日曜日, 9月 16, 2007

続報 サブプライム関連 第2フェーズへ突入

(このコメントを入稿したのは8月下旬だったわけですが、その後第2フェーズは既に終了し、今週のFOMCの判断如何によっては第3フェーズ突入です)

さて普段ならば夏休みで閑散とした相場であるものの、今年の8月はかなり熱い月でした。商いが薄い中で、幾つか悪いニュースが重なって、8月第1週は本当にさんざん。一部の欧州系銀行がサブプライム関連投資で大損をこいたことから、円キャリートレードの解消が誘発されると同時に、世界規模の株式ポジションの調整から円売りのヘッジ玉が戻り、一気にドル円は112円台をつける展開へ。

この展開は本当に面白いものを見させてもらったという意味も込めて、整理しておきたい。

8月13日の週:

月曜日: ゴールドマンが自身のファンド(Global Alphaではなく、Global Equity Opportunities Fund)へ$3bnの資金注入を決定。米国株式市場はこの朝方の報道を受け一時は持ち直すも、結局下げて引ける(後日談として、この$3bnはその後の相場の回復を受けて、一旦回復したものの、9月第一週は1.8%下落している模様)。

その後、株式市場は引き続き全世界で全面安の展開に。水曜日・木曜日にかけて、ドル円相場が112円代前半をつけるド━(゜Д゜)━ン!! 株についてはその後弱いながらも買いが入るが、円だけの急落に何故だか疑問。これは、ストレステストを実施していれば、事前に予測がついたかもしれない。特に、前回3月の世界同時株安から主要プレイヤーがどのようなポジションを積んでいたかを詳細に調べておくべきであった。結局のところ、結論としては
  • 欧米主要ファンドの日本株エクスポージャーはほぼ円ヘッジ済み(円売りポジション)。
  • キャリートレードの主要なファンディング元である欧州系銀行の円エクスポージャーもほぼヘッジ済み(円売りポジション)。
  • 一部買収案件の資金調達に関わって発生した円エクスポージャーもほぼヘッジ済み(円売りポジション)。
となっていたようだ。従って、今回起った対ドルでの円の急騰は、リスク調整に伴う日本株エクスポージャーの削減に伴うヘッジ玉の戻りと、欧州系銀行のクレジット悪化に伴うキャリートレードのファンディング先の変更或は解消に伴うヘッジ玉の戻りが主因になっているものと理解される。

ただし、ドル円の急落と機を一つにして、日本でのコールマーケットで資金不足が発生していた事に注目しておきたい。この前の週に行われたECBの資金供給と歩調を合わせて行われた日銀の10兆円規模の資金供給によって、火曜日にはゼロ金利まで下がったコールレートが外銀からの調達意欲を背景に急騰。一旦資金を引き上げた日銀が、週半ばには一転して資金供給へと追い込まれるという珍事(?!)が発生していた。積み期間との関係も考慮に入れる必要があるものの、キャリートレードとの関連で言えば、円相場が円高方向へ戻ると同時にキャリートレードを積みました向きがあるといえそうだ。

金曜日: メルトタウン寸前のNY市場に対し、FEDがdiscount rateの0.25%引き下げを発表し、すんでのところでmeltdownを回避。これは、前回FRBの声明文に明記されてあった窓口割引のレートのこと。さすがに利用を促すだけでは駄目だと思って、レートを下げてきた。この戦略はそもそも規定路線ではあったのだろうけれど、御見事です\(^o^)/。余談ながら、午後に予定されていた外部のエコノミストとのconference callもこのために急遽中止され来週へ延期 (;´Д`)

その後、8月20日の週は比較的落ち着いた動きに。主要銀行が坦々とdiscount windowを使った旨のアナウンスを流すとともに、バンカメはここぞとばかりに米国住宅ローン市場最大手のcountry wideの買収を発表。さすがに狙ってましたねという感じ。やっぱりここアメリカはその昔テラノザウルスが闊歩していた場所だけあって、弱肉強食だぁー (;´Д`)

マーケットへのインプリケーションとしては、引き続きキャリートレードは続きそうであるという事と、今後株式市場(特に日本)が軟化することがあれば、同時に円高が発生する可能性が高いということ。逆にいえば、日本株が堅調である限り、ヘッジ玉に伴ってドル高(外貨資産高)へ触れやすくやっており、日本の投資家にとってはユーフォリアの復活である。もちろん来週のFRBの判断には注意が必要だが、前回のエントリーでも触れたとおり、今回のサブプライム問題は米国の消費者への影響に関してはニュートラルもしくは小幅マイナスに止まる見通し。後は、住宅ローン関連のビジネスを持つ企業動向次第であろう。

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