、「わが師わが友」)

この言葉を繰り返す度に自分が元気になっていくのがわかる。

金曜日, 1月 26, 2007

クビになる got fired

いくらうちが安定している投資銀行であっても、この業界、突然クビになってしまう話は数ヶ月に一度は聞こえてくる。 最近電話がないと思っていた人がやはり突然クビになっていたそうな。これにはかなりのショックを受けた。しかも、長年(10年以上も)勤めていた人を数日でクビにしてしまうカルチャー。

今回は特に人と人の間のいざこざではなかったものの、単純なbooking missから発生した損失の責任を取る格好。私たちにどう反応しろというんでしょうな。疑問ですよ。プロとしての気のゆるみを指摘されたのか、はたまた以前よりパフォーマンスが悪かったのか。いずれにしても、ショック。

せっかくなので、ここでタイプ分けをしてみよう:

1.リストラ

所謂リストラとは部署ごと1日のうちにクビになるというもの。不況の際に頻繁に出没する形式。日本でもITバブルが崩壊した2002年によくみられた。有名どころではAmroの株式部門閉鎖事件: 神谷町の森トラストビルにあったオフィスからホテルオークラへ移動して突然の解雇宣言。従業員側も急遽組合を結成して対抗するも交渉が成立したという話は聞かない。同時期にJP株式部門でも大規模なリストラが行われた。

また、外資系であるパターンは支店そのものの閉鎖。これはキツイ。コメルツ・バンク東京支店はこのパターンで、2003年に営業を止めている。

2.上司とそりが合わない

好不況に関わらず外資では最も多い解雇パターン。特に外人の上司に嫌われてしまった日本人スタッフの末路は悲惨。ある意味理由は明確なわけだけれども、理不尽な扱いに周りの同僚も動揺してしまうことが多い。Kiss on his assな社員が優遇されることに。上司の旅行にわざわざ鞄持ちで同行しているという話は良く聞く。

3.パフォーマンス 

外資のイメージではこれが一番多いのだろうけれど、実際の現場ではほとんどない。というよりも、やはりパフォーマンスについては2-3年の猶予期間があるようで、逆にいきなり好パフォーマンスをたたき出す必要なない。猶予期間内にパフォーマンスが上がらなければ、同僚からも仕方ないよねといった目で見られてしまうからごく自然に居にくくなって解雇になる。メッツの松井が良い例。

ということで、最近の流行は2.ですかな。気をつけましょう。

International banking

ニューヨークへ赴任することになって、米国に銀行口座を開設する必要ができたので、現地のHSBCに連絡してみた。この時に驚いたのが、まずうちの会社の社員であれば自動的に富裕層向けのpremier accountを開くことができること。そして、日本にいながらにして米国で口座を開くよりも簡単なのではないかと錯覚させられたこと。

所謂日本的経営の大きな要素である”系列”は実は米国人が他の会社と保っている関係よりも薄く、どちらかと謂えば脅しに近い格好になっているのではないか。仮に日本の企業にいる場合には到底得られないであろうサービスを受けて初めて気がついた。この関係を築くために彼らは何をしているのだろうか。

金曜日, 1月 19, 2007

利上げなし

結局利上げなしですか。そうですか。これで、監督当局に続き、日銀までもが市場の信任を失うことに。どうしますかね。

一応日銀から金利引き上げ後の市場についてレポートが出ていたので、UP。
mkr0701a.pdf

水曜日, 1月 17, 2007

利上げ観測に思うこと

明日の決定会合で日銀が0.25%の利上げを実施するかが注目されている。今回、ちょっとした騒動になっている背景には恒例のリーク報道があるのだろうと思う。

これまで日銀はことあるごとにマスコミに強気の姿勢・情勢をリークすることによって、金融緩和解除、ゼロ金利解除と順調に自身の政策を実行してきた。それがここにきて、さすがに嫌気がさしてきた政府関係者によって刺された格好になっている。つい2日前まではやはり日銀サイドからと思われるリークによって、利上げ観測が盛り上がっていたわけで、GCレポレートなんかも完全に100%利上げを織り込んでいた。それが今日の報道で完全にひっくり返される格好に。結果的に、日銀は利上げ・利下げどちらの場合にもダメージを負う事になるというのが市場の大方の見方のようだ。

罰があたったというかなんというか。情報戦ではやはり政府が一枚も二枚も上手ということかと。これまで静観していた政府筋が日銀に釘を刺したという点では、政権交代後にみごとに姿勢が変わっていることも含めて、戦略の練り直しが必要ですよ。

1.ブラックアウト期間中であるため、愚直に解釈すれば一連の報道のネタの出所は日銀ではないと思われる。というのも、内容的にここまで言える人は総裁以外にいない。しかし、総裁自身がTBS等のメディアにこのようなリークをすることは一般的に考えにくい。消去法的に考えると、出所は官邸または自民党首脳ではないか。

2.一連のリーク報道で、結果は最後まで判らなくなってきた(まだ完全に見送りとは言えない)。

3.ここまで来ると、利上げしてもしなくても、日銀にとりダメージは大きい。情報の錯綜による最大の敗者は日銀である。

4.利上げしない場合、展望レポートの中間評価において、基本シナリオの下方修正が必要となる。すなわち、シナリオを修正しないまま利上げを見送れば、論理の整合性がつかなくなるが、それはすなわち日銀がそもそも景気判断を当初から誤っていたことになる。また、一連の強気発言の割に先進国の中央銀行にあるまじき優柔不断さで、信認の低下も必至であろう。

5.利上げした場合も、政府・与党との関係はデリケートなものとならざるを得ない。また、コアCPIのマイナス圏突入が春先以降に見込まれることから、2月に利上げを延期したところで、結末は同じことである。4月の2名の審議委員人事、および来年3月の総裁・副総裁人事にも影響しよう。

木曜日, 1月 04, 2007

明けましておめでとうございます。


ふと以前の日記を読み返していたら、2001年から2003年にかけてと2005年から2006年に掛けてはほとんど全くといって良いほど記事がないことに気がついた。裏を返せば2004年には大きな変化があったことが伺える。実にこの時期は転職と結婚を同時に体験した年であった。そして2007年は久しぶりに大きな変化が予感できる年となるはず。

年初にあった最大の変化はNYへの赴任が決まったことと、世田谷に自分の家(一戸建)を購入したこと。NYへの赴任は言わば自分の目標への大きなステップ。なんといっても本場のQuantitative Analyst(クォンツ)として一流投資銀行のクォンツチームに入るのは自分でも信じられない程の運の強さと言える。なんだかギニュー特戦隊に入隊する気分ですな。ここでどれだけやっていけるかで、自分の将来も決まってくるんだろうし、目標にも近づけるに違いない。そこで、今年の目標:「To be a creative professional !! - The Chalenge」。

なんとなく過去も振り返りたくなったので、これまでの目標の一覧を作ってみた:

2000年:Hop, step, Jump !
2001年:デビルにな~れ
2002年:エンジェルにな~れ
2003年:二人で成長する
2004年:Am I hungry? Always to be HUNGRY!
2005年:***
2006年:To be a creative professional !

いやはやなんとも浅はかで青臭い目標ばかりですな。。