水曜日, 1月 17, 2007

利上げ観測に思うこと

明日の決定会合で日銀が0.25%の利上げを実施するかが注目されている。今回、ちょっとした騒動になっている背景には恒例のリーク報道があるのだろうと思う。

これまで日銀はことあるごとにマスコミに強気の姿勢・情勢をリークすることによって、金融緩和解除、ゼロ金利解除と順調に自身の政策を実行してきた。それがここにきて、さすがに嫌気がさしてきた政府関係者によって刺された格好になっている。つい2日前まではやはり日銀サイドからと思われるリークによって、利上げ観測が盛り上がっていたわけで、GCレポレートなんかも完全に100%利上げを織り込んでいた。それが今日の報道で完全にひっくり返される格好に。結果的に、日銀は利上げ・利下げどちらの場合にもダメージを負う事になるというのが市場の大方の見方のようだ。

罰があたったというかなんというか。情報戦ではやはり政府が一枚も二枚も上手ということかと。これまで静観していた政府筋が日銀に釘を刺したという点では、政権交代後にみごとに姿勢が変わっていることも含めて、戦略の練り直しが必要ですよ。

1.ブラックアウト期間中であるため、愚直に解釈すれば一連の報道のネタの出所は日銀ではないと思われる。というのも、内容的にここまで言える人は総裁以外にいない。しかし、総裁自身がTBS等のメディアにこのようなリークをすることは一般的に考えにくい。消去法的に考えると、出所は官邸または自民党首脳ではないか。

2.一連のリーク報道で、結果は最後まで判らなくなってきた(まだ完全に見送りとは言えない)。

3.ここまで来ると、利上げしてもしなくても、日銀にとりダメージは大きい。情報の錯綜による最大の敗者は日銀である。

4.利上げしない場合、展望レポートの中間評価において、基本シナリオの下方修正が必要となる。すなわち、シナリオを修正しないまま利上げを見送れば、論理の整合性がつかなくなるが、それはすなわち日銀がそもそも景気判断を当初から誤っていたことになる。また、一連の強気発言の割に先進国の中央銀行にあるまじき優柔不断さで、信認の低下も必至であろう。

5.利上げした場合も、政府・与党との関係はデリケートなものとならざるを得ない。また、コアCPIのマイナス圏突入が春先以降に見込まれることから、2月に利上げを延期したところで、結末は同じことである。4月の2名の審議委員人事、および来年3月の総裁・副総裁人事にも影響しよう。

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